2019年6月6日・7日に開催された日本ユニシスグループの総合イベント「BITS2019」。企業のクラウド活用が進み、システムやサービスが「所有」から「利用」へと変革が進む今、ITパートナーとしてのSIer企業の役割にも変化が訪れています。そんな変革の波は、ICTソリューションに何をもたらしているのでしょうか? 取材レポート後編をお届けします!
【前編】ではAIやITアウトソーシングのソリューションを紹介しました。
【ブースNO.6 働き方改革「Connected Work™」】
イベント会場の中でもひときわ大きいブースが、日本ユニシスの「働き方改革『Connected Work™』」でした。
このブースでは、Microsoft Office 365 やCitrix on Azure、RPAでの業務改革支援のデモンストレーションを展開。また、デジタルコンテンツを活用した従業員教育など、新たな働き方改革を提案していました。
せっかくなので、このブースの中から「デジタルコンテンツを活用した働き方サービス」のデモを見せていただくことにしました。実は、ブースに置かれていたヘッドマウントディスプレー(HMD)が気になった、というのが本音です(笑)
説明してくれた担当者によると、「デジタルコンテンツを業務に適用する」というコンセプトから発展し、「リッチなコンテンツを使って、従業員教育や新しい顧客サービスを実現していきます」とのこと。特に注力しているのが、流通小売店における従業員教育分野です。
従業員教育は、単に業務を覚えてもらうことにとどまりません。接客サービスにおいては、まず従業員に自社のファンになってもらい、その従業員が顧客に自社の価値を伝え、エンゲージメントを向上させていく「サービスプロフィットチェーン」(SPC)という考えが広まっています。「このSPC実現にあたり、デジタルコンテンツが貢献する部分は大きいと思います」と説明します。
特に2020年から本格導入される5G環境により、デジタルコンテンツはよりリッチに、表現が多彩になります。そこで注目されているのが3Dコンテンツ。3Dで社長メッセージを流したり、商品や業務の説明をしたりすることで、受け身になりがちな社員教育の効果が変わってくると期待されています。
ブースに置かれたHMDは、そんな3Dコンテンツを体感できるものでした。こちらもせっかくなので、HMDをかぶって3Dコンテンツを見させていただきました!
デモにはいくつかのコンテンツが入っていましたが、私が選んだのは「包丁式」という儀式の映像でした。いえ、“映像”ではなく、そこに広がっていたのは“実態”です。本当に包丁師が目の前にいて、儀式を行っているかのよう。いやー、この臨場感と迫力をここで読者の方に伝えきれないのが残念なくらい……。
HMDをかぶって、会場で「おぉっ」「うわ!」と叫んでいた私。ひょっとして、すごく恥ずかしい姿だったかも。
【ブースNO.25 クラウドセキュリティープラットフォームでレジリエントに!】
企業ITのトレンドといえば、何といってもクラウドでしょう。かつてクラウドといえば、ファイルデータの共有・保管や電子メールサービスが主流でしたが、今や営業支援システムやマーケティングシステムなどの業務システム、さらにはMicrosoft Office 365 のような汎用ツールもクラウド化しています。
そんなクラウド化の流れは、セキュリティー分野にも表れています。まず、既存インフラのキャパシティーの問題です。
「企業のWebサーバーがあるデータセンターは、クラウド利用を前提にしていないので、全社員が一斉にデータセンター経由でクラウドにアクセスすると、大変な負荷がかかるのです」と担当者は説明します。
「データセンターを回避し、直接インターネットに接続すればいいじゃない」という声が聞こえてきそうですが、そこで問題となるのがセキュリティーです。「実際、社員が自宅や社外からインターネット経由でクラウドにアクセスして、仕事をするスタイルも増えています。しかし、そうするとセキュリティーポリシーが反映されず、リスクも高くなり、ガバナンス上の問題も発生しますよね」
そこで、このブースで紹介されていた「クラウドセキュリティープラットフォーム」は、セキュリティーサービスをクラウド化することで、どこでも社内と同じセキュリティーポリシーでクラウドを利用できるというもの。
なるほど、確かにセキュリティー自体がクラウドになっていれば、企業のデータセンターを経由しなくても、安心・安全にいろいろなクラウドサービスを利用できますよね!
