ユニアデックスの本社がある東京・豊洲界隈のランチスポットをご紹介する『トヨメシ』。第3回にご登場いただくのは、豊洲駅前にある「万福食堂」。60年以上の長きにわたり、豊洲で働く人々や地元の人々の胃袋を満たしてきた同店の、料理やサービスのこだわり、町への思いなどについてうかがいました。

教師への道を断念し、父の味を引き継ぐ

画像: 教師への道を断念し、父の味を引き継ぐ

東京メトロ有楽町線豊洲駅に直結する、豊洲シエルタワーの1階。晴海通りに面した場所にあるのが「万福食堂 豊洲駅前店」。この地で60年以上続く老舗です。「日本ユニシスグループの社員さんたちもよく来ていただいていますよ」と話すのは、生まれも育ちも豊洲という、2代目社長の辻川さん。聞けば、かつて長崎の炭坑近くで飲食業をしていたご両親が、炭坑閉鎖をきっかけに豊洲に住む姉夫婦をたよって上京。姉夫婦が営んでいた中華食堂「万福」を任されたのがはじまりだそうです。
「親父は漁師町の出身で魚をさばけたし、築地市場に近いこともあって、魚介類をつかった料理は好評でした」

そんなお父さんを見て育った辻川さんが、本格的に後を継いだのは19歳の夏。教師をめざして浪人中、お父さんが病気で倒れてしまい、大学進学を断念。心を決めて店を継いだそう。
「3歳年下の弟も一緒にやることになって、結局2人で店を継ぐかたちに。いま“本店”と呼んでいる豊洲4丁目にある店を弟が切り盛りしています。弟とは二人三脚でこれまで歩んできました」

工業地帯だった豊洲の空腹を満たしてきた食堂

画像: 工業地帯だった豊洲の空腹を満たしてきた食堂

昭和の終わりまで、豊洲が工業地帯だったのは周知のこと。築地市場へ荷物を運んできた長距離トラックの運転手が、帰りの荷物を積む2〜3日のあいだトラックをとめて滞在したのも豊洲でした。町には銭湯や飲食店が多くあり、映画館もありました。中でも万福食堂は旨い定食で彼らの胃袋を満たしていたそう。
「いわゆるガテン系のお客さんばかりでしたから、味は濃く、量は多め。おおらかな時代だったからか、これ刺身にしてくれ、なんて言って、どこからか立派な丸魚を持ってくるお客さんもいましたよ(笑)」

そんな豊洲の町が変わり始めたのは1988年(昭和63年)、地下鉄有楽町線が開通した頃から。工場が次々と閉鎖され、トラックもとめられなくなった。高層ビルやマンションが建ち並び、職種はITや事務系に。人も町も変わっていく様を、万福食堂は見守り続けたそうです。
「町が変わり始めたタイミングで、夜はサラリーマンの方たちが楽しめるよう、中華にこだわらない居酒屋を意識した店づくりを目指したんです」

抗うのではなく、町の変化に寄り添って柔軟に対応したことが、ターニングポイントだったようです。先代ゆずりの中華や魚料理を守りながら弟さんと二人でメニュー開発をし、ニーズに応えられる工夫をしたそう。ランチを始めたのもその頃。夜のために仕入れる上質な素材を、無駄なく使いきることを考えて、手頃なランチも提供するようになったそうです。

町の変化に合わせて新しさを加えたメニュー

画像: (左)人気のエビフライはうすめの衣の中に身がぎゅっと詰まって食べ応えあり。マグロのフライとセットに。(右)しゃきしゃき野菜がたっぷりのったタンメン+ミニカレーはベストマッチ。

(左)人気のエビフライはうすめの衣の中に身がぎゅっと詰まって食べ応えあり。マグロのフライとセットに。(右)しゃきしゃき野菜がたっぷりのったタンメン+ミニカレーはベストマッチ。

