ユニアデックスの片澤です。

米国では、この1カ月間にオミクロン株の影響が一気に広がってしまいました。日本は、入国人数制限や3日間の指定場所での隔離の地域に米国も複数州が入りましたが、米国内はといいますと。。。あまり、変わっていません。

米国への入国時に1日前の陰性証明書と自主隔離が必要ですが、国内に関しては、あまり影響がないように感じます。(12月6日現在)引き続き、ワクチン接種、ブースター接種の呼びかけは行われており、先月から開始された5歳から11歳へのワクチン接種が加わりました。

オミクロン株の状況は確認しながらも、経済活動を優先といった方向性のようです。 というのも、
12月の米国はホリデーシーズンです。旅行や外食、人々の購買行動は維持しながら安全を横目で注視しているという状況です。

では最初に、米国のクリスマスに関して少しご紹介します。

11月末のサンクスギビングデーを過ぎると一気にクリスマスモードに突入します。各地では、伝統あるクリスマスツリーが設置され、点灯式が行われます。その最も代表的なものは、ニューヨークのロックフェラーセンターです。街は、イルミネーションが至るところで見られ、先月のレポートで紹介したローカルコミュニケーションサイト「Nextdoor」では、近所のイルミネーションマップが確認できます。

画像1: 2021年の米国テクノロジー企業状況をIPO(新規株式公開)、M&A動向から見る!その1【シリコンバレー便りVol.21】(2021年12月14日号)

また、クリスマスまでをカウントダウンするアドベントカレンダーは、12月に入ってから24日までをカウントダウンする日めくりカレンダーで、種類が豊富にあります。日付の窓の中にはお菓子やおもちゃなどの子供向けのものから、ビールやワインなどの大人向けのものまであり、みんなでカウントダウンを楽しめるものがあふれています!

