ユニアデックスで働く人の仕事への想いをご紹介しています。今回は、目に見えない仕組みの裏側をひもとき、自らの言葉で語ることを大切にする技術者です。

【第2回】
品川 政寛(しながわ まさひろ)
ネットワークサービス本部 エッジデバイス開発部 デバイス開発室
グループマネジャー
2016年入社

出身は北海道の札幌です。中学の頃から化学が好きでしたが、教科書を読んでいてずっと気になっていることがあったんです。

「AとBを混ぜるとCができる」

そう書いてあるけれど、肝心の「なんで?」が書かれていない。その過程が知りたくて、先生に聞いたら、「それは大学で学ぶことだ」と。その好奇心が私の原点でした。

画像: 「なぜ」を突き詰めた先にある、ごまかしのないモノづくりを求めて:わたしの仕事のかたち【トラブルからの脱出編】#2

大学では「液晶(liquid crystal)」の研究室を選びました。モニターの液晶ではなく、その中身にある物質を設計・合成し、新しい性質を調べる有機化学の世界です。液晶の仕組みを解き明かし、新しい性質を生み出すことに没頭していました。

正直に言えば、当時はそのまま研究を続けるつもりで、就職活動なんてこれっぽっちも考えていなかったんです。でも、化学の研究室では、一度実験を始めたら最後、物質が混ざり合う様子をずっと見守っていなければなりません。帰れない日々が続く中で、ふと「このまま研究を続けるのは、しんどいかもしれない」と思うようになりました。

気がつけば大学4年生の9月。周囲の就職活動はとうに終わっていて、わらにもすがる思いで探し当てたのがユニアデックスでした。

ビビッときた、倉庫の中の『モノづくり』

数人の採用枠でしたが、どうにか滑り込みのような形で入社が決まりました。

いざ入社してみると、同期たちは純粋な熱意に溢れていて……。私は、大学の研究とは違う道へ進む以上、すべてをゼロからやり直す覚悟で「ここでやるしかないんだ」と腹をくくりました。とにかく研修についていけばなんとかなる。周囲の熱量に負けないよう、必死に食い下がっていきました。

画像1: ビビッときた、倉庫の中の『モノづくり』

研修期間中に行った平和島パーツセンター(東京都大田区)での見学会が、私の運命を変えました。そこは会社の保守部品を支える巨大な倉庫なのですが、その一角で「ここでは“モノ”をつくっています」と言われた瞬間、「ここだ!」と自分の中にビビッと衝撃が走ったんです。

モノをつくる現場は、電気や物理といった、いわゆるサイエンスの領域です。ソフトウエアの世界ではゼロからのスタートでも、ここなら大学時代の延長線上として、自分の持っているものが生かせる。完全な「ゼロベース」ではなくなったことで、「これなら頑張れる」と一気に視界が開けました。だから、迷わず自分の気持ちだけを伝えたんです。「ここでモノづくりがしたいです!」と。

画像2: ビビッときた、倉庫の中の『モノづくり』

配属が決まったのは、希望通りの「デバイス開発室」。後に知ったことですが、新人がこの部署に来るのは、実に23年ぶりのことだったそうです(笑)

知恵が「コスト」に勝った瞬間

私の部署の仕事は、既製品では対応できないニッチな要望に、オーダーメードのハードウエアで応えることです。例えば、公営競技の投票端末や、警察で使われる指掌紋採取装置、さらには鉄道信号の状態監視システムまで、その領域は多岐にわたります。

特に、鉄道の線路脇などは激しい振動とノイズが渦巻く、精密機器にとっては過酷な環境です。「ラズパイ」のような汎用コンピューターをそのまま置くわけにはいきません。現場の環境に耐え、かつ確実に動作する専用の機械を、一つ一つ設計していきます。
※ラズパイ:Raspberry Pi(ラズベリー・パイ) と呼ばれる、手のひらサイズの小型コンピューター

入社して数年は、修行の毎日でした。40代、50代の「現場の大先輩」でもあるお客さまが、当たり前のように使う専門用語がわからない。鉄道の信号機を制御するスイッチ(リレー)のロジック一つをとっても、その仕組みを理解するだけで精一杯でした。

そんな中で10年目を迎える今も、鮮明に思い出す仕事があります。

ハンディーキャップのある方や高齢者の方が一緒に楽しめる「UDe-スポーツ協会」のプロジェクトの方から、「自転車を漕ぐ動きをゲームに反映させたい」というご相談がありました。当初、お客さまは専門家から提案された「センサーの回転数を無線で飛ばして、プログラムで解析する」という複雑な仕組みを検討されていました。ただ、この仕組みは開発費がかなり膨らんでしまいます。

予算が限られる中で、どうにかして実現できないか。知恵を絞り、アイデアで勝負するしかありませんでした。そこで目をつけたのが、ゲームのコントローラーの構造です。

突き詰めれば、コントローラーはシンプルな接点のON/OFFで動いています。それなら、あえて高機能なセンサーやプログラムを使う必要はない。ペダルが回るたびに1回スイッチが入るような仕組みにして、ただの「ボタン」として認識させれば、大がかりな開発なしで実装できるはず。そう考えて、極めてシンプルな構成を提案したんです。

