ユニアデックスの片澤です。前回の米国テクノロジー企業の2021年IPO/M&A動向はいかがでしたでしょうか。本文でも触れましたが、業界特化型のソフトウエアやSaaSが非常に伸びてきていることが実績ベースでもわかります。

さて、本題に入る前にクリスマス情報を少しお届けします。

こちらは、ニューヨークのロックフェラーセンターにある米国内で一番有名なクリスマスツリーです。1931年から毎年設置され、サンクスギビングデー終了後にツリーの点灯式が行われます。樹齢約85年のもみの木が使われていて、寄付だそうです。LEDのケーブルの長さは、なんと約8Km。ツリーの前にあるスケートリンクも有名ですよね。

画像1: 2021年の米国テクノロジー企業状況その2:スタートアップの投資動向【シリコンバレー便りVol.22】(2021年12月23日号)

また、こちらは、クリスマス専門のHOLIDAYSHOPです。wakuwakuしますね!

画像2: 2021年の米国テクノロジー企業状況その2:スタートアップの投資動向【シリコンバレー便りVol.22】(2021年12月23日号)

2021年スタートアップの投資動向

それでは、米国の2021年スタートアップ投資動向についての本題に入ります。

画像: 2021年スタートアップの投資動向

最初にデータをひも解くとスタートアップ投資金額は、年々、記録的な数値として伸びていて、毎月約250憶ドルの資金がスタートアップ企業に投資されています。投資件数はほぼ横ばいで伸びているということではなく、1件当たりの投資金額が上がっているという結果です。Crunchbase Newsでも細かく分析されていますが、マーケットとして資金が余った状態が続いています。

次に2021年にスタートアップの投資件数が多く、資金調達で活況であった業種を紹介します。

1.eコマース関連

eコマースと言えば、Amazonが思い浮かぶと思いますが、そのAmazon上のサードパーティーの小売店が販売する売上比率は、60%程度に上っています。その中の小売店を買収したり、新たに参入したい小売店に対してマーケティングや販売分析、在庫管理、フルフィルメントサービスなどを提供したりするFAB(Fulfilled by Amazon)企業が増えています。

画像: Amazon サードパーティーマネジメント企業が成長

Amazon サードパーティーマネジメント企業が成長

Perchは、2021年7.75憶ドルの資金調達を実施し、Amazon上で30以上のブランドを展開しているWebDealsDirectを買収しました。また、Thrasioは、2021年7月と10月の2回、合計17.5億ドルの資金調達を実施し、全世界で200以上のブランドをマネージしています。

Heydayも、5月と11月に合計6.25憶ドルの資金調達をしていますが、創業は2020年8月とまだ17か月しかたっていないので驚きを隠せません。

パンデミックの影響により、eコマースの台頭が新たなビジネスモデルを確立した。と見ていいのではないでしょうか。 Amazon以外の大手eコマースを提供しているWalmartやShopifyなどをベースに同じことを実施しているスタートアップも出てきています。

2. クラウドセキュリティー関連

2021年の全世界のサイバー攻撃による損害は、約6兆ドルと予測されており、企業は、日々セキュリティーリスクと向き合っています。その中でも米国は、ランサムウエアによる被害(身代金要求型セキュリティー事故)が目立った年となりました。

2021年上半期で約590憶ドルが身代金として支払われたとされています。これは、2020年の年間金額を上回っているとのことです。また、企業のITインフラやアプリケーションは徐々にクラウドへとシフトする中で、クラウドとオンプレミスの双方を守る必要があり、クラウドセキュリティー領域で、スタートアップ投資が多く実施されています。

画像: 2. クラウドセキュリティー関連

Lacework もパンデミックの影響で企業システムのクラウドシフトが加速する中、今年、2回のラウンドで驚異的な18.25憶ドルを調達しました。マルチクラウド対応でのホストへの侵入検知や脆弱性診断、不正な行動検知などを行います。

