ユニアデックスの片澤です。前回報告しましたが、ワクチン接種してきました!

画像: ユニアデックス 片澤 友浩 ユニアデックスでは、約20年以上前から米国・シリコンバレーに駐在員を配置し、現地の最新ICTトレンドや技術動向、新たなビジネスモデルの探索を実施しております。日本ユニシスグループの米国拠点であるNUL SystemServices Corporation(以下、NSSC)に所属し、今までは当社営業やマーケティングを通してお客さまに届けていた情報を、定期的にNexTalkでも配信していきます。

ユニアデックス 片澤 友浩
ユニアデックスでは、約20年以上前から米国・シリコンバレーに駐在員を配置し、現地の最新ICTトレンドや技術動向、新たなビジネスモデルの探索を実施しております。日本ユニシスグループの米国拠点であるNUL SystemServices Corporation(以下、NSSC)に所属し、今までは当社営業やマーケティングを通してお客さまに届けていた情報を、定期的にNexTalkでも配信していきます。

米国のワクチン接種事情

実は、ワクチン接種の予約が取りにくい可能性を危惧していましたが、意外と簡単に予約が取れ、スムーズに1回目の接種が終わりました。その模様を動画でも紹介していますが、こちらではさまざまな場所で接種ができます。私はSanta Clara Countyの大規模接種会場である「Levi's Stadium」で接種しました。

すでに米国では、約1億4,850万人以上が1回目の接種を終了しています。これは、人口の約45%になり、18歳以上で見ると約56%に上ります。(2021年5月5日現在、CDC:アメリカ疾病予防管理センターのデータから引用)

ワクチン接種済みの人であれば、「屋外の密接しない環境下でマスクを外すことができる」とCDCから発表されたこともあり、トレイル散策などをさっそく実践している人も見受けられました。実は、先月引越しをしたのですが、お隣の方とマスクなしで握手してご挨拶ができました。表情がわかるというのは本当に良いことですね!

集団免疫の獲得には人口の最低70%のワクチン接種が必要といわれており、そこまで上げられるのかがポイントになります。

大きな変革が進むEducation Tech(Edtech)市場

さて、話を変えまして、今年も残り1カ月となりました。 ・・・?

というのは、2020-2021の米国のスクール年度です。米国は、8月、9月から新年度が始まり、6月に終わります。今回は、この激動の年の教育、Education Tech(Edtech)に関してお届けします。

パンデミックが起こった2020年3月から学校のオンライン化は実施されましたが、準備不足だったこともあり授業などは限定的でした。それが、今年度は、当初から完全オンライン授業となり、それに応じてさまざまなツールを使い、課題実施と提出、そして体育までオンラインで行ってしているのは驚きました。

教育市場は、世界的なパンデミックにより、大きな変革が起こりました。教える側、教えられる側それぞれ遠隔教育を受け入れることを余儀なくされ、K12(小中高校)など子供への教育現場だけではなく、大人が対象の生涯学習なども含め同じ状況です。これによって、新しい技術やテックカンパニーの新興などが加速しました。

世界の教育市場の調査を実施しているHolon IQによると、2025年までにCOVID-19以前の市場予測に加えて、約630億ドルのプラス成長が見込めると報じています。今回のパンデミックによる投資は、デジタル化への移行をけん引する流れをつくったのではないでしょうか。今後は学習データ収集、データ活用と管理など幅広い応用へと利用が伸びていくと予想できます。

画像: 教育向けテクノロジーの世界市場予測(HolonIQから引用)。COVID-19による市場拡大が見える

教育向けテクノロジーの世界市場予測(HolonIQから引用)。COVID-19による市場拡大が見える

スタートアップ企業の投資状況でも2020年に大幅に拡大したのが確認できます。2019年に比べて倍以上の資金が集まっています。とりわけ、中国とインドでの投資が増えており、この動きは、他の業種にはない特徴ではないでしょうか。

画像: Education Techのベンチャーキャピタル投資概況(HolonIQから引用)

Education Techのベンチャーキャピタル投資概況HolonIQから引用

中国、インドをはじめとしたアジアの国々においては、家計の投資先として教育に比重を置いており、家計収支の大部分を教育につぎ込んでいるそうです。そして、インターネット接続の改善に合わせて、教育コンテンツや教育テクノロジーが比較的地方都市で広がっていき、それを提供しているスタートアップ企業に資金が集まったという流れができています。実際には、オンライン家庭教師やホームワークヘルプなどを提供する企業が多く資金を集めています。

中国 YuanfudaoZuoyebangZhangmenなど。

インド Byju’sUnacademyなど。

米国もEducation Tech(Edtech)に積極的

私が生活している地域での教育コンテンツ、教育テクノロジーに関してを紹介していきます。

米国でも教育テクノロジースタートアップの資金調達は積極的にされており、2021年に入ってからも比較的堅調で伸びております。
ここで最近資金調達したスタートアップをいくつか紹介します。

Quizlet カリフォルニア州 サンフランシスコ

画像1: 大きな変革を迎えたEducation Tech。新たな学習方式とは?!【シリコンバレー便りVol.14】(2021年5月18日号)

フラッシュカードを利用した教育コンテンツ配信プラットフォームを提供。語学を中心に科学や算数、歴史などのコンテンツが充実していて、好きな科目を学習することができる。また、コンテンツを自分で作成する機能もあり、コンシューマーへの提供がメイン。現在、シリーズCで62Mドルの資金調達実績。

Outschool  カリフォルニア州 サンフランシスコ

画像2: 大きな変革を迎えたEducation Tech。新たな学習方式とは?!【シリコンバレー便りVol.14】(2021年5月18日号)

