ユニアデックスの片澤です。第4回目をお届けします。

米国は、COVID-19のフェーズが少し変化してきました。一時期、少し落ち着きを見せていたのですが、6月上旬から徐々に再開された経済活動により、人々が外に出ることが可能になりました。その結果、残念ながら感染者数もまた増加傾向となっています。いわゆる第2波のようですが、米国の専門家は、まだ、第1波がそのまま続いているとみている方もいます。現在は、1日あたり3,000~5,000人ずつ感染者数が増えています。

画像: ユニアデックス 片澤 友浩 ユニアデックスでは、約20年以上前から米国・シリコンバレーに駐在員を配置し、現地の最新ICTトレンドや技術動向、新たなビジネスモデルの探索を実施しております。日本ユニシスグループの米国拠点であるNUL SystemServices Corporation(以下、NSSC)に所属し、今までは当社営業やマーケティングを通してお客さまに届けていた情報を、定期的にNexTalkでも配信していきます。

ユニアデックス 片澤 友浩

ユニアデックスでは、約20年以上前から米国・シリコンバレーに駐在員を配置し、現地の最新ICTトレンドや技術動向、新たなビジネスモデルの探索を実施しております。日本ユニシスグループの米国拠点であるNUL SystemServices Corporation(以下、NSSC)に所属し、今までは当社営業やマーケティングを通してお客さまに届けていた情報を、定期的にNexTalkでも配信していきます。

COVID-19の最新状況

まず、COVID-19にかかわるお話から始めましょう。
米国でもいまだに多くの感染者数が出ているにもかかわらず、経済活動を止める動きは一部を除いては、あまりありません。むしろ再開に向けてどうするかということを検討し、実現に向けて進みだしている傾向にあります。これは、前回に紹介しましたが、膨れ上がってしまった失業者数の回復を少しでも緩和するため、経済活動を続けていかなければならないとの表れかと思います。経済活動は止められないので、マスクを着用し、ソーシャルディスタンスの維持、自分の身は自分で守りましょう。というスタンスに変わりましたが、さすがに混雑が予想される、テーマパークや動物園などは、再オープンを延期するという選択になっています。

画像: カリフォルニア州のDailyの感染者情報。出典:カリフォルニア州のPublic Health

カリフォルニア州のDailyの感染者情報。出典:カリフォルニア州のPublic Health

レストランなども再開されまして屋外のオープンエリアでの飲食では可能になりました。屋内はもう少し先になりそうです。

画像: COVID-19の最新状況

米国のデジタル医療の実態

今回は、COVID-19から見える医療データのデジタル化と実際の医療施設を利用してみた報告を紹介していきます。こちらでは、医療機関のデータが可視化されています。

COVID-19の件では、日々の感染者数、死亡者数の統計情報以外に、Zip Coad(日本でいう郵便番号)毎の数値、病院の入院患者数などがだれでも見ることができます。

画像: 出典:Santa Clara County Public Healthホームページ

出典:Santa Clara County Public Healthホームページ

米国では地域医療施設がネットワークでつながっているため、情報の共有ができているからこそなせる可視化です。住民にとってはどのくらい状況が深刻であるか、自分の住んでいるエリアが安全なのか、などを知る上でも非常にありがたいサービスです。日本においても情報の可視化というのは、今後のキーワードになるのではないでしょうか。

次に、医療機関に実際かかるとどうなのかというと、ご存じかもしれませんが、医療費はとても高額です。

米国のほとんどの医療機関、クリニック、医師は、それぞれ系列のネットワークに属しており、患者はどのネットワークでも治療を受けることが可能です。ただ、診察にかかるコストは高額なので、一般的に民間の医療保険に加入し、その医療保険が適応される系列ネットワークの医療機関で受診、ケアをお願いするということになります。

受診する際は、日常的に診てもらうホームドクター、休日などの時間外で診てもらうUrgent Care、緊急時にかかるEmergency(ER)と3つほどに分類されます。

便利な医療システムを体験

概要はこのくらいで、今回はこの医療システムを細かく紹介するというのではなく、米国の医療機関の便利さを実際に体験してみた結果を紹介していきたいと思います。実は、あまりうれしくはなかったのですが、すべて経験してしまいました。

1.便利なWebサイト

まず、ホームドクターを探し、受診した後にどんな薬が処方されたのか、医療費がどのくらいかかったのか、などを知りたいときは、すべて医療保険のサイトで確認することができます。

