ユニアデックスの片澤です。第12回目お届けします。

画像: ユニアデックス 片澤 友浩 ユニアデックスでは、約20年前以上から米国・シリコンバレーに駐在員を配置し、現地の最新ICTトレンドや技術動向、新たなビジネスモデルの探索を実施しております。 日本ユニシスグループの米国拠点であるNUL SystemServices Corporation(以下、NSSC) に所属し、今までは当社営業やマーケティングを通してお客さまに届けていた情報を、定期的にNexTalkでも配信していきます。

ユニアデックス 片澤 友浩
ユニアデックスでは、約20年前以上から米国・シリコンバレーに駐在員を配置し、現地の最新ICTトレンドや技術動向、新たなビジネスモデルの探索を実施しております。日本ユニシスグループの米国拠点であるNUL SystemServices Corporation(以下、NSSC)に所属し、今までは当社営業やマーケティングを通してお客さまに届けていた情報を、定期的にNexTalkでも配信していきます。

前回の「ウェルネスツール」はご参考になりましたでしょうか。実際に「リモート患者モニタリング」を試してみると日常生活では見えないものがデータ化、可視化されるため意識改革につながり、自身の健康意識への高まりを感じています。そして、その影響から健康維持のためにトレイルでのウォーキング三昧をしていますが、子供の学校のWinter brake期間を利用して、デスバレー国立公園に足を運んでみました。

画像: デスバレー国立公園。昨年夏に世界最高気温、華氏130°(摂氏約54℃)を記録している場所で(所説あり)、夏は靴底が溶けるくらい暑くなるそう。福島県と同じくらいの広さの公園。砂丘があり、クレーター山があり、塩湖があり、トレイルがありと自然を堪能できる

デスバレー国立公園。昨年夏に世界最高気温、華氏130°(摂氏約54℃)を記録している場所で(所説あり)、夏は靴底が溶けるくらい暑くなるそう。福島県と同じくらいの広さの公園。砂丘があり、クレーター山があり、塩湖があり、トレイルがありと自然を堪能できる

この広大な土地の中では、携帯の電波が通じません。つながるのは宿泊施設がある場所の2~3カ所のみです。地図と水、ガソリンは、常に常備&満タンが必要という環境になります。そしてガソリンスタンドの隣に設置されるのは、EV(Electric Vehicle)用の充電ステーションです。テスラ社をはじめ、EVの需要が高まっている米国では、こういった自然の施設内にもEVステーションが設置され、需要促進につながっています。

今回は、EV(Electric Vehicle)/電気自動車に関してお伝えしていこうと思います。

米国のEV市場動向

画像: EV充電ステーション

EV充電ステーション

昨年12月に一時帰国した際、日本政府や東京都から2030年(30年代後半)までの脱ガソリン車の声明が出ました。

そのニュースを目にしたとき、「確かに必要だよな」、「世界各国など脱ガソリン車と言い始めているので、日本も遅れをとってはならないという判断がはいったんだなぁ」などと考えていました。

その後、米国に戻り少し違和感を覚えました。「同じ脱ガソリン車と言っているのに何かが違う…」

そこで気づきました。

まず、日本と米国では「圧倒的に走行しているEVの数が違う!」
そして、「EV充電ステーションの数が違う!」

シリコンバレーはテスラ社の本部があるおひざ元ですので、テスラ車の所有者も多いです。また、カリフォルニア州は米国の中でもとくに環境意識が高く、太陽光発電など再生可能エネルギーが積極的に取り組まれている地域でもあります。そのため、取り組みの内容が目に見えて感じることができます。

日本がそこまでEVの準備ができているのか?というとあまり実感できませんでした。よくよく調べてみると、日本側の声明は日本の自動車メーカーが得意なハイブリッド車も含んだ目標としているので、世界とは認識が少し違っているように感じます。

カリフォルニア州やEV導入で先行しているノルウェーやスウェーデン、イギリスなどでは、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車の禁止も目指しています。世界的に見るとゼロエミッション、脱化石燃料というのが市場の目標であり、そのためのEV導入という流れであるようです。

では、EVの市場がどうなっているのかを紹介します。EVは全世界で約324万台の販売実績がありますが、まだまだ、販売台数自体は多くなく、自動車販売全体の4.2%に過ぎません。

画像: EV世界販売台数 (EV-volumeより転載)

EV世界販売台数 (EV-volumeより転載)

