ユニアデックスの片澤です。

米国は学校の新学期が始まり、私が住んでいるカリフォルニア州では、昨年のほぼオンライン授業から完全にリアル授業に戻り、登校できるようになりました。当然、マスク着用は必要ですが、スナックタイム(リセス)もランチも復活して、子どもたちは楽しく過ごしている印象を受けます。

米国では、リセスという授業間の休憩時におやつを食べることができます。日本の感覚からすると遠足の時のお楽しみが、毎日あるという不思議な感覚です。

学校活動は、戻りつつあるもののハイスクールでは、すでに感染者が出たという連絡がきていたり、ワクチン接種しているか否かの確認の時や感染した場合は、PCR検査の実施と陰性証明の提示が必要となるなどのアナウンスがありました。また、ロサンゼルススクールディストリクト(日本の教育委員会に相当)は、12歳以上の学生にワクチン義務化を発表。1月10日までに、ワクチン2回の摂取が必要になります。

一方、企業側は、もう少し出社再開までは時間がかかりそうです。というのもGAFAは相次いで再開時期の延長を発表しています(Google, Facebookなどは、2022年の1月再開予定)。その他の大企業も最低1カ月の延長をしているなど、各社デルタ株の動向を探りながらといった状況です。

さらに米国は、またしても自然災害に見舞われました。私が住んでいる西海岸は、山火事。南部から東海岸は、ハリケーンの影響。それぞれで甚大な被害が出ています。山火事は、現在でも燃え広がっていて、きれいな森が消失していくのは、悲しい限りです。

画像: 山火事の場所から離れてはいますが、空気が少しよどんでいます。

山火事の場所から離れてはいますが、空気が少しよどんでいます。

インターネット上の仮想空間「メタバース」とは

気を取り直して今回は、「仮想空間」、「メタバース」に関してフォーカスしていきたいと思います。さて、さて、メタバース(Metaverse)とは、なにかと申しますと・・・

広義の意味としては、『インターネット上に作られた仮想空間』のことを指します。変化や超越したという意味を持つメタ(Meta)に、宇宙(Verse)を付けた造語です。今では、仮想空間向けのサービスの総称として一般化し始めています。

そのサービスの一つがゲームです。

代名詞的な存在として、RobloxとEpic gamesのFortniteが挙げられるかと思います。一度は聞いたことのあるワードではないでしょうか。親世代である方々はお子さんが遊んでいて、そこで知ったという方も多いかと思います。

Robloxは、今年3月にIPOを実施し、常にユーザー数を伸ばしていて、月間アクティブユーザー数は、全世界で1億9900万人

Minecraftは、登録者数1億4000万人、Education Editionなどもあり、プログラミングが学べるモードも存在。アメリカでは学校の教材としても利用されている。

Fortniteは、月間アクティブユーザーが8,040万人(登録数は、3億5000万人)で、最近は、ゲーム内で有名なミュージシャンや歌手がコンサートを実施したことでも話題になりました。

こういったゲームは、ゲームにConnectして、そこで自分の世界をCreateし、友達に参加してもらう。そこでCommunicationしながら、新たな世界をCollaborationしていく。

このCommunicationやCollaborationが活発化することで、新たなビジネスシーンが期待されています。インターネットやSNSの未来にあるのはメタバースとも呼ばれています。

メタバースがトレンド化され始めたのが、RobloxがIPO(新規上場株式)してからの印象があり、投資対象としても注目が集まり始めました。

そして、先月、Facebookが発表したバーチャルオフィス&ミーティングVRアプリ『Horizon Workrooms』でエンタープライズの領域でもメタバースの可能性について大きくアナウンスされました(後半にWorkroomsの体験記を簡単に紹介しています) 。

メタバース空間体験の成功に必要なもの

では、トレンド化された要因は?ということでいくつか可能性を挙げてみました。

一つ目は、世の中がコロナ禍でオンラインでのコミュニケーション、コミュニティーを必要とした

二つ目は、インターネットの速度とキャパシティーの進化

三つ目は、VR/ARなどの没入型のデバイスの進化

画像1: メタバース空間体験の成功に必要なもの

メタバース空間体験の成功には、入り込む『没入感:Immersible 』の実現が不可欠 なのですが、上記、二つ目と三つ目の進化は、

・高速インターネットを利用した高画質のビデオストリーミングと双方向コミュニケーションの実現

・本人が空間に入り込むための視覚、聴覚、触覚インターフェースの出現

をもたらしたと感じています。

直近のデータでもインターネットのスピードは、全世界で拡張しています。それに加えアクセスデバイスのラストワンマイルで利用されている無線LANのスピードも10年前とは比べ物になりません(10年前は11nが出たばかり、一般的には10数Mbps程度)。そして、スピードの面もさることながら、キャパシティー面も改善しています。

一人で仮想空間に参加するのであれば、単純にコンピューター相手にゲームに参加しているのと変わりがなく、そこにコミュニケーションは発生しません。現在提供されているゲームプラットフォームなどでは、100人が同時に1つの空間上に入り、プレーすることが可能であり、そこでコミュニケーションすることができます(FortniteのTravis Scottのコンサートでは、同時参加者が1230万人と報道されていますが、実際は、100人単位の小部屋にそれぞれライブストリーミングを実施したといわれています)。

このことをテレビ会議システムに当てはめると、約10年前は3拠点会議などで動画がカクカクしていましたが、今では100名同時接続できる技術進歩が当たり前に感じられます。しかし、Zoomも同時参加は100名までですので、今の限界値がここ。さらなる拡大に期待したいです。