“プラットフォーム”という名前通り、このソリューションは、「認証」「検知・防御」「可視化」「ログ分析」というセキュリティーに必須の4つの機能がAPIで連携され、不審なユーザーやマルウエアの侵入、そして予期せぬインシデントを予防するそう。何かインシデントが発生しても、その原因特定や対処が迅速に進みます。
そして最大の特徴が、ユニアデックスが独自に開発しているダッシュボード。このダッシュボードを通じ、各セキュリティーモジュールの運用や、さまざまなクラウドサービスを一元管理できるのです。これまで各ソリューションや機能ごとに個別に設定していたユーザー登録も、画面上でチェックを入れれば終了という簡単さ。IT運用担当者の方が大喜びすること間違いなし!
「総合的に管理できるという点に、ユニアデックスの知見が集約されているのです」と力強いです。
ちなみにレジリエント(Resilient)とは、「弾力がある、はね返る」という意味。クラウドセキュリティープラットフォームで、柔軟かつ安全なクラウド環境が実現できるというわけです。
【ブースNO.28 ベトナムのいま~オフショアからグローバルワークシェアへ~】
会場の中で特に目を引いたのが、ベトナムの正装である民族衣装・アオザイを着こなした美人さんたち。話を聞くと、日本ユニシスの子会社であるUSOL ベトナムの社員さんだそうです。
USOL ベトナムは2006年6月に設立。本社はベトナムの首都ハノイにあり、ホーチミンと豊洲に支店があります。社員数は約200人で、大半はハノイ本社に在籍し、15%ほどはホーチミン支店に勤めているとか。
もともと日本ユニシスのオフショア拠点として設立されたのですが、現在はオフショア拠点だけにとどまらず、顧客企業を総合的に支援する業務サービスも展開しています。
「例えばベトナムに進出を考えている日本企業に対し、事前のマーケティング調査や各種リサーチなども行いますし、オフィスを開く際には、ソフトウエア・ハードウエアの事前調達のサポートもします。また現地採用を行う場合、日本語ができる人材教育要員も派遣し、インフラで何か困った場合はサポートや保守運用も行っています」とハキハキと流ちょうな日本語で話す担当者に、一同感心。
ベトナムの経済成長は非常に好調で、2018年のGDP成長率は7%超と、リーマン・ショックが起きた2008年以降で最大の伸びとなっています。そんな成長著しい国に進出したい日本企業は増えるばかり。そのため、日系企業のサポート事業も伸びているそうです。
また開発事業も、単純なオフショア開発だけでなく、設計まで行うことも。最近はAIやIoTの開発案件に携わるケースも増えているといいます。
そんな伸び盛りの同社が力を入れているのが、若手人材の育成と採用です。実は最近ベトナムでは、小学校3年生から日本語教育を開始している学校が増えています。日本語が話せる若手人材が育っていることに加え、同社の調査によると「若い人材の8割が、チャンスがあれば日本で働きたいと考えている」という結果が出ました。
同社のインターンはとても人気。日本のIT専門学校からのインターンも受け入れており、英語または日本語で開発プロセスを説明した後、実際にOJTを体験してもらって、「外国人と共に働く」ということができるそうです。
「人材不足に悩む日本だからこそ、ベトナムの若い人材が力になれることも多いはず。そんなベトナムと日本の架け橋となり、両国の関係をさらに深めていきたいです」と話します。「ベトナムのご飯は日本人好みでおいしいですし、景色もキレイ。いつかベトナムに来てくださいね」とのお誘いに、私も力強く「はい!」と応えました。
機会があれば、進化するベトナムのIT事情もお届けしたいです☆
2019年の「BITS」も大盛況。最先端技術や情報を担当者から聞こうと、ブースには多くの人で賑わっていました。展示内容も充実していて、持続可能な社会の実現に向けて私たちの生活や働き方がどれだけ進化するのか楽しみです。
日本ユニシスグループ主催『BITS2019』取材レポート!:前編 最先端のICTソリューションを体感(2019年7月9日号)