EVの主要自動車メーカーは、以下のようになっています。

画像: 2020年のEV世界販売メーカーランキング(Statistaから引用)。BYDは中国深センの企業、SAIC/GM/Wulingは、上海汽車(中国)、GM(米国)、広西汽車集団(中国)の3社合併企業 、Renaultには日産自動車は含まれていない

2020年のEV世界販売メーカーランキング(Statistaから引用)。BYDは中国深センの企業、SAIC/GM/Wulingは、上海汽車(中国)、GM(米国)、広西汽車集団(中国)の3社合併企業 、Renaultには日産自動車は含まれていない

上記のデータから見えてくるポイントは、
1.ヨーロッパを中心とした環境意識の高い地域の企業とその国
2.国としてEVを推し進めている中国と中国企業
3.テスラ社の躍進
4.日本の自動車メーカー大丈夫なのか?
といったとこではないでしょうか。

米国の状況を紹介していきます。

カリフォルニア州の都市部ではEVの認知度は高まっているようですが、現時点のEVの割合はカリフォルニア州の登録車数 2770万台のわずか1.2%。新車販売に関しても5.3%にとどまっているため、まだまだ道半ばというか道のスタートラインといった状況です。 カリフォルニア州が一番進んでいるので、全米で見ても本当にこれからという状況です。

課題はいろいろあるようですが、その中でも大きく占めるのは車種と充電に関してだと思います。

現在市場に提供されているEVはテスラ製を筆頭に約40車種ありますが、そのほとんどがコンパクトセダンです。

画像: 2020年の米国でのEV販売車種ランキング(Statistaから引用)。9位が僅差でBMW i3、10位がAudi e-tron sportsback、Tesla Model XのみSUVタイプ

2020年の米国でのEV販売車種ランキング(Statistaから引用)。9位が僅差でBMW i3、10位がAudi e-tron sportsback、Tesla Model XのみSUVタイプ

米国での人気車種は、SUVと日本ではあまり馴染みのないピックアップトラックです。その人気は販売台数の実に70%程度を占めていて、日本の自動車メーカーも北米向けにはピックアップトラックを販売しています。したがって、EVのシェア拡大にはピックアップトラックの投入が必要不可欠になります。

大手メーカーの動きとして、SUVではVolkswagenとFordMustangが2021年の新車発売を控えていて、非常に期待されています。一方、ピックアップトラックのEVは距離とパワーの両立など課題も多く、2022~23年になるといわれています。

EVのスタートアップ企業

スタートアップ企業は大手企業よりも素早い対応として、ピックアップトラックや商用車のEVの取り組みを発表しています。その中から3社紹介します。

Rivian

画像: RIVIANのピックアップトラック R1T $75,000 ~。先日、家の近所でピックアップトラックEVが走行しているところを目撃!発売前なのでテスト走行だったのでは

RIVIANのピックアップトラック R1T $75,000 ~。先日、家の近所でピックアップトラックEVが走行しているところを目撃!発売前なのでテスト走行だったのでは

Amazonから資金提供を受け、配達用のEV商用車バンを開発していることで一躍脚光を浴びた。すでに資金調達額は80億ドルに達し、イリノイ州の工場で生産。Amazon 向けのEV商用車は、2021年後半から提供を開始予定。それ以外にもコンシューマー向けのピックアップトラックとSUVを同じく2021年夏ごろから市場に販売開始予定。

また、車両に加え、独自の充電ステーションとネットワークを構築し始めているようです。車両がアウトドア目的での利用も想定されるため、都市部以外の拡大に期待が持てます。

Lucid Motors

画像: Lucid Airシリーズ $69,900~

Lucid Airシリーズ $69,900~

シリコンバレーに本部があるEVベンチャー企業。今年に入りSPAC(注)での上場を実施。44億ドルの資金を調達し、2021年後半に高級セダンタイプのLucid Airを北米で発売予定。2023年には、高級SUVの発売予定もある。EV業界、投資家の期待が高く、Audi、BMW、メルセデスベンツと競合。マーケティングとして、シリコンバレーテクノロジーとサスティナビリティーを前面に押し出している印象です。

Arrival

画像: Arrival のEVバスと商用車(TechCrunchから転載)

Arrival のEVバスと商用車(TechCrunchから転載)

EV商用車を手掛ける自動車メーカー。モーターやタイヤ、バッテリーなどの駆動部分のモジュラーデザインを採用し、上物の部分を入れ替えられる仕様にしているため、全体の価格を抑えられることが特徴、安価な電気自動車がコンセプト。

2021年にSPACでの上場を予定。デリバリー企業のUPSが10,000台の利用を検討しているなど商用領域で注目されている。すでに1,200人の従業員を擁し、2021年後半での発売に向け準備中。

