世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスは、いつ収束するのでしょうか。なかなか出口が見えない深刻な影響が続いています。2020年4月7日、日本でも政府が「緊急事態宣言」を発出し、国民の生活が一変しました。
実はこの4月からの新コーナーとして、米国・シリコンバレーに駐在員として派遣されている当社担当者から、現地の最新ICTトレンドや技術動向をご紹介する「シリコンバレー便り」をお届けする準備を進めておりました。その前に、新型コロナウイルス感染が続いている米国の現状とその影響について、担当者が肌で感じた最新情報を速報いたします。
片澤 皆さま、初めまして。第1回目の「シリコンバレー便り」は書き上げていましたが、日本も予断を許さない状況になっていますので、急遽現在、世界一の感染者数になってしまった米国の現状をご報告させていただきます。少しでも、ご参考になると良いのですが…。
ご存じのように米国では2020年3月17日に米政府による感染防止対策を受け、全国民がShelter in Place(屋内避難)となり、すべてのワークに関しても在宅対応が余儀なくされています。当然ながら、開催予定されていたカンファレンスやイベントも延期、中止、もしくはオンライン開催となっています。
社会情勢では、社会維持に最低限必要な仕事の従事者以外はすべてShelter in Placeです。NSSCのオフィスビルも郵便物の確認など、避けられない業務以外は入館が規制されています。その際もSocial Distanceなどのルールは守らなければなりません。
ちなみに、テレビのニュースキャスターも原稿を読むだけの人として扱われているため、家から番組出演し、ニュースを読み上げています。かなり徹底していることが感じ取れます。
教育面では、カリフォルニア州のすべての学校が今年度(6月末まで)休校することになりました。ただ、そこはカリフォルニアでして、ほとんどの学校がオンラインで授業を継続できます。これは、有事の際に教育用のアプリケーションを提供されているのはもちろんですが、普段から先生と生徒、または保護者とのコミュニケーションをGoogle Classroomなどを利用して実施しているので、いざというときのハードルが低く、対応ができるということに繋がっていると感じます。日本のレベルはそこまで達していないようですので、休校が長引くと影響が計り知れないのでは。
また、日常生活では小売店など食料品、日用雑貨、テレワークに必要な商品を売る店舗以外の営業は自粛です。それら店舗に至っても営業時間は縮小し、店内は6フィート(約1.8メートル)以上の距離を保てるように入場規制が設けられています。
外食産業では、テイクアウトのみの営業が可能で、採算が見込めないお店はクローズしています。当地で人気の高いステーキハウスもテイクアウトのみ。
ガソリンスタンドは、エッセンシャルワーク(生活に必要不可欠な領域)のため営業しています。そしてガソリン価格が下落しています。1か月前と比べても約$0.50下がっています。この辺りで、$3を下回ることは私が駐在してから初めてです。
ニュースでも小売や外食産業などを中心に報道されておりますが、事業を継続できない、あるいは見合わせている企業などは、容赦なく従業員を解雇している厳しい現状があります。そのため失業者が増加している模様ですが、その一方、Amazon、食品小売大手Safeway、DominoPizzaなど在宅消費者にサービスを提供する企業は、雇用を増加しているとのことです。日本もこのような傾向になるかもしれませんね。
ここに見える米政府の狙いは、解雇した人たちを失業保険で生活を最低限維持させ、会社を存続させる。そして、収束後に再度雇用を生み出し、回復させるというスタンスだと考えられます。日本はどのような対策に乗り出すのでしょうか…。
プライベート領域は、同居家族以外とは必ず6フィート間隔を設け、散歩やジョギング、サイクリングのみ可能です。公園、テニスコート、ゴルフ場などのパブリックスペースもすべて入場禁止。このことはすべて条例で規制されているため、違反者の罰則は軽犯罪になります。罰金が課せられ、5月3日まで継続することが決定しています。
日本でも報道されていると思いますが、米国の医療現場は緊迫した現状が継続中ではありますが、まだ医療崩壊、社会崩壊までには至っておりません。
このような不安で気が滅入る日々の中、カリフォルニアは米国の中でも人のつながりをとても大事にしていて、温和な環境であると感じます。
実は米国では、人口の割にはよくこの状態でしのいでいるという見方をする向きもあります。加えて、自分の言葉でメッセージを発信しながらトランプさんがぐいぐい施策を推進するリーダーシップに安心感を覚える向きも少なくありません。諸説ありますが。そんなことも手伝って、意外と温和で冷静な環境になっているのではと感じます。
最近、流行っている掛け声をご紹介します。小売店の店員と関わったり、散歩中などにすれ違ったりするほとんどの人々が、
「Stay safe, Be careful」
と声を掛け合っているのです。
オンラインのイベントでもスライドの最初と最後にこの合言葉が入っていることが多く、誰もがこの現状を早く収束させたい、強い思いが溢れ出ています。1日も早い回復を願うばかりです。日本の皆さまも十分にお気をつけていただければと心からお祈りします。
次回からは、予定していたシリコンバレーのICTトレンドなどをお届けしたいと思います。