画像: 隠れた逸品「本マグロ中トロ丼」は破格の1,080円。上品な脂のツヤに目を奪われ、ひと口頬張れば身も心もとろけるような美味しさ。

隠れた逸品「本マグロ中トロ丼」は破格の1,080円。上品な脂のツヤに目を奪われ、ひと口頬張れば身も心もとろけるような美味しさ。

それにしても、メニューが驚くほど豊富なのはなぜなのでしょうか?
「あれとこれ、一緒に食べさせてよ、という常連さんのリクエストに応えているうちにいろいろな組み合わせが増えてきました。そういう対応ができることが、チェーン店にはない魅力かもしれませんね」
辻川さん自ら築地市場へ毎日出向いて仕入れをしているから、ランチにも絶品がずらり。エビは天然物にこだわって、先代ゆずりのエビチリやエビフライに。カキフライは11月〜3月頃に提供。アジフライには刺身用のアジを使っているそうです。

時代は変わっても、豊洲で働く人たちはいつだって腹ぺこ。いまもボリュームは意識していて、メインにプラスできるミニセットも人気があるそう。中でもカレーは、ラーメンスープに使うガラスープがベースで、コクがあってまろやか。和洋中、なんでも揃う同店だからこそ出せる美味しさといえるでしょう。

画像: 大きめの餃子も人気で、毎日手作り。ニンニクは少なめだから、ランチでも楽しめる。

大きめの餃子も人気で、毎日手作り。ニンニクは少なめだから、ランチでも楽しめる。

お客さんはリピーターさんが多いのが特徴。平日は働く大人が中心。しかし日曜の昼は近所の家族連れで賑わうのだそう。休みの日の夜はママさんバレーなど地元のサークルの仲間で来店される人が多いといいます。
「常連さんが新しいお客さんを連れてきて『ここは、これが美味しいんだよ』なんて話しているのが聞こえたときはすごくうれしいですね」

常連さんを大切に、守り続ける豊洲のホームグラウンド

大学進学を断念して先代から店を引き継いだ辻川さん。さぞ、これまで苦労がおありだったのだろうとたずねたら、意外な答えがかえってきました。
「料理も接客も自分のやったことがそのまま反映されるからやりがいがあって、楽しい。この気持ちは昔からずっと変わりません。この道を選んでよかったと感じています」

そんな辻川さんは、豊洲小のサッカーチーム「スターキッカーズ」のコーチをボランティアで続けています。休みの日は小学生たちと、大好きなサッカーをやってリフレッシュ。
「これまで数百人に指導してきたので、町で教え子によく会いますよ。お酒飲めるようになったなら、うち寄ってけよ、なんて立ち話したりね」

画像: 「いまがあるのは、両親・嫁さん・弟夫婦のおかげ」と辻川さん。奥さんと笑顔で。

「いまがあるのは、両親・嫁さん・弟夫婦のおかげ」と辻川さん。奥さんと笑顔で。

お店では、つねにお客さまとのコミュニケーションを大切にしているといいます。
「はやりの言葉じゃないけれど、おもてなし、もてなす気持ちを忘れないことがモットー。テレビもわざと置いている。それこそサッカーの試合中継がある日なんて、大盛り上がりですよ。気軽に立ち寄ってほっとしていける、そんな存在であり続けたいと思っています」

下町らしい人情味が残る万福食堂では、高度経済成長期を支えた豊洲の労働者たちが、この地でガツガツと定食を食べた様がオーバーラップしてくるよう。旨みとボリュームたっぷりのランチを味わえば、仕事への活力を与えてもらえそうです。ユニアデックスにお越しの際は、ぜひ万福食堂でランチをどうぞ。

「万福食堂 豊洲駅前店」さん、今回はごちそうさまでした。

【万福食堂 豊洲駅前店はこちら】
〒135-0061 東京都江東区豊洲5丁目5−1
Tel.03-3536-0129

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.