注:SPAC(Special Purpose Acquisition Company:スパック):特別買収目的会社の略。買収を目的に設立された企業を上場させて資金調達を行い、2~3年で買収のターゲットになる企業を選定し買収する方法。従来のIPO(新規株式公開)よりも時間とコストを抑えた上場が可能になるため、昨今、SPAC利用での上場が非常に増えている。

EV充電ステーション

現在、米国には約40,000カ所の充電ステーションと約97,000基の充電器がありますが、ガソリンスタンド数の約168,000カ所にはまだほど遠い状況です。

最近の動きでは、シェル社から新たに50万充電ステーションを設置する発表がされています。また、EVの充電新興企業ChargepointEVgoが、SPACでの上場を果たしています。

EVステーションの普及には利用率の向上が必須。そのためにはエリアネットワークを広げる必要があるが、コストがかかります。そこでSPACを利用した合併上場で得た多額の資金をネットワーク構築に費やすことができるというわけです。まずは設備投資し、EV利用の需要が拡大した後に利用料を徴収、資金回収から収益につなげていく流れかと思います。投資家もEVは成長領域であることは承知しているので、年月をかけて投資回収が行えるという算段です。利用者目線で考えると、利用箇所が増えるのでありがたいことです。

しかし、EVは、ガソリン車と違ってエネルギー補給(給電)に時間がかかります。給電装置や車種によって差がありますが、100マイル分チャージするのに、20、30分~5時間程度です。ようは給電が早ければ料金が高く、安ければ時間がかかります。

【EV利用者のコメント】
充電のことを考えて生活するようになり、いつも利用している充電サービス会社の充電ステーションを設置しているところで買い物をしたり、充電中に車内で時間をつぶしたり、場合によっては、そこで仕事や打ち合わせをすることもある。また、米国の郊外では1人に車1台というのが基本だが、近場の移動や仕事用にはEVを利用。休日の家族用は従来のガソリン車を利用。と使い分けている人も多くいる。当面は、EVに合わせて生活習慣を少し変化させる必要があるのではないか。

また、給電のことを考えると少し面倒な反面、EVを選択するベネフィット・メリットは、ランニングコストでしょう。

【テスラEV車の利用者からのコメント】
1ドルあたりのEV走行可能距離は、20マイル(32㎞)くらい。 一般的なガソリン車は、1ドルあたりの走行可能距離は、8.5マイル(13.6㎞)にるので、圧倒的に違う。さらに家庭で充電を行った場合は、もっと価格を抑えることができ、エンジンオイルなどの交換部品も少ないため、点検にかかるコストをかなり抑えることが可能。

EVは初期費用が割高ですが、優遇措置、政府補助金対象になっていますし、今後量産が進むと車両価格も徐々に低くなってくると考えられます。
ちなみにテスラ社は、EV車のほか家庭向けにソーラールーフ、ソーラーパネルと電気をためる蓄電池も提供しています。さらに家と車のエネルギーマネージメントも提供していて、まさにテスラ包囲網です!

画像: テスラ社のソーラーシステムとホームバッテリー

テスラ社のソーラーシステムとホームバッテリー

まだまだEVの認知度が低いため、各自動車メーカーはPRを積極的に行っています。
●Volkswagen グループのアメリカ子会社であるElectrify Americaが運営しているEV教育サイト「Normal Now」

●General Motorsは、2025年までにEVを30モデル市場に投入。Superbowl 2021のCMでは、ノルウェーでのEVでのチャレンジをアピール。

WillFerrell Super Bowl Ad - General Motors [2021]

画像: Will Ferrell Super Bowl Ad - General Motors [2021] youtu.be

Will Ferrell Super Bowl Ad - General Motors [2021]

youtu.be

日本企業の米国での動き

米国のEV動向を紹介しましたが、現時点では日本企業のEV関連の動きはあまり感じられない中、先日、トヨタ自動車が2021年後半に北米市場でEV発売と報道がありました。水素カーやプラグインハイブリッド車は、すでに発売されていましたが、完全電気自動車は初めてになります。また、2025年までにハイブリッドを含む電動モデルを40%にするそうです。

日産自動車が北米で電気自動車のLeafを2011年に発売開始してから10年が経過しました。世界は、ESG(環境、ソーシャル、ガバナンス)の面から確実にEVに向けて動き出しています。日本メーカーならではの『軽自動車クラスのEV対応、小型化』や『安全性などを生かした技術』にも期待が膨らみます。日本の主産業である自動車領域でのさらなる発展を願わずにはいられません。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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