また、クラウドコンテナに特化したセキュリティーを提供するSysdigやMDR(Managed Ditection and Responce)に加えCloud Ditection and Responceを提供するArcticWolfなどが資金を調達しています。ものすごく新しい企業群ということではなく、ほとんどのスタートアップ企業が創業から6~10年であるというのもITインフラスタートアップの特徴であると思います。

また、米国金融機関当局では銀行に対して、”重大な”セキュリティーインシデントを銀行側が認識した場合に36時間以内にレポート提示を義務付ける法案を承認し、2022年4月から運用が開始されることになります。このことは、リスク判断などや外部への情報漏洩監視、SIEM(Security Information and EventManagement)なども今後の焦点になる予感がします。

3.チャレンジャーバンク、仮想通貨関連

チャレンジャーバンク、リテールバンクなどと呼ばれている店舗を持たないバンクスタートアップが資金を調達しています。ChimeStashなどが米国ではメジャーであり、毎年資金調達を繰り返しています。

また、子供向け(Current)や給与の前払い(Dave)などの個別サービスを提供するチャレンジャーバンクが次々と出てきていますが、成熟にはもう少し時間がかかりそうな印象です。また、チャレンジャーバンクは、米国以外でもスタートアップは多く生まれており、南米やアフリカなどが、マーケットとしては広がりを見せています。

画像: 3.チャレンジャーバンク、仮想通貨関連

そして、仮想通貨関連企業への投資が昨年と比較して大きく飛躍した投資案件の1つであることは間違いありません。前述したCoinbase以外に、仮想通貨の売買やNFT(Non-fungibletoken)の取引までをサポートするMoonpayは、5.55憶ドルの資金調達を実施、仮想通貨の取引に加えクレジットカードも発行。さらに、使用したリワードを仮想通貨で提供するGeminiは、SeriesAラウンドで、4億ドルの資金調達。仮想通貨を担保にしてローンを実施するBlockFiは、3.5億ドルの資金を調達しました。

米国内の面白い取り組みとして、マイアミ市長ニューヨーク市長が報酬を仮想通貨で受け取ることをアナウンスしています。

仮想通貨やNFTが投資家だけではなく、広く一般化するまではもう少し時間がかかりそうですが、メタバースやゲーム、エンターテイメントとの融合により、さらなる可能性が期待できます。

4.サステナビリティー関連

気候変動による地球平均気温上昇。それを食い止めるための温室効果ガス削減、脱炭素、カーボンオフセットの実現。こういった気候変動に対応、関係するテクノロジーをClimate Techと呼ばれます。前述したEV関連などもClimate Techに含まれます。

また、エネルギー分野では、従来のソーラーや風力などは、Enphase Energyなどが消費・充電の効率化や最適化という方向に動きつつも、新しいエネルギー分野として核融合でエネルギーを生み出すCFSHelionなどに資金が集まっています。

2030年以降、ゼロエミッションを企業でも実施が求められるようになります。そのため、自社による炭素排出量と吸収量の見える化、取引などサプライチェーンを巻き込んだマネージメントソリューションが必要不可欠になると予想され、Persefoniなどが資金調達を実現しています。

サステナビリティー。持続可能な社会のためにエネルギーに加え、Food Techにも注目が集まりました。今年4月の記事でもご紹介した通り、プラントベースのものから培養製品まですでに私たちの手の届く距離に存在するようになりました。

5. IT活用、マネジメント関連

B2C、B2B2C の分野では、オンラインで銀行業務、購買行動、個人認証、SNSなどが積極的に実施されるようになり、B2BにおいてもIoTやカメラなどのセンサー、業務アプリケーションの利用などによりデータが蓄積され続けています。このデータ活用はITにおけるトピックスの1つになっており、昨年SnowflakeがIPOしたことで一気に加速化しました。

今年に至ってもこの流れは続いており、AIを活用したデータレイクとウエアハウスを提供するDatabricsやノーコード、ローコードで機械学習を利用しデータを分析できるDataRobotが大型の資金調達を実施しました。また、Fivetranは、B2C の顧客管理、マーケティング分野のデータETLにフォーカスしています。データをどのように利用し、そこからどのようなインサイトを得るのか?データサイエンティストの人間の力と分析するAIや機械学習の両輪でのビジネス展開は、今後も注目領域です。

