ユニアデックスでは毎年4月に、社員の結束を固めるための社内イベントを実施しています。先月も盛大に実施しましたが、今年度はサプライズゲストとして書家/アーティストの紫舟(シシュー)さんにご登場いただきました。
紫舟さんは、2010年のNHK大河ドラマ『龍馬伝』の題字で広く知られ、題字制作者としての印象はありましたが、今回のようなイベントでもパフォーマンスしていただけるということを聞きつけ、「結束を固める場にふさわしい書画のパフォーマンスをぜひに」と依頼したところご快諾いただいた次第です。
イベントの中盤、静かな音楽とともに登場した紫舟さんは、そのままステージ上に立てられた縦3メートルはあろうかという大きな和紙に向かいます。最初は思いのほか小さい筆を持ち、表から描き始めたのは鷹の絵です。丁寧にくちばしや目や羽を描いていたかと思えば、和紙の裏側に回り、裏面から墨を乗せることで表面に翼が浮き出てきます。クライマックスでは、鷹の目線の先に太陽が描かれ出すと、次第に「創」という文字があらわれます。
描き手は見えず、絵だけが次々と浮かび上がるような不思議な演出で、観客はたちまちひき込まれてしまいます。約15分間のパフォーマンス、描かれたのはご覧の通り「創」の字と羽ばたく鷹の絵です。未来に向かって、困難に立ち向かい創造するという意味が込められており、当社にとっては正に勢いづくきっかけになる作品を描いてくれました。
紫舟さんは、現在ミラノで大展覧会を開催と世界でアーティスト活動を行いながら、日本では伊勢神宮への書の提供など、多岐にわたり活動され代表作も実に多数。受賞歴も華麗です。2014年のフランス国民美術協会展では書画で金賞、「書の彫刻」で最高位金賞と、日本人初の金賞ダブル受賞をされています。
「書の彫刻」? 一瞬、それは一体何? と思わせます。これは実物を拝見しましたが、書で書かれた文字を3次元の立体造形にした彫刻作品です。筆圧の深度を、彫刻の線が手前と奥に前後することで視認でき、平面ではなく立体にしたことで文字の奥行きを感じることができるのです。
あたかも宙を舞う書です。彫刻に光を当てることで壁面に文字の影が映し出され、そのゆらぎが、文字が内包する意思をあらわしているかのようです。全く独創的な世界観です。この作品により「北斎は立体を平面に、紫舟は平面を立体にした」と評されたそうです。
北斎も引き合いに出されるほどの紫舟さんに、当社のためにと作品を作っていただいたとは、なんとも贅沢なことです。社員も大いに盛り上がりました。紫舟さん、これからも類を見ない作品づくりと世界への発信に精力的に取り組まれてください。