SoFi Stadium:Super Bowlの開催会場で、2028年のロスオリンピックのメイン会場です。
ユニアデックスの片澤です。
今回で、連載開始から2年になりました。毎回、お読みくださりありがとうございます。引き続き、よろしくお願いいたします。
COVID-19の影響がかなり収まってきた米国では、アウトドアに加え、インドアでのマスク規制も緩和され始めました。学校などは、マスクを装着しての運動による呼吸器の影響や口元が見えないことでの語学力の遅れなどの影響も聞こえてくるため、学校によっては、マスクを外すという選択をする学校もありそうです。
また、ショッピングモールやレストラン、イベント会場などは、引き続き、お客や来場者にマスク装着を要求しているところも多く、従業員は、基本、マスクを装着しています。カリフォルニア州だけではなくマイアミ州でも、従業員は、比較的マスクをしていました。オーナーやイベント主催者は、従業員の保護を考え、もう少し様子を見ていくという感じでしょう。
想像を超えるNFL Super BowlのCM広告額
さて、先月開催されたNFL Super Bowl、米国では、もっとも注目されるスポーツイベントの1つです。テレビやストリーミングの視聴者数の合計は、1億人以上。チケット流通価格も平均100万円以上とけた違いのイベントです。
試合以外に注目されるのは、ハーフタイムショーとCM広告です。(ハーフタイムショーは、Youtubeでも視聴できますので、ぜひ見てください。)
CM広告は、1億人の視聴者に届けることができるため、30秒広告1本あたりの広告費用は平均650万ドル(約7億5000万円)と毎年右肩上がりで上昇を続けています。毎年 80~90社が、広告を実施しますので、その総額も想像を絶しますね。
CM広告について、米EDO調査会社がレポートをしています。
広告ですので、現在の社会的な側面を映し出しています。
●Polestarを筆頭に海外の自動車関連企業は、EVメインのCMを実施。日本勢は、Nissanが一部のみ。
●CUE(Cue Health)は、COVID-19のデジタルテスト機器を提供しており、注目された。
●Meta、SalesforceがメタバースをCMに取り入れていた。
●coinbaseをはじめとした暗号通貨関連企業が初めてCMを提供した。(coinbaseは1分間QRコードだけが画面に流れるだけのCM)
●日本企業では、Rakutenが、2019年から4年連続で放映。(Rakutenは、日本のビジネスモデルとは違い、BTBTCのeコマースキャッシュバックサービスをメインに提供)
こちらもYoutubeなどで各社のCMが公開されていますので、見てみると面白いです。
今回は、前回の記事(Vol.24)で予告もしましたのでWeb3.0に関して早速、お届けします。昨年末あたりから、かなり見聞きするようになり、今かなり注目されている領域です。TV CMでも取り上げられているメタバースや暗号通貨などがWeb3.0のキーワードとして入ってきますので、順に紹介していきます。
インターネットの歴史おさらい
まずWeb3.0を見ていくためには、インターネットの歴史からさかのぼる必要があります。
インターネットが一般的に扱われるようになったのは、1990年代中頃から後半にかけてです。
当時、私は大学生。大学ではUnixマシンでプログラミングを習い、その後アルバイトで貯めたお金で始めてのWindowsマシンを手にし、INS回線+テレホーダイサービスなどを利用しながら、就職活動などを実施したことを覚えています(笑)
当時は、インターネット上にある情報を収集することがメインであり、利用する人はあくまで閲覧者。HTML中心で作られたWebサイトをRead-onlyとして利用する方法でした。情報を見ることにフォーカスされた世界が、Web1.0と呼ばれています。
2000年代に入り、ブロードバンド回線の普及、個人端末向けの価格低下により、インターネット環境がかなり普及することになります。
日本でも電話系通信キャリア、電力系通信キャリア、インターネットプロバイダーが乱立し、設備投資が進んだ時代でした。当社もこの設備投資のビジネスをいろいろ担当させていただきました。
これに加え、2008年のスマートフォン発売からの個人に合わせたサービスの多様化が作られることになりました。ここで台頭してきたのが、GAFAをはじめとしたテクノロジープラットフォーマーです。
メール、メッセージ、通話、ビデオチャットなどが利用できる。欲しいものをEコマースで購入できる。検索して動画も見られる。SNSのコミュニティーがあり、友達とつながれて、新しい友達もつくれる。などなど、無料で利用できるサービスが山のようにあります。
こういった参加型のサービス、ソーシャルWebなどでは、情報がデータベース化され、本人の趣味趣向などに合わせた動的な情報が生成され、インタラクティブな環境を提供してくれます。これらは、それぞれのプラットフォーム上で動作し、利用者はこのプラットフォームに参加することで、情報を得たり、相手の反応を得たりするRead-Write世界があります。この世界がWeb2.0と呼ばれています。
確かに便利ですし、生活の一部に欠かすことができなくなっている面もありますが、プラットフォーマーによる市場の独占やデータの寡占などが指摘されるようになりました。
Wev2.0の弊害とは
Web2.0 の弊害による事案、問題も起こっています。
Metaは、旧Facebook時代にケンブリッジアナリティカ事件やInstagramの過度な利用がもたらす10代へのメンタルヘルスの影響などの研究結果隠蔽問題やAppleやGoogleがEpic Gamesに提訴された問題などが有名ですが、これ以外にもデータ寡占に伴う問題などプラットフォーマーには、度重なる課題解決が求められています。
Web3.0への期待
こういった弊害を解消できるのではないかと期待されているのが、Web3.0になります。
スライドにも記載がありますが、Web3.0は、ブロックチェーンを基盤に利用した新しい枠組みになります。
ブロックチェーンは、次のような特徴があり、Web2.0の弊害/課題を解決しています。