画像1: 5. IT活用、マネジメント関連

そして、ITのワークツール、プロジェクト管理なども成長した年になりました。プロジェクト管理、ToDo管理からノートや動画の共有、ワークコラボレーションの中心に利用することができます。Notionが2.75憶ドル、Clickupが4億ドルと資金調達を実施しています。

これらのツールはAPI連携が得意で、他のSaaSやソフトウエアとの接続を通して、さらなるユーザエンゲージメントが可能になります。便利になる反面、コアの人しか利用していないということに陥るのもこれらワークツール系でよくいわれることです。How to 伝道師みたいな方がしっかりと使い方継承をしてくれるのかがポイントではないかと思います。

さていかがでしたでしょうか。2021年最後の回になりますのでIPOや資金調達を中心にお届けしました。これ以外にもバイオテック、メディカル関連やスペースビジネス関連なども注目が集まったことを最後に付け加えさせていただきます。また、8月の記事で予告しておりましたStarlinkのサービス体験ですが、昨今の半導体不足で通信機器の入荷が遅れているため、来年中旬ごろの予定になります。少し先になりますがお楽しみに。

今回も最後までお読みいただき有難うございました。来年も皆さんの興味が湧く内容をお届けしていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

画像2: 5. IT活用、マネジメント関連

HappyMerry X'mas&New year!

画像: ユニアデックス 片澤 友浩 ユニアデックスでは、約20年以上前から米国・シリコンバレーに駐在員を配置し、現地の最新ICTトレンドや技術動向、新たなビジネスモデルの探索を実施しております。 日本ユニシスグループの米国拠点であるNUL SystemServices Corporation(以下、NSSC) に所属し、今までは当社営業やマーケティングを通してお客さまに届けていた情報を、定期的にNexTalkでも配信していきます。

ユニアデックス 片澤 友浩
ユニアデックスでは、約20年以上前から米国・シリコンバレーに駐在員を配置し、現地の最新ICTトレンドや技術動向、新たなビジネスモデルの探索を実施しております。日本ユニシスグループの米国拠点であるNUL SystemServices Corporation(以下、NSSC)に所属し、今までは当社営業やマーケティングを通してお客さまに届けていた情報を、定期的にNexTalkでも配信していきます。

【Vol.21】2021年の米国テクノロジー企業状況その1:IPO(新規株式公開)、M&A動向(2021年12月14日号)

【Vol.20】都市ごとに発展する米国のローカルビジネス最前線!(2021年11月9日号)

【Vol.19】米国のドローン最前線!『Commercial UAV Expo Americas』レポート(2021年10月12日号)

【Vol.18】仮想空間向けサービス「メタバース(Metaverse)」がもたらす未来に期待!(2021年9月14日号)

【Vol.17】宇宙と宇宙旅行がこんなに身近に?!カギを握るのは衛星インターネットサービス(2021年8月17日号))

【Vol.16】米国のデリバリー最新事情とクラウドキッチンがもたらす料理人DX!(2021年7月13日号)

【Vol.15】SaaSビジネスが好調。Usage Base 課金(従量課金)モデルの復活がカギ?!(2021年6月8日号)

【Vol.14】大きな変革を迎えたEducation Tech。新たな学習方式とは?!(2021年5月18日号)

【Vol.13】 注目のプラントベースミートの現状と新たな取り組み(クッキング・試食動画も)(2021年4月13日号)

【Vol.12】最新の米国EV市場動向-日本との違いは⁈(2021年3月9日号))

【Vol.11】テレヘルスや遠隔診療が不可欠になり、関心が高まるヘルスケアテックご紹介(リモートモニタリング体験動画も)(2021年2月9日号)

【Vol.10】バーチャルイベントの有効性と米国で注目のウェビナーツールご紹介(2021年1月13日号)

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.