そして、仮想空間の体験は、PCの画面越しからVR/ARデバイスの進化によって、さらに没入感のある体験が可能となりました。

VR/ARデバイスでは、Facebook OculusQuest2HTC VIVEMicrosoftHololens 2などがあり、映像チップセットの進化、コントローラーなしでのVRインターフェース利用可能など、没入感+操作性を兼ね備え始めています。ヘッドマウントディスプレイの重さや酔いに対しての懸念はあるものの、メタバースの世界へと導く手段の進化には、今後も期待が高まります。

こういった環境が整うことにより、その先にある姿。そして、インターネットの先といわれる所以は、『リアルとバーチャルの融合』に他なりません。

画像2: メタバース空間体験の成功に必要なもの

メタバース空間とリアル上でのビジネス

では、今後、メタバースの空間とリアル上でどういったビジネスが生まれていくのか、考察していきたいと思います。

【例1】
メタバースの空間上にあるファミレスの看板広告に映っていた商品を『食べたい』と思い、クリックしてみる。

オーダーができる。

近くの実店舗から自宅に本当にデリバリーされる。

【例2】
リアルでとても気に入ったスニーカーを手に入れることができた。これをメタバース空間にいる自分のアバターにも履かせたい。

スニーカーメーカーサイトに行き、メタバース用のバーチャル商品を購入

メタバース上で無事着用できる。

【例3】
自作した3Dアートのキャラクターをメタバース空間上でNFTとして販売してみる。

空間上のインフルエンサーの目に留まり、高値で取引される。
取引は、仮想通貨を利用。

仮想通貨をリアルで換金し、資産化する。

NFT(Non-fungible token):非代替トークンのことで、ブロックチェーンの技術を利用した非代替トークンのことを指します。代替することができないデジタルで作られた絵や3Dアート、音楽、コレクターカードなどさまざまなものが存在します。NFTに関しては、別の機会に紹介させていただきたいと思っています。

すでに実現しているサービスもあるかもしれませんが、 メタバース上のモノをリアルに商品として受け取る。または、その逆の方法などで商品流通があります。当然、新しいブランドやクリエイターが生まれるでしょう。

また、モノを流通させると通貨のやり取りが発生しますが、こちらも仮想通貨に始まり、その投資や預金などのサービスも出てきそうです。

簡単に想像するだけでもこういったイメージは湧いてきますが、まだメタバース自体は、完全に定義されているものでもなく、解釈が分かれてくる分野でもあります。そのため、FacebookやMicrosoftなどのビッグテック企業をはじめ、メタバースに可能性を見いだしているスタートアップ企業やサービスが、新しい世界、ビジネス領域の派遣争いを開始し、これからどのように変化していくのかが面白い分野でもあります。

【体験しました】FacebookHorizon Workrooms実際に利用して、少し未来のワークスペースを感じることができました。

画像: ログイン後の個人のWorkrooms画面。Oculus Remote DesktopをinstallしたPCの画面をOculusのVR画面に表示することが可能。対応しているデバイス(キーボード)であれば、VR上でPCのデスクトップ上の操作も可能となる

ログイン後の個人のWorkrooms画面。Oculus Remote DesktopをinstallしたPCの画面をOculusのVR画面に表示することが可能。対応しているデバイス(キーボード)であれば、VR上でPCのデスクトップ上の操作も可能となる

画像: コラボレーション用のWorkrooms画面(1/2)。ミーティングルームごとにURLが設定されており、オンラインミーティングのように参加することが可能

コラボレーション用のWorkrooms画面(1/2)。ミーティングルームごとにURLが設定されており、オンラインミーティングのように参加することが可能

画像: コラボレーション用のWorkrooms画面(2/2)。前述したPC画面を自分で見ながら、参加者に共有することができる。これ以外にホワイトボード機能もあり、実際にアイデアなどを書きながら議論もできる

コラボレーション用のWorkrooms画面(2/2)。前述したPC画面を自分で見ながら、参加者に共有することができる。これ以外にホワイトボード機能もあり、実際にアイデアなどを書きながら議論もできる

画像: コラボレーション用のPC参加者の画面。Oculusがないユーザーでもミーティングルームに参加することができる

コラボレーション用のPC参加者の画面。Oculusがないユーザーでもミーティングルームに参加することができる

残念ながらOculus Quest2が1台しかなく、実際のコラボレーションイメージが体験できませんでしたが、所持している方とコラボレーションができるなど、正式版がリリースされたころには、動画でのレビューもしてみたいと思います。ご期待ください。

本日も最後までお読みいただき、誠に有難うございました。

画像: ユニアデックス 片澤 友浩 ユニアデックスでは、約20年以上前から米国・シリコンバレーに駐在員を配置し、現地の最新ICTトレンドや技術動向、新たなビジネスモデルの探索を実施しております。日本ユニシスグループの米国拠点であるNUL SystemServices Corporation(以下、NSSC)に所属し、今までは当社営業やマーケティングを通してお客さまに届けていた情報を、定期的にNexTalkでも配信していきます。

ユニアデックス 片澤 友浩
ユニアデックスでは、約20年以上前から米国・シリコンバレーに駐在員を配置し、現地の最新ICTトレンドや技術動向、新たなビジネスモデルの探索を実施しております。日本ユニシスグループの米国拠点であるNUL SystemServices Corporation(以下、NSSC)に所属し、今までは当社営業やマーケティングを通してお客さまに届けていた情報を、定期的にNexTalkでも配信していきます。

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