ユニアデックスの片澤です。第9回目になります。
早いもので2020年が終わろうとしています。2020年最終回は、今年を少し振り返ってみたいと思います。

画像: ユニアデックス 片澤 友浩 ユニアデックスでは、約20年以上前から米国・シリコンバレーに駐在員を配置し、現地の最新ICTトレンドや技術動向、新たなビジネスモデルの探索を実施しております。日本ユニシスグループの米国拠点であるNUL SystemServices Corporation(以下、NSSC)に所属し、今までは当社営業やマーケティングを通してお客さまに届けていた情報を、定期的にNexTalkでも配信していきます。

ユニアデックス 片澤 友浩
ユニアデックスでは、約20年以上前から米国・シリコンバレーに駐在員を配置し、現地の最新ICTトレンドや技術動向、新たなビジネスモデルの探索を実施しております。日本ユニシスグループの米国拠点であるNUL SystemServices Corporation(以下、NSSC)に所属し、今までは当社営業やマーケティングを通してお客さまに届けていた情報を、定期的にNexTalkでも配信していきます。

2020年の米国経済活動

今年は、COVID-19の影響で世の中が一変してしまいました。経済活動では、2008年のリーマンショック時を思い出させるかのような、株価の下落、失業率の悪化がありました。

画像: ダウ平均株価の過去1年間の推移

ダウ平均株価の過去1年間の推移

米国の株価自体は、年々右肩上がりなので金額ベースでは、過去最大の上昇/下落幅を更新。(TOP5以上はいずれも2020年)また、利率に関しても過去20年間で3月24日と3月16日が最高値になっています。これはリーマンショック時を上回っています。

3月の時点では先行きが不透明、どうなってしまうのかと予想されましたが、経済活動は戻りつつあります。GDP数値を見てもV字回復見せていました。

画像: 四半期ごとのGDP指数。OECDDataを元に筆者作成

四半期ごとのGDP指数。OECDDataを元に筆者作成

日本国内の変化は米国ほどではないかもしれませんが、こちらでは今まで当たり前にできていたことが、まったくできなくなってしまい、生活が180度変わりました。特に2020年3月~7月に掛けてがピークでした。

画像: 米国内はいまだ元通りにはなっていない

米国内はいまだ元通りにはなっていない

この生活習慣の変化や新しいサービスに関しては、これまでの連載記事で紹介してきましたが、それらをまとめてフォーカスしてみましょう。

コンシューマービジネスの動向

まずは、コンシューマービジネスです。

画像: コンシューマービジネスの飛躍したエリアと低迷したエリア (eMarketer記事より引用)

コンシューマービジネスの飛躍したエリアと低迷したエリア (eMarketer記事より引用)

(1)eコマース

米国では、外出自粛とパブリック施設の営業自粛に伴い、サービスやエンターテイメントに分類される業種は、大打撃を受けました。レストラン、バー、小売(アパレル関連)、美容室、旅行、イベント、教育などがそれに当たります。小売は特に打撃がひどく、以下は今年1年で倒産した主な企業です。

画像: コンシューマービジネスの動向

実際、外出自粛の間、私も上記にあげたサービスをほぼ利用していませんでしたし、すでにチケットを購入していたコンサートは、2021年にそのまま持ち越しという状態です。

では、人々の消費はどこに移行したかというと、家電、家具、食料品などです。家庭内で利用できる製品やサービスは、増加しています。わが家でもお酒などは以前に比べて格段にレベルアップ、外出はできないからと割り切って、どうせならと普段よりはよいものを選択したことを覚えています。

そして、これらを購入する方法はeコマースが中心であり、AmazonやWalmartなど大手サイトで利用するという流れです。

これらは、
1.もともとのブランド力が強くコストメリットがある
2.サイト自体がユーザー視点で利用しやすい
3.自分に合うパーソナライズされた商品がリコメンドされる
4.そして注文するとすぐに届く

などの機能を持っています。 上記で紹介した倒産してしまった企業もeコマースのサイトを準備していたようですが、大手との競争力や独自性を見いだせず、売上につながらなかったという結果ではないかを考えられます。

画像: 米国のeコマースTOP10企業の割合とそれぞれの成長率(eMarketer より引用)。TOP10が占めるeコマース全体の割合は年々上がっており、2020年は60%を超える。勝ち組と負け組がより鮮明になっている

米国のeコマースTOP10企業の割合とそれぞれの成長率(eMarketer より引用)。TOP10が占めるeコマース全体の割合は年々上がっており、2020年は60%を超える。勝ち組と負け組がより鮮明になっている

