ゴルフは男女問わず、人気スポーツのひとつです。読者の方々もゴルフが三度のメシよりも好き!という方は多くいらっしゃると思います。
週末にはゴルフ番組がいくつも放映されていますが、ゴルフ中継で「風向・風速」情報が画面上に表示されているのをご存知ですか?この情報を提供しているのが、「ウィンドスティックシステム」なのです。日本でも導入し、2001年から使用されるようになりました。
「ウィンドスティックシステム」は米国Unisys社のシステムを国産化したもの。ユニアデックスが製作・運用・保守を行っています!しかし、灯台下暗しというか、当社が深く関わっていたことを知らなかったNexTalk編集部は、さっそく取材に行ってきました。
現在の運用当者は二人いまして、なんと!5代目さんと6代目さんでした。
本業であるストレージのサポート業務の傍ら、「ウィンドスティックシステム」の運用・保守もしているのです。
- 「ウィンドスティックシステム」はどのような構成なのですか?
ウィンドスティックと呼ばれる移動機器と放送センター内に置くPC(デスクトップ)です。ざっくり言うと、ウィンドスティックで風向・風速を測定し、データを無線で飛ばし、放送センターに置いたPC上でデータの選択や画像を加工し、編集装置へデータを送信しています。
余談ですが、お陰さまで複数のTV局から依頼があって有り難いのですが、風向を表す矢印やロゴの位置などのデザインがTV局によって違います。だから、絶対に間違えないようしなければなりません。
- たしかに、間違えたら大変です。ウィンドスティックは、ゴルフ場でどのように移動するのですか?
ゴルフファンのアルバイトが手に持ち移動するという、体力勝負の移動方法ですよ(笑)。プレーが白熱する13ホール以降、交代ナシでひたすら移動します。操作は、そう難しいことはないのですが、測定するためのスイッチを入れ忘れるとデータが送られないので注意が必要。あと、スティックはある程度の高さがないと電波が飛ばないので長いし、バッテリーを内蔵するため重量もあります。
- なるほど!アルバイトさんの働きが大きいですね。5代目さんと6代目さんは、どのような作業をされるのですか?
私たちはトーナメントの約2週間前に放送予定のホールナンバー、使用画像などの詳細情報を入手し、その内容にそってPCのセットアップを行います。その後ウィンドスティックと接続テストを実施し、約1週間前に機材を発送します。現場の運用は、業務委託会社の方が行いますが、届いたウィンドスティックの機材を現場でセットアップし、テレビ局との接続、アルバイトへの指示などを行います。
ジェラルミンの頑丈な専用ケースで機材を現地に送るのですが、トーナメントの回数が多く(2017年は、過去最高の46トーナメント)、長距離を運搬するため振動でPC内臓部品の接触不良が発生する可能性もあり、特にPCの立ち上げには、毎回緊張しますね。実際、立ち上がらなかったことも何度かあります。(苦笑)。私たちはまだ経験はありませんが、運用の先輩方は、土日の放映に間に合わせるため予備のPCをゴルフ場までハンドキャリーしたケースもあるそうです。
しかもゴルフは雨の日もプレーします。ウィンドスティックは防滴になっていますが、コントロールボックスの隙間から雨が入り込み、基板が壊れてしまうことがあったり、スティックのケーブルが木などにひっかかり断線することもあったりと、細かな問題が起こりますよ。
- それはご苦労が多いですね...。ところで、無線機の基板や機材の修理はどこでするのですか?
本社の執務階にある倉庫ですよ(笑)。もともと技術者なので、はんだごてを使って基板など修理しています。修理は朝飯前!と言いたいところですが、視力の衰えをルーペなどで補い、苦労しながらの作業となります。この部屋では出荷前の作業と戻り品のチェックも行っています。現地で発生したトラブルを確認し、故障と診断された部品(基板、ケーブルなど)をストックしている予備品と交換し、可能なものは修理を実施しています。
- さすがです!最後に、ご苦労が多そうですが、面白いと感じることは?
二人ともゴルフはやらないので、ゴルフには興味を感じませんが(笑)、放送センターは別世界ですね。放送機材がずらっと並んだモニター、アンテナを積んだ特殊なクルマなど、初めて見る物ばかりです。モノづくりをやってきたのでとても興味が沸きます。(5代目さん)
放映時間がきっちり決まっているから、時間と戦いながら番組を作っている緊張感がひしひしと伝わってきますね。時には、番組担当者が大声を上げながら進行していくところは、プレー中の静けさとのギャップがあり面白いです。(6代目さん)
- ありがとうございました!ユニアデックスのモノづくりや無線技術などが、ゴルフ場でも生かされていることを知ることができました。これからも、頑張ってください。