画像1: 知恵が「コスト」に勝った瞬間

すると、「まさにこれだよ!」と、お客さまが驚くほど喜んでくださって。実際に装置を作ってお見せしたら、「すごい、できてる! 品川さんにやってもらって良かった」というお言葉もいただきました。

装置自体はとてもシンプルなのですが、知恵を絞ることで、表面上の要望の先にあるベストな回答が出せた。そのことが、今も強く心に残っています。相手がやりたいことの本質を捉えて、最もシンプルな理屈で解決する。複雑なものを複雑なまま解くより、ずっと価値があることだと思えた瞬間でした。

画像2: 知恵が「コスト」に勝った瞬間

相性という言葉の裏にあるもの

もちろん、すべてが思い通りにいくわけではありません。むしろ、現場で頭を抱えることの方が多いかもしれません。

忘れられないのは、とある鉄道会社さまの案件です。オフィスで何度もテストを繰り返し、完璧に動作することを確認してから現場に持ち込みました。ところが、いざ設置して動かしてみると、通信がまったく通らない。機械は正常に動いている、設定も間違っていない。なのになぜ……? 現場にいた全員が、冷や汗をかくような焦りに包まれました。

原因は、目に見えない「ノイズ」でした。鉄道の現場は、巨大な電圧を扱う機器やリレーがひしめき合っている特殊な環境です。私たちは「ノイズに強い」と信じて、金属の膜で保護されたシールド付きのLANケーブルを使っていました。しかし、それが裏目に出たんです。

シールド付きを使うことで、分電盤から私たちの機器、そして相手の装置へとつながる巨大な「電気の輪」ができてしまっていたんですね。いわゆる「グランドループ」という現象です。
※グランドループ:電気の通り道がつながって「大きな輪(ループ)」ができてしまう現象。この輪がアンテナのように周囲のノイズを拾い、通信不良の原因となる

画像: 相性という言葉の裏にあるもの

皮肉なことに、シールドなしのケーブルに替えた途端、通信は正常に戻りました。「ケーブルを替えたら直りました」とだけ伝えれば、その場は収まるかもしれません。でも、私はそれでは嫌だったんです。「相性が悪かった」なんて言葉で片付けてしまったら、いつかまた同じことが起きてしまいますから。

なぜループが起きたのか。LANケーブルの差し込み口の裏側にある回路はどういう仕組みになっているのか。その理屈を突き止め、物理現象として説明できて初めて、私たちは「プロとして動くものを出した」と言えると思うんです。地道な作業ですが、その「なぜ」を曖昧にしないことが、この仕事には欠かせないことだと感じています。

「考えること」を止めず、まずは動く

気づけば入社10年目です。今は開発チームのグループマネジャーを任されています。配属当時は「23年ぶりの新人」で、周りは親ほど年齢が離れた大ベテランばかり。でも私はそれをチャンスだと思ったんです。ベテランの2倍動けば、その分だけ早く追いつける。そう信じて、とにかく何でもやりました。

40年の経験を持つ師匠のような先輩から「俺の経験をすべて引き継げ」と言われました。今も私が最前線に立ち、中身を理解することにこだわるのは、自分が分かっていない状態で人に何かをお願いしたくないからです。

昨今のモノづくりの現場は、どこか「荒っぽい世界」になりつつあると感じることがあります。トラブルが起きても、原因を突き止めるより「部品を丸ごと交換すれば直る」という効率重視の対応が主流になり、根本的な理屈を理解しようとする技術者が少なくなっているのかもしれません。

画像: 「考えること」を止めず、まずは動く

でも、私は最後まで「見きる」ことを大事にしたい。なぜ交換が必要なのか、なぜその部品でなければならないのか。AIや既製品を組み合わせれば「何となく」形になってしまう時代だからこそ、その「間にある仕組み」を自分の言葉で説明しきる責任を果たしたいんです。

ユニアデックスは、やりたいという気持ちを行動で示せば、それを受け入れてくれます。だからもし、何か仕事に興味を持ったら、まずは動いてみてほしい。言葉にするのが苦手なら、口に出さなくてもいい。やりたい方向に向かって、とにかくいっぱい動く。失敗もあるかもしれませんが、動いた分だけ、必ず目指す場所には近づけます。

難しく考えすぎず、まずは飛び込んで、一緒にモノづくりを楽しんでいけたら嬉しいですね。

画像: 唯一の後輩と。彼の目標となる先輩になりたい

唯一の後輩と。彼の目標となる先輩になりたい

わたしの仕事のかたち【トラブルからの脱出編】バックナンバー
第1回 ICTトラブルから業務を守るエンジニア 上村俊貴

わたしの仕事のかたち【カスタマーサクセス編】バックナンバー
第1回 島垣絵美
第2回 五味秀章
第3回 カスタマーサクセスを推進する人  船越良和
第4回 クラウドセキュリティーのプロモと販売 中井英一
第5回 人事部で新人研修を担当 建井優佳
第6回 "カスタマーサクセス”を推進する元エンジニア 古田佳世
第8回 技術力とお客さまの本心を類推する力の両輪を磨く 宮下 洋
第9回 一人一人の想いに触れられる“現場”で育てられた営業 塩坂歩純
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第11回 「ピアノもエンジニアも“逆算”が大事」。音大出身、営業職入社のエンジニア 田村 綾菜
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