画像: いろいろなアドベントカレンダー。1日ずつ日にちをめくり、中身を楽しめます

いろいろなアドベントカレンダー。1日ずつ日にちをめくり、中身を楽しめます

さて、2021年最後の回は、今年を振り返ってみたいと思います。

IPO(新規株式公開)・M&A動向

まずは、大企業やテック企業の動向や成長したスタートアップの動向を見ていきます。

下の表は、左が2021年にスタートアップ企業を買収した大企業とそのリスト、右が新たにIPOやSPACを実施し、成功を収めたスタートアップ企業のリストです。

M&A2021IPOSPAC IPO
・Wrike
(タスク管理SaaS)
⇒Citrix
・Acacia Communications  
(光学技術)⇒Cisco
・Nuvia(高性能CPU)
⇒Qualcomm
1月・Affirm(BNPL,決済)
・Poshmark
(ブランドフリマアプリ)
・Qualtrics(カスタマー
エクスペリエンス調査ツール)
・Hims&Hers
(個人特化型美容D2C)
・Billtrust
(支払いマネージメント)
・E2OPEN
(サプライチェーン最適化)
Chartio(データ視覚)
⇒Atlassian
2月Bumble
(マッチングアプリ)
Chargepoint
(EVチャージャー)
・Auth0(一括ログインツール)⇒Okta
・GlobalLogic(デジタル
エンジニアリング)⇒日立
・Intellibot(RPA)
⇒ServiceNow
・Mesh7(APIセキュリティ)
⇒VMware
・DocSend
(ドキュメントセキュリティ)
⇒Dropbox
3月・DigitalOcean
(クラウドアプリ開発)
・Roblox
(ゲーム、メタバース),
・Oscar Health(医療保険),
・Coursera(オンライン学習)
Purecycle
(再生プラスティック)
・Nuance(医療向けAI)
⇒Microsoft
・Proofpoint
(メールセキュリティ)
⇒Thoma Bravo(PE¹)
・TechData
(ITディストリビューター)
⇒Synnex
(ITディストリビューター)
・BlueYonder
(サプライチェーンSW)
⇒パナソニック
4月・Coinbase
(暗号通貨取引所)
・Applovin
(App開発ツール)
・UiPath(RPA)
・TuSimple(自動運転)
AST Space mobile
(衛星インターネット)
MGM Studio
(映像コンテンツ)
⇒Amazon
5月・Procore(建設特化
プロジェクト管理SW)
・Squarespace(Web作成SW)
・Oatly(オーツ麦ミルク)
・SoFi(個人レンディング)
・Blade(近距離Air事業)
・Lightning eMotors
(EV関連)
・RiskIQ(サイバーリスク判定)
⇒Microsoft
・CloudKnox(CIEM)
⇒Microsoft
・Wickr(メッセージアプリ)
⇒Amazon AWS
・Boston Dynamics
(ロボット)⇒Hyundai
・Puro.earth
(温室効果ガス売買)
⇒Nasdaq
6月・Xometry(産業部品製造)
・monday(ワークツールSaaS)
・Robinhood(証券取引アプリ)
・Coufluent(データストレージ)
・SentinelOne(エンドポイント
セキュリティ)
・Clear(タッチレス
ソリューション)
・Marqeta(カード発行
ソリューション)
・Doximity(医療従事者SNS)
・23andMe(遺伝子診断)
・Barkbox(犬用コマース)
・Five9(クラウドVoIP)⇒Zoom
・Clarabridge(カスタマー
エクスペリエンス調査ツール)
⇒Qualtrics(カスタマー
エクスペリエンス調査ツール)
7月・Duolingo(語学アプリ)
・Blend
(ローンマネージメント)
・Lucid Motors(EV)
・Evgo(EVチャージャー)
・Matterport
(3Dソフトウェア)
・sharecare
(セルフヘルスアプリ)
・Frame.io
(ビデオ編集ツール)⇒Adobe
・Afterpay(BNPL)
⇒Square
・Peer5(CDN)⇒Microsoft
・Epsagon(アプリケーション
モニタリング)⇒Cisco
8月―・Helbiz
(マイクロモビリティ)
・Joby Aviation(Airタクシー)
・Hippo(住宅保険)
・Rocket Lab(ロケット)
・SmartRent
(不動産管理自動化)
・Mailchimp(デジタル
マーケティングツール)⇒Intuit
・Yahoo⇒
Apollo Global Management(PE¹)
・Paidy(BNPL)⇒Paypal
・Clipchamp(動画編集)
・takelessons(オンライン学習)
⇒Microsoft
9月・Toast(レストランアプリ)
・WarbyParker(眼鏡D2C)
・Amplitude(Web行動分析)
・Offerpad(住宅売買)
・Somalogic(バイオマーカー)
・Arqit(量子)
・Archaea Energy
(再生エネルギー)
・Vicarious Surgical
(手術ロボ)
・GinkgoBiowroks(バイオ)
・Momentive(AIマーケット
リサーチ)⇒Zendesk
・Caper AI(スマート
ショッピングカート)⇒Instacart
・Within(VRコンテンツ)
⇒Meta(Facebook)
10月・Rivian(EV)
・GitLab(DevOps)
・GlobalFoundries(半導体)
・Udemy(オンライン学習)
・WeWork(シェアオフィス)
・IonQ(量子)
・Wolt(デリバリー)
⇒DoorDash
・Vonage(ユニファイド
コミュニケーション)⇒Ericsson
・Busuu(語学アプリ)
⇒Chegg(オンライン学習)
11月Braze(カスタマー
エンゲージメントSW)
・Nextdoor(地域SNS)
・Aurora(自動運転)
・Embark Truck
(自動運転)
・Bird(シェアサイクル)
―12月―・Grub(ライド&デリバリー)
・Buzzfeed
(オンラインメディア)
2021年 M&A, IPO 企業リスト
M&Aは、主にテック企業の買収にフォーカス。IPOは、IPOスタート価格が、$30以上のものにフォーカス。
SPACは、実際のIPO公開月。※PE=Private Equity、投資ファンド

こちらのデータでは、2021年第3四半期までに米国でIPOを実施した企業数が785社となっており、2020年通年の555件を大幅に上回っています。大きな要因には、COVID-19の影響もありますが、米国全体として好景気が維持されているようです。後述のスタートアップ投資サイドでも企業への投資が盛んに行われていることが見て取れます。

それに加え、SPACでの上場も全体値を底上げしています。

SPACとは、Special Purpose Acquisition Company(特別買収目的会社)の略。買収を目的に設立された企業を上場させて、2~3年で買収のターゲットになる企業を選定し買収する方法です。従来のIPOよりも時間とコストを抑えた上場が可能となり、直近の2年間でかなり増えています。

画像2: 2021年の米国テクノロジー企業状況をIPO(新規株式公開)、M&A動向から見る!その1【シリコンバレー便りVol.21】(2021年12月14日号)

さて、このリストとデータから見えてくる流れを整理します。

1.IPOはソフトウエア、SPACはハードウエア

まずIPOは、公開時の価格が高いほうから見るとそのほとんどがテクノロジー企業です。そして、そのテクノロジー企業が提供しているものは、ソフトウエア、SaaS、アプリケーションになります。

IT関連で見るDigitalOcean、Applovin、UiPath、Monday、Coufluent、SentinelOneなどソフトウエア企業ばかりで、IT分野では新しいハードウエアが、企業を含め生まれにくい状態になっているというのがわかります。そして、DigitalOceanやApplovin、UiPathなどは、利用促進のため、ノーコード、ローコードが1つのキーポイントになっており、ソフトウエアプロダクトによってもノーコード、ローコードが必要になるということも感じ取れます。