①データを1つの決められた管理者、場所に格納するのではなく、それぞれで、分散した形で同じものを持ちます ⇒ データ分散
②データがどこで取引されたのかという情報を持ち、それを公開します ⇒ 透明性維持
③データの作成者とは別に所有権は誰にあるのかを明確にします ⇒ 所有権明確化
このブロックチェーンを用いて作られたのが、ビットコイン(Bitcoin)であり、イーサリアム(Ethereum)になります。
ビットコインは、暗号通貨として有名で、イーサリアムに関しても暗号通貨というイメージを持たれているかと思いますが、イーサリアムは、ブロックチェーンを利用した分散型アプリケーションを設計し、実行するためのプラットフォーム全体を指します。イーサリアムで作られた暗号通貨もありますが、イーサリアムのフレームワークを利用して作られているアプリケーションやサービスが拡充してきています。
Web3.0のアプリケーション紹介
では、ここからは、Web3.0のアプリケーションを紹介していきます。
1.NFT(Non Fungible Token)
DeFiは、分散型金融と呼ばれ、暗号通貨などを利用して、中央機関(銀行など)なしで金融サービスを提供するアプリケーションのエコシステムになります。
これまでもご紹介してきましたが、まずは、代表的なものNFTです。NFTは、アート、音楽、写真、動画などのデジタルデータに所有権と真義性を証明する仕組みを付けたトークンです。
NFTは、OpenseaやNBA Topshot、Nifty gatewayなどのマーケットプレース上で取引されています。
Openseaが世界的に見ても最もメジャーなNFTのマーケットプレースであり、次にあるBored Ape Yacht ClubやCrypto Punkなどの画像が高額で取引され、ニュースなどでも取り上げられ、NFTの知名度もアップしました。
クリエイターは、自分の作品をNFTとして販売することで、その製作者の権利と取引が保護され、所有権を売買することができます。これにより、従来よりも直接的な取引で透明性が担保されることにつながります。Web3.0は、クリエイター保護の観点でも注目される要因の1つです。
2.メタバース(Metaverse)
現時点でメタバースやゲーム自体は、ブロックチェーンを利用した分散型のプラットフォームということではなく、まだゲームプロバイダーやプラットフォーマー側にあるサービスです。
ただ、メタバース上やゲームの中でNFTが利用され、ゲームの報酬としてトークンとして発行されるものやメタバース上でアバターが利用する装飾品やメタバース内の土地をNFTとして販売するモデルがあります。
ここには、確実に新しい経済圏が存在し、先行しているアパレルメーカーや小売事業者は、参入を開始しています。
NFTに既に参入している、参入予定企業
⇒ Adidas、Asics、Budweiser、CocaCola, Disney、GameStop、MacDonald、Meta、Nike、Twitter、Youtubeなど。
日本も楽天やLineなどが参入開始発表していますね。
この領域に参入することで企業価値や売上がプラスになることは、十分に考えられますし、私は、まだまだ半信半疑ですが、デジタルの世界で所有するという需要は、子供を見ていると伸びていく可能性は感じます。
さらに、現在は、プラットフォーム間の移動ができない所有物(NFT)が移動できる世界になった時に、現実世界との距離感もつながりますね。
3.DeFi(Decentralized Finance)
従来の銀行が提供しているサービスである貸付やローン、保険、デリバティブ、暗号通貨取引、海外送金などを、個人間や企業間などP2Pで実施します。
例えば、金融機関を通して海外送金をする場合、決して安くはない手数料がかかります。これをDeFiから行うことで安く送金することができます。また、若い世代や国によっては、銀行口座を持たないことを選択する人が増えていますし、銀行の金融サービスを利用するための審査や口座開設年数や預金残高などの基準が厳しい面もあります。そういった中で暗号通貨を担保にしたDiFiのローンサービス、直接資産交換(DEX:Decentralized Exchange)なども増えています。DEXは、dYdX、Binance DEX、Uniswapなどが業界をリードしています。
4.DAO(Decentralized Autonomous Organization)
DAOは、自律分散型組織と呼ばれ、中央管理者を持たず、組織の構成員一人一人によって自律的に運営されている組織の在り方とされています。
すでにDAOを活用した共同NFT購入DAOのFlamingo DAOやNBAのチーム買収を狙うKrause DAO、ゴルフコース買収を狙うLinks DAOなどの投資組織DAOがいます。比較的イメージがつきやすいですね。
また、DAOは、新しい働き方の枠組みとも位置付けられており、会社組織として提供してきた商品、サービス、システム開発、ソフトウエアなどがDAOの組織体系で作られることが考えられます。
ある課題を解決したいユーザーが、DAOのマーケットプレースなどで仕事を依頼
⇓
マーケットプレースに属しているDAOが各々のDAOの中で開発できるか検討
⇓
DAOが選定されて商品を開発する
上記のように、DAOを中心に考えるビジネスモデルの存在が当たり前になることや従来の企業がDAOのような組織になることも考えられます。また、技術畑の人は、会社に属するのではなく、複数のDAOに所属しながら、自分のできる範囲の中で仕事をしていく働き方も出てくると思います。
DAOは、まだまだ新しい取り組み方のため、DAOの運営方法やセキュリティー、ガバナンス維持なども課題認識されています。そして、組織における貢献度を重みづけしているため、完全実力主義の様相を呈します。
さて、Web3.0に関して特徴とアプリケーションなどを紹介してきました。いかがでしたでしょうか。私は、NFTの流通に伴う新しい経済圏の誕生やDAOの運用における新しい仕組み、システムなどに可能性を感じています。引き続き、定点観測しながら情報発信していきたいと思っております。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。