ネットマークス上海
中国ではスマホ決済が当たり前であり、Alipay(支付宝)に関する記事を多く目にします。急激に浸透していったのは理由があるようです。中国現地法人の田中氏と鄭(テイ)氏からの最新状況の報告がありました。
ネットマークス上海は2003年1月に設立し、今年で15年目。ユニアデックスの100%の現地法人として、東南アジアのネットワークインテグレーターの中では、初期の段階から進出し、現在アクティブユーザーは、100社程度いるそうです。事業内容は、ネットワークインテグレーション全般。事業所は、上海本社、広州、大連、天津にあり、社員は22名(内SE:10名)/日本語対応可能スタッフは13名/日本人駐在員は2名います。
中国のIT事情・トレンド
【WeChat(微信)】中国民営企業のコミュニケーション系SNS
月間のアクティブユーザーは、中国国内で8億人以上。インドネシアはじめ東南アジア各国でも多く利用されています。 世界一のユーザー数を誇り、機能も多く商用サービスなども広く普及しているため、2016年モバイル決済市場シェアは、38.1%ほど、Alipayと合わせると90%を超え、中国では急速にキャッシュレス化が進んでいます。LINEと比較しても、利用者数の規模の違いに驚きです!電子決済機能があることが、普及の後押しをしているのでしょうか。ネットマークス上海でも、WeChatを活用したアプリケーション開発も提供していて、「住宅メーカーの来場管理システム」を手掛けているそうです。
【Alipay(支付宝)】阿里巴巴集団(アリババ・グループ)のモバイル決済サービス
総アカウント数約8億人(国内シェア55.4%)、年間取引総額は約100兆円、というものすごい市場に成長しています。しかも、利用手数料は無料。WeChatと合わせると電子決済で90%のシェアがあり、全土にモバイル端末を利用したキャッシュレス決済が浸透しているため、個人商店でもAlipayは使えます。その一方、Alipayのアカウントで支払いが出来なければ、ビジネスチャンスを逃してしまうまでと言われています。急速に普及した理由の一つは、偽札などの社会問題もあるが、Alipayは銀行口座と紐付けされているため、通貨の信頼性が高いという背景があるからと説明されました。
さらにAlipayでは、ユーザーの信用度を数値化できるところが特徴的です。例えば、Alipayを通じて公共料金を支払うことができるが、利用者が料金を滞納してしまうとその人の信用度が下がり、悪質な場合は、Alipay利用が停止されてしまうケースもあるようです。また、飲食店で利用する場合は、テーブル上のQRコードをスマホで読み取ると注文ができ、会計はAlipay利用でキャッシュレス、Alipayのプラットフォームで注文~支払いまで済みます。Mobile Odrder Paymentというコンセプトが欧米で進んでいますが、もはや中国の勢いが激しいようです・・・。NexTalk(2017年9月12日号)でご紹介したセカンドファクトリー社のQOOPA(クーパ)のようなクラウド型オーだリングソリューションの普及が日本でも待たれますね。
【自転車シェアサービス】
日本の約10倍の人口だから、シェアリングだけでも市場規模がビッグになるそうです。中国の大学は構内が広くて、もともとは北京にある大学校内のサービスが街中に拡大した便利なサービスですが、「故障車両の放置が多い」「 風情のある街中では景観を損ねる」などの問題があり、政府は新たな自転車の投入を制限している現状があるようです。流通台数も桁違いに多いうえ、便利さとマナーが一体であるべきサービスのため、管理やルールなどの課題が山積しているのかもしれませんね。
日系企業の共通の悩み
日中間の商習慣などの違いにより、在中国の日系企業では共通する悩みが多くあるようです。
●ITスキル保持者がいない、IT技術者を雇ってもすぐに転職してしまうし・・・。
●スタッフが私用のUSBメディア使っている・・・。スタッフのセキュリティーの意識が低い。
●日本との通信が遅い・・・。ブラウザー検索やファイル転送が遅い・・・。どれも、解決するには時間がかかってしまう悩みです。
さらに中国独特の法令もあり、グループ企業内のITガバナンスを維持することにとても苦労するため、中国進出時の大きな足かせとなってしまいます。また、中国では、Googleやfacebookなどが使えないことは知られていますが、いわゆるGreat firewallで通信を検閲しているため、インターネットの検索速度がものすごく遅いうえ、政情により影響なのかここ1ヵ月くらいYahoo!JAPANの検索ができない状態であるとのこと。でも、ネットマークス上海では、このようなギャップを埋めるための「セキュリティー関連」や「広域NW通信関連」などのITソリューションを提供しています!と力強くおっしゃっていました。
ネットマークスフィリピン
日本語が堪能な役員のレイモンド氏からの報告です。島国ならではの課題やトレンドがあるようです。
ネットマークスフィリピンは2001年11月設立し、従業員は73名(SE50名、日本語対応スタッフ1名)。マニラ本社とセブ事務所にて、ネットワークインテグレーション全般を提供されています。
フィリピンのIT事情
長い間2つの大手ISPプロバイダー(GLOBEとPLDT)しかいなかったが、最近、新しいインターネットプレイヤー3社が登場し、GY Consultancyという日系企業も進出しています。この3社は新しいISPとして宣伝されていますが、GLOBEとPLDTのバックボーンを利⽤しているのが現状のようです。
日系企業の課題
2013~2015年には、フィリピンに日系企業の進出ラッシュがあり、フィリピンでの投資が活発化していたので、その影響から3年経った2017年は、設備のリプレース(PC、サーバー)やプラント拡大(NW配線、監視カメラ)やシステムの改善を検討している日系企業が多数いるそうです。
新しいサービス
フィリピンの交通渋滞は有名ですが、意外にも街中で流しのタクシーはひろえないそうです。そこで、3年前から米国のUberとマレーシアのGrabがサービスを開始したので、今ではアプリを使ってタクシーが呼べるようになっています。また、フィリピンでは、今後色々なシステムの改善が始まっていくので、紙システムからデジタルシステムへシフトするお客さまが多くなる傾向にあるので、IT投資や環境の整備が活発化していくようです。ネットマークスフィリピンの出番が増えていきそうです!
上海・フィリピンなどアジア各国では、Alipay、ubar、ライドシェアなど、日本でも注目されているサービスの導入がどんどん進んでいるように感じました。その一方、ガバナンスやネットワークなどIT周りの課題がたくさんあり、日系企業の悩みは尽きないようですね。次回は、インドネシア・シンガポール、マレーシアのレポートをお届け予定です。