一方、SPACは、車に空に宇宙と、モビリティー関連やスペース関連企業が並んでいます。近い将来の形を提供している、もしくは、これから提供しようとしている企業が多いです。ハードウエアを製造するための設備投資としての上場というのも感じ取れる結果になっています。

また、ソフトウエアやSaaSを提供しているSoFi(個人レンディング)、Grub(デリバリー)もSPAC上場を果たしました。 SPACは、ターゲット企業が決まってから、合併処理に3~6カ月程度時間を要するため、今後予定企業もアナウンスされています。ServiceMax(フィールドサービスマネジメント)、Circle(インターネットファイナンス)、Pagaya(金融資産管理)などもソフトウエアやSaaS企業です。ハードウエア以外でも広く利用され始めているので今後も目が離せない状況です。

2.業界特化型ソフトウエア

前述で評したのは、業種に限らず利用が可能なホリゾンタルソフトウエア、SaaS企業ですが、業界特化型のバーティカルソフトウェア、SaaS企業が増えています。

画像: 2.業界特化型ソフトウエア

業種で見ると、金融商品を提供しているCoinbase(暗号通貨取引サイト)やRobinhood(証券取引アプリ)、取引決済に関わる機能を提供しているAffirm(BNPL:Buy Now Pay Later)やMarqeta(クレジットカード発行ソリューション)、Toast(レストラン向けアプリケーション)、Blend(銀行向けローンマネジメント)などのフィンテック企業が目立っています。

また、Toast、Blendに加え、Procore(建設特化プロジェクト管理SW)、Doximity(医療従事者向けSNS)は、業界特化型のSaaS企業としても注目されています。特定の業界のニーズを考慮した機能やデータ利用を特徴とし、法制度やガバナンスにも対応しているため、利用顧客のDXの価値が見出しやすいというのが特徴です。

3.M&Aは、Microsoft

今年1年で13社の買収を発表したMicrosoftが目立った印象です。

GAFAM(FacebookがMetaになったので、GAMAM?そもそも米国ではGAFAMとはいいませんが)で見ると全体で24件、その半数以上がMicrosoftの買収でした。Microsoftの今までの買収傾向は、事業の補完的な買収が多い印象でしたが、新たな取り組みとして、Nuance(医療向けAI)の買収は、かなり話題になりました。Microsoftは、時価総額で2兆ドルを超え、一時は企業ランキングでもAppleを抑え、1位に返り咲きました。(12月8日現在は、2位で約2兆5千憶ドル)

4.Edtech(エドテック)

教育×テクノロジーも盛り上がったキーワードとなりました。

画像: 4.Edtech(エドテック)

IPO企業では、社員教育や生涯学習などをオンラインで提供しているCourseraやUdemy、語学アプリを提供しているDuolingoがIPOを実施。同じく語学アプリのBusuuは、オンライン学習のCheggに買収されました。

Microsoftもオンライン学習のtakelessonsを買収、同社が提供しているLinkedinでも学習サービスを提供しており、さらなる強化も期待できるところです。 また、アメリカではないですが、インドや中国企業が世界規模で大きくなっています。インドのByju’sは、今年10社の買収を実施し、その中には、アメリカ企業で学校向けのオンライン図書館を提供しているEpic!も含まれます。

パンデミックの影響により、オンライン学習市場が子供から大人まで一気に活況となり、企業成長にもつながった結果です。

さて、ここからはスタートアップ投資にフォーカスしていきたいのですが、少し長くなりましたので、次回、12月下旬にクリスマス直近の情報と合わせて、お伝えしたいと思います。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。次回をお楽しみに。

画像: ユニアデックス 片澤 友浩 ユニアデックスでは、約20年以上前から米国・シリコンバレーに駐在員を配置し、現地の最新ICTトレンドや技術動向、新たなビジネスモデルの探索を実施しております。日本ユニシスグループの米国拠点であるNUL SystemServices Corporation(以下、NSSC)に所属し、今までは当社営業やマーケティングを通してお客さまに届けていた情報を、定期的にNexTalkでも配信していきます。

ユニアデックス 片澤 友浩
ユニアデックスでは、約20年以上前から米国・シリコンバレーに駐在員を配置し、現地の最新ICTトレンドや技術動向、新たなビジネスモデルの探索を実施しております。日本ユニシスグループの米国拠点であるNUL SystemServices Corporation(以下、NSSC)に所属し、今までは当社営業やマーケティングを通してお客さまに届けていた情報を、定期的にNexTalkでも配信していきます。

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