3歳から18歳の子供向けのオンラインバーチャル授業、アフタースクールのマーケットプレースを提供。利用者は、アフタースクールの先生のクラスを選択し、オンラインで授業を受ける。コンテンツは、数学や語学、科学など勉強に近い内容から、アートやクッキング、音楽などさまざまあり、10,000人以上の先生が登録している。 現在、シリーズCで130Mドルの資金調達実績。

ClassDojo  本社 カリフォルニア州 サンフランシスコ

画像3: 大きな変革を迎えたEducation Tech。新たな学習方式とは?!【シリコンバレー便りVol.14】(2021年5月18日号)

学校、親、生徒をつなげるコミュニケーションツールを提供。日々の授業の様子や授業内容などツールを利用して共有することで新しいコミュニケーションを生み出している。メッセージ機能を介して、連絡を取り合うこともでき、同時翻訳の機能を持っている。現在、シリーズCで66.1Mドルの資金調達実績。

実際のオンライン授業のツールと使い方

米国は、始めに紹介した中国やインドのスタートアップとは違い、コミュニケーションやオンラインでの支援ツールに比較的資金が集まっています。家庭教師(Tutor)などは、もともと文化としてあり、老舗がCOVID-19以前からオンライン学習を実施している背景があることから、家庭教師の新たなスタートアップは立ち上がっていないようです。

では、実際の授業はどのように行われているのか。どのようなツールを利用しているか。に関して私の住んでいる地域のオンライン授業のツールと使い方を紹介します。

授業のポータルサイトはオンラインプラットフォームの『Clever』を利用していて、生徒がログイン後に、1日の授業が始まります。

画像: 【オンライン授業ポータル『Clever』の実際の画面】朝のミーティングでは、Google Meetを生徒から呼び出しミーティングルームに入ります。また、1日の課題は、Google Classroomで課題を確認し、指示に応じた対応を実施します。

【オンライン授業ポータル『Clever』の実際の画面】朝のミーティングでは、Google Meetを生徒から呼び出しミーティングルームに入ります。また、1日の課題は、Google Classroomで課題を確認し、指示に応じた対応を実施します。

画像: GoogleClassroomの実際の画面 。課題確認や宿題確認など実施

GoogleClassroomの実際の画面 。課題確認や宿題確認など実施

【授業をサポートするツール】アニメーション動画コンテンツを見ながら、科学や地理や算数、美術などさまざまな基礎が学べるオンライン学習コンテンツの『BrainPOP』。オンラインで百科事典の動画を見ている感覚で、クイズなどもあり楽しく学べます。(うちの子供たちがお気に入りのアプリです!)

画像1: 実際のオンライン授業のツールと使い方

【プレゼン用ツール】課題提出は、Google Classroomでも可能ですが、米国では課題に対して調べた内容を生徒がプレゼンすることが多くあります。その場合は、タブレットなどで動画を撮影し、そのままアップロードができる『Seesaw』というアプリケーションを利用します。

画像: レオナルドダビンチに関してプレゼンをした時の画面

レオナルドダビンチに関してプレゼンをした時の画面

【語学コンテンツ】ImagineLearning』を利用します。英語の文章を読み、その内容や語彙、文法を学ぶことができます。日本の国語テストのオンライン版といったところでしょうか。テストの結果に応じてパーソナライズのコンテンツが次々と提供されます。

【学校と親とをつなげるアプリケーション】子供の成績管理や出席日数管理、年間カレンダーなど子供の情報管理ツールは、オンラインアプリケーションのEdupoint社が提供する『ParentVUE』をプラットフォームにしています。情報を管理するSchool District、いわゆる教育委員会と学校、親が子供に関しての情報を管理、参照することができます。
また、日々の連絡事項や保護者会などのSchool Districtや学校からのアナウンスは、『ParentSquare』がプラットフォームになっています。今回の学校再開に関しての案内や保護者会のアナウンスなどは、このアプリケーションを経由して連絡あります。
最後にPTA用にもツールが用意されていて、『Konstella』を利用しています。PTAの役員イベントや先生や学校に対しての寄付などの連絡などで利用しています。

このようなツールを利用して1年間、滞りなく授業を受けることができたのは、大変良かったと思いますが、すべての子供たちが同じように参加することが難しい事実もあります。Digital Divide、いわゆる「デジタル格差」の問題です。日本よりも貧富の差が激しい米国。ロックダウンのタイミングでは、インターネット環境がない。個人個人で利用できる端末がない。といったインフラ面の課題もありました。

そういった中で、自治体の対応や個人や企業から寄付などで、いくつかの地域では、無償でデバイスを提供したり、Wi-Fi環境を整備したり、など課題を克服しようとする動きも活発に行われていました。一例をご紹介します。

冒頭にお伝えした通り、人々のウイルス拡散防止対応、ワクチン接種、医療機関の方々の多大なる貢献により、学校が再開できました。そして、改めて対面でのコミュニケーションに勝るものはないということも、実感することができました。今後、通学が再開することになっても、ここまで整備されたオンラインプラットフォーム、アプリケーションを終了するという選択はないのではないかと思っています。

連絡事項、課題確認など大量の紙のやり取りがデジタルに置き換わることによって、スマートになることはかなり実感できました。しかも後で確認すること、データを見ることができるのもありがたいです。

対面での授業やコミュニケーションに加え、デジタルツールが存在し、生徒も親も学校もプラスに働く使い方ができるハイブリッド環境が今後の新たな学習形式になるのではないでしょうか。

画像2: 実際のオンライン授業のツールと使い方

今回も最後までお読みいただき有難うございました。

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