マレーシア語の「セパ(蹴る)」とタイ語の「タクロー(ボール)」の造語である「セパタクロー」。最近、じわじわと注目度が上がってきているスポーツみたいです。ユニアデックスの社員2名が、日本代表の選手としても活躍していると知り、その1人営業マンの宮寺 渉平さんに突撃取材しました!
ー 「セパタクロー」について教えてください
宮寺 セパタクローはアジア、特にマレーシアとタイで人気が高い競技です。タイには強いプロリーグがあり、公園にはセパタクローのネットが張られていて、夕方になると子供から大人までが親しんでいる身近なスポーツです。日本ではまだまだ、マイナーですが... ...。競技の特徴を簡単にいうと、サッカーの要素とバレーボールの要素が合わさった競技です。バドミントンと同じ高さのネットをはさんで足や腿(ももやスネ)、頭を使い、 ボールを相手コートに返す競技。ルールはバレーボールに似ているため、観客にもわかりやすいと思います。また、試合では3人1組で対戦し、3セットマッチ中、2セットを21点先取したチームが勝利します。サッカーと同じで肩から下の部位を使ってはいけませんが、1人が3回ボールに触れることができます。日本の競技人口は、男女合わせて2,000人ほどいると思います。
ー ボールは小ぶりですが、結構硬そうですね。頭や時には顔に当たって痛そうです?!
宮寺 そうですね。日本代表の男子が蹴るボールは、時速120Km程にもなるといわれていますので、正直スネや膝に当たると痛いこともあります。特に冬は、ボールがより硬くなるので、地肌に当たると最初の頃はかなり痛かったですね。
ー ところで「セパタクロー」をはじめたきっかけは?
宮寺 私は亜細亜大学出身なんです。新入生の時に部活動で勧誘されたのが「セパタクロー」だったのがきっかけです。実は勧誘のときに、必ず言う神コトバがあります。「努力をすれば、日本代表になれる道が最短のスポーツだから、やってみないか」。他のスポーツに比べて競技人口の少なさなどもあり、興味を持ってもらうために使うんですが、私も運良く大学3年生の時に、日本代表に選出していただき、2006年のドーハアジア大会に参加しました。競技としては、アジア大会が最大の国際大会になりますが、年に数回はタイなどで国際大会が開催されています。私は、19歳からはじめたので、競技人生は15年ほどになりますね。今は、SC TOKYO という社会人クラブに所属していて、大学のOBや後輩などとチームを組み、競技を行っています。
ー なるほど、大学生から競技を始めて日本代表になれるスポーツは、なかなかないですよね。そういえば、「セパタクロー」の部活動がある大学って、他にもあるのですか?
宮寺 亜細亜大学のほか、日本体育大学、慶應義塾大学、千葉大学、東京工業大学などに部活動があります。ただ、残念ながら、企業のクラブチームというのは一部しかなく、卒業して社会人になると競技を辞めてしまう方が多いですね。
ー では、ずばり「セパタクロー」の魅力は?
宮寺 セパタクローの一番の魅力は、競技のダイナミックさだと思います。ただ、そのダイナミックさの裏側にある、繊細なボールタッチやチーム内での戦略などの駆け引きが面白い部分だと思います。私はたまたまですが、小学・中学の時はサッカー、高校ではバレーボール経験していたため、すんなり始めることができたと思っています。私も華麗な日本代表選手のアタックに憧れて始めましたが、最初はひたすらボール蹴りや柔軟体操の基礎練習ばかりでモチベーションを維持するのに苦労しました。さらにサッカー経験があるので、リフティングは簡単にできると思っていたのですが、ボールの大きさや重さがちがうため、かなりてこずったことを覚えています。でも、このちょっと上の難しさが、手が届かないほどのものではなく、努力の成果が実感しやすいことが、「セパタクロー」にはまった魅力の一つだと思います。
ー 危険なスポーツではなさそうですが、ケガしたりしますか?練習はきついのですか?
宮寺 やはりダイナミックなプレーの際には、ケガをすることもあります。私は幸いこれまで大きなケガはしていませんが、蹴る、ジャンプするのが肝のスポーツですので足をケガする人は多いです。社会人になってからは、もっぱら土日に公園やカベを利用してボールを蹴る練習をしています。一人でひたすらボールを蹴ってると怪しいですよね(笑)。きつい走り込みや、筋トレは特にしていないのですが、大会前などは柔軟体操などを念入りにするようにしています。
ー 「セパタクロー」を続けていて、仕事に役立つことはありますか?
宮寺 セパタクローはバドミントンや卓球と同様に、ネットスポーツのため相手との心理戦になります。それなので、仲間とのコミュニケーションの良し悪しは勝敗に大きく起因していると思います。試合中は、1プレーごとにメンバーととても多く会話しますし、セパタクローの特徴的な動きとして、レシーブを受ける際、試合中に両手を広げることが多くあります。自分たちの力を鼓舞するためというのもあるのですが、その実、手で仲間との距離を測ったり、相手の調子を観察したり、無意識のコミュニケーションも独特な所だと思います。「セパタクロー」のように3人一組で行う競技は実は少なく、この競技から得がたいコミュニケーション力や観察力がついたのではないかと思ったりします。
特に私の仕事は営業なので、例えば、お客さまと打ち合わせをしている際、表情や動作などからその日の様子を想像したりしています。また、「セパタクロー」の話題で、場が和んだり興味を持っていただくこともありますので、この競技を続けていて良かったなと感じます。また、会社の同僚や上司が試合を観戦に来てくれることも嬉しいですね。毎年7月頃には錦糸公園の体育館で、12月には駒沢公園内の体育館で、無料観戦できる大きな国内大会が行われています。ぜひ、気軽にセパタクローを観戦に来ていただきたいです。
- 同僚で一緒に「セパタクロー」をしている方がいらっしゃるのですよね
宮寺 はい、彼は大学の後輩なのですが、私があの神コトバで「セパタクロー」に勧誘し、ユニアデックスにも誘いました(笑)。彼は静岡出身なので、サッカーをやっていましたが、大学生になり「セパタクロー」の楽しさを知った一人です。入社してからエンジニアとして広島や山口に転勤し、お客さまによりそうエンジニアとして技術を磨き、2017年4月に東京に戻ってきました。その間、一緒に競技することは少なかったのですが、人懐っこい性格でコミュニケーション力に長けた後輩に成長しましたね。
ー 最後に「セパタクロー」を続ける秘訣は?
宮寺 ずばり、家族の理解です!土日に大会があるので、家を空けることが多くなりますし、練習があるので、子どもがまだ幼いため遊んであげられる機会が減ってしまいますが、続けさせてもらえていることに家族には感謝しています。また、現役の大学生と競技で真剣に勝負ができるのもとても楽しいです。ケガをしないように気をつけながら、できるだけ長く続けていきたいですね。