ユニアデックスは、お客さまの DX(デジタルトランスフォーメーション)推進に向けた取り組みを積極的に進めております。日々の活動を通して、お客さまのヒントとなるような情報を発信するため NexTalk で連載しています。
第 5 回目は、DXのプロジェクトに欠かせないPoCで陥りがちな失敗ポイントについて纏めました。
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PoCとは
PoCとは、Proof of Conceptの略語です。PoCは、日本語では概念実証と呼ばれ、新しいアイデアや技術が実現・実用化できるかを評価するプロセスを指します。
AIやIoTといった新しい技術を使うことが多いDXのプロジェクトにおいては、「データが集まらない」「思ったような精度が出ない」といった不確実な要素があります。そこで、ビジネスの投資を行う前に、小規模な実験やプロトタイプの作成を通して、アイデアが実際に有効かどうかを確認することを目的としたPoCが行われます。
PoCの「4つの壁」とは
ユニアデックスでは、お客さまのDX推進に向けて、IoTによるインフラ保全の最適化やAIによる故障予測など、大小200件以上のPoCを実施してきました。しかしながら、PoCを経て本番導入に進む、事業化に至るといったケースばかりではなく、「PoCの検討までは進むが、実行に至らない」「PoCの実行までは進むが本番展開に進まない」というプロジェクトも多く存在しています。
現場はこのようなPoCを繰り返し行うことで、いわゆる「PoC疲れ」や「PoC貧乏」に陥ってしまうのです。
今回は、PoCが上手くいかないパターンについて4つのフェーズに分けて紹介します。
1.始まらない壁
1つめは、そもそもPoCが始まらない問題です。よくある例として、目的が無いまま組織・体制だけが出来てしまい、何をすべきかを検討するのに時間を要し、なかなかプロジェクト自体を始められないケースが挙げられます。
DX推進と一口にいっても、その目的はさまざまです。DXはあくまでも目的達成における手段の一つですから、自組織にとっての課題は何か、目指すべきゴールを始めにしっかりと定義しておくことが大切です。
2.進まない壁
次は、PoCが始まったけれども先に進まない問題です。例えばAIを利用するプロジェクトの場合、AIに学習させるために大量のデータが必要になりますが、いざPoCを始めてみるとデータの量や品質が不十分であったと気が付くケースがあります。
また、PoCで使ったデータが本番では使えないと後から気づくなんてことも。このような問題を防ぐには、PoCを始める前の計画段階で分析内容を定義し、本番で使えるデータを用意して内容の確認を行っておく必要があります。
3.終わらない壁
続いて、PoCが長引いて終わらない問題です。PoCは投資判断のための検証を目的としたものですから、出来る限りコンパクトかつスピーディーに行うことが求められます。それにも関わらず、途中であれもこれもと検証項目を増やす、目的がぶれる、精度を求めすぎるといったことが原因でPoCが長期化する場合があります。
PoCを始める前の計画段階で、目的、スコープ、期間、そして終了条件として測定可能な数値目標(あるいは評価可能な指標)を決めておきましょう。
また、PoCで意図した結果が得られなかったとしても、そこで得られた結果やノウハウを生かし次のPDCAに繋げていくことも重要です。
4.先に繋がらない壁
最後に、PoCを実施したもののそこから次に進まない、いわゆる「PoC止まり」問題です。例えば、本番展開にあたり実際にかかる費用を見て二の足を踏んでしまう、一部の部門にツールを導入したけれど利用が広がらないといったケースがあります。
PoCをその先に進めるためには、技術的な実現性だけではなく、そこから得られる価値とコストの妥当性、また、そもそも選んだテーマが本当に現場で必要とされているのか、などがポイントになってきます。
このように、本番に進めた際に妥当なコストで価値が実現できるのかを検証する取り組みをPoV(Proof of Value:価値検証)といいます。また、新規ビジネスとして立ち上げる事業の有効性の検証をPoB(Proof of Business)と呼んで区別することもあります。
まとめ
ここまで4つのフェーズに分け、PoCが上手くいかないパターンをご紹介してきました。各フェーズの対処法として記載した通り、PoCは始める前の計画段階が最も重要といっても過言ではありません。
何のためにこのPoCを行うのか、
PoCでどのような結果やデータを得たいのか、
そしてその結果をもってどのように進めるのか、
本番に進めた際にコストと価値は妥当なものか、
周りの賛同は得られているか、
PoCで終わらせず確実に成果を出すためにも、しっかりと準備して臨みましょう
ユニアデックスでは、お客さまの現場に寄り添いDX推進の支援をしております。DX推進にお悩みのご担当者さまはぜひご相談ください。