画像: 私が加入しているUnited Healthcareの個人用ダッシュボード画面

私が加入しているUnited Healthcareの個人用ダッシュボード画面

医師の検索結果や今までの受診履歴などの情報が集約されています。保険会社が情報を提供しているので医療費や保険が適応された額など、すべてデジタルで管理されています。また、個人の健康管理ができる米Rallyhealth社の外部サービスとも連携しています。

画像: ビデオ会議を利用したバーチャル診察受付画面。COVID-19の影響により、リアル対面での受診が難しい状況のため、Virtual(ビデオ通話)での診断も可能です。9月30日までは無料

ビデオ会議を利用したバーチャル診察受付画面。COVID-19の影響により、リアル対面での受診が難しい状況のため、Virtual(ビデオ通話)での診断も可能です。9月30日までは無料

実際にオンライン受診サービスを利用した時の流れがこちら。

①指定された時間にチャットルームに入る 。

②医師に症状を伝え、診断してもらう。この時に自分で計測した体温や血圧などを伝えるなどのやりとりを行う 。

③診断に合わせた処方箋を出してもらい、医師がファーマシー(薬局)に依頼をする。

④ファーマシーに薬を取りに行く。

非常に簡単で、私自分も医師に診察してもらえ、適切な薬が処方され、服用できることで安心感を得られたのが印象的でした。

画像: 処方箋の画面

処方箋の画面

すでに処方箋履歴があれば、薬が足りなくなっても自分でファーマシーにオーダーでき、近所のファーマシーで薬の受け取りが可能です。

このようにWebサイトで受診履歴の確認や個人ダッシュボードでの自己管理ができるので、ユーザ―視点から見ても非常に利用しやすかったです。お薬手帳も必要ありません!!

2.同時通訳システム

米国は多民族国家であり、多くの移民がいます。そのため、言語の壁はどうしても発生します。特に医療用語は専門性も高く、日常的にも使わないので、言葉の不安はどうしても発生します。

実際に私が体験したのは、2つの方法です。

1つは、特別のことはなく、電話越しに通訳の方に入ってもらって、3人で会話する方法でした。もう1つは、下記の写真をご覧ください。専用端末です。こちらは、米Stratus Video社の同時通訳サービスでした。

こういった同時通訳サービスは、保険会社のサービスの中に含まれていたり、病院側のサービスとして準備されていたりします。日本でもこの手のサービスを利用する医療機関は、今後増えていくのではないでしょうか。

画像: 米Stratus Video社の同時通訳サービスの機器

米Stratus Video社の同時通訳サービスの機器

3.患者コミュニケーション

 日本の場合は、医師や病院側とのコミュニケーションは、まだまだ電話が基本という印象ですが、米国はモバイルアプリやSMSが基本に置き換わり始めています。実際にUrgent Careとのやり取りは、モバイルアプリで行いました。休日対応ということもあり、飛び込みでリアル診察に伺ったのですが、診察後に案内してもらったのが専用アプリでした。

画像: 患者用のアプリ。次回の予約が取れるほか、自分で処方箋の確認が可能。真ん中は、医師とのチャットも診察後のCare Planに提示されます

患者用のアプリ。次回の予約が取れるほか、自分で処方箋の確認が可能。真ん中は、医師とのチャットも診察後のCare Planに提示されます

米国の医療機関の便利さが少しは伝わりましたでしょうか。医療制度は、国により制度も異なってきますので、すべてにおいて同じような医療体制はとれないとは思いますが、日本も患者側から見たときに利用しやすい方向に向かってもらえるとありがたいと思いました。

このようなテクノロジーは、デジタルヘルスという分野で区分されています。テレヘルスと呼ばれるリモートでの体調などの状態把握をはじめ、バイタルデータに加えて尿検査や採血まで実施し、スマホでデータ転送を実施し、診断に利用するサービスを提供するスタートアップ企業。未病ケアと呼ばれる日々の健康管理からサプリメントや食事、運動などのリコメンドを実施するスタートアップ企業などがいくつも出てきており、このデジタルヘルス分野はまだまだ成長していく印象を感じています。

画像: 出典:デジタルヘルスマーケットサイズ(Statista)

出典:デジタルヘルスマーケットサイズ(Statista)

今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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