(2)旅行やシェアリングエコノミ ―

旅行の予約サイト、飛行機や船、レンタカーなどの移動手段、ホテルや民泊など宿泊施設、観光施設などが影響を受けました。

ただ、この領域は短期的な落ち込みという見方が強く、人の旅行に対する欲求は抑えることができません。ビジネスの移動は以前よりも少なくなるかもしれませんがコンシューマーの利用はむしろ飛躍的に回復するのではないでしょうか。

(3)メディア

外出ができないことで、より一層、『スマートデバイスを利用しながらサブスクリプション型の動画配信サービスやSNSを利用する』という流れになりました。オンデマンドサービスは、もともと先行していたNetflixやAmazon Prime、そこに昨年サービスが開始したDisney +が飛躍的に会員数を伸ばし、SNSではTikTokが同じく会員数を大幅に伸ばすことになりました。

それに伴い、既存のTVなどの広告収入が減り、無料のオンデマンドサービスやSNSに広告費用はますます流れていくのではないでしょうか。

エンタープライズ市場の動向

続いては、エンタープライズ市場です。こちらに関してもリモートワーク中心に見ていきたいと思います。

(1)コラボレーションツール

リモートワークに関しては、フルリモートというわけではないかもしれませんが、Workfrom homeは引き続き活用されていくという流れが強いように感じます。当然、業種による違いはあるものの、新しい働き方のメリットに気づいてしまったという感じがします

家族のつながりをより大事にする国民性、渋滞による時間のロス、もともと残業などなく成果主義のビジネス文化などの点から、米国ではメリットのほうが多い気がします

画像: 米国でのコラボレーションツールの利用率 (eMarketer より引用)。「Zoom」「Microsoft Teams」が代表格

米国でのコラボレーションツールの利用率 (eMarketer より引用)。「Zoom」「Microsoft Teams」が代表格

新しい働き方のツールになったコラボレーションツール市場は、飛躍的に成長することとなりました。リモートワークが続いていくと想定されるため、あらゆる企業にツールが行き届くまでは成長領域になりそうです。今度はコラボレーションツールとのエコシステム連携に注目が集まっていくでしょう。先日開催されたZoom社のイベントではアプリ連携機能の発表もありました。

(2)SaaSをはじめとしたクラウドサービスビジネスへの加速

企業は、COVID-19における収益の悪化により、設備費用の見直しを余儀なくされました。そこで費用見直しの対象となったのが、ソフトウエアのライセンス費用です。新しい働き方の変更に移行するうえで、SaaSサービスを利用する。そうすることで従来のソフトウエアライセンス費用を圧縮できるという流れです。

画像: 商用ソフトウエアライセンスからSaaSへの移行を予定しているアンケート結果(Business Insiderより引用)

商用ソフトウエアライセンスからSaaSへの移行を予定しているアンケート結果(Business Insiderより引用)

また、これはソフトウエアだけに限った話ではなくなっています。インフラストラクチャーやプラットフォームにも同じようなコンセプトが当てはまり、ソフトウエアの保守費用、ネットワーク機器の保守費用などを利用料形式のクラウドサービスに置き換える動きはますます加速していく予想になっています。

画像: クラウドサービスの利用予測。2020年6月 (Statista より引用)

クラウドサービスの利用予測。2020年6月 (Statista より引用)

(3)セキュリティー

リモートワークが必然になったことで、ネットワークなどへの接続環境見直しとしてゼロトラストモデルのセキュリティーが飛躍することになりました。従来のVPN接続モデルでは、大人数の接続に耐えるためには、設備の増強とそれに伴うコストが必要になります。また、万が一、接続情報が漏洩した場合、ネットワーク全体が危険にさらされます。

ゼロトラストネットワークでは、「何も信頼しないセキュリティー」の考え方を実行し、その中で、必要となるアプリケーションを正しい人が正しく利用しているかどうかを確認します。当初からソリューションとしては存在していましたが、COVID-19の影響から市場予測よりも早く進んだ印象があります。

画像: 経営幹部のセキュリティー投資予測(Business Insiderから引用)

経営幹部のセキュリティー投資予測(Business Insiderから引用)

また、「セキュリティー対応状況の可視化」にも重点が置かれ、こちらもリモート環境におけるセキュリティー導入が進んだことにつながったようです。

人々の生活、経済活動、働き方など激変したこの一年ですが、対応するためにテクノロジー利用が多くの部分で発揮されたのは、非常に喜ばしいことです。
米国では、以下のキャッチフレーズが度々、発信されていました。

Who led the digital transformation of your company?

1) CEO
2) CTO
3) COVID-19 ⇒ 正解!

とてもこの1年を象徴するフレーズだと改めて感じました。

2021年は経済のV字回復がますます期待され、生活が戻り始めていき、新たなビジネスやサービスが生まれる予感もします。来年も米国の情報をお届けしていきたいと思います。ご期待ください。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

A Merry Christmas A Happy New Year !!!

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