ユニアデックスの本社がある東京・豊洲界隈のランチスポットをご紹介する新コーナー・通称『トヨメシ』。第2回にご登場いただくのは、月島のもんじゃ焼き店「もんじゃ ひめぜん」。店主のアイデアが光る人気メニューの数々や、激戦区に店を構えた思いなどについてうかがいました。

下町情緒あふれる路地裏で3年前に開店

東京メトロ有楽町線、都営大江戸線月島駅から歩くこと3分。月島もんじゃストリート参番街の中ほど、細い路地を入ったところにあるのが「もんじゃ ひめぜん」。月島もんじゃ振興会協同組合の中でいちばんの若手という店主・藤元 重臣さんが2014年4月にオープンしたお店です。
昔ながらの家並みに馴染む同店の扉をがらりと開けると、もんじゃ焼き屋然とした和風の内装が……と思いきや、壁にはR&BやHIP HOPのレコードが飾られ、人気メニューが書かれた特製サーフボードがどーんと鎮座。店内にはハワイアンテイストの小物もたくさん。あれ? ここって月島でしたよね!?

画像: ここだけ見ると、ダンスフロアがある繁華街のBarのよう。

ここだけ見ると、ダンスフロアがある繁華街のBarのよう。

画像: 店主の藤元重臣さん。2階への階段の壁に飾ってあるのは趣味で集めたレコード。これがきっかけでお客さまと話が弾むことも。友人の家に遊びに来たような雰囲気の「ひめぜん」には、老若男女、国籍問わず、地元の方から観光客まで幅広いお客さまが訪れています。テレビや雑誌などで取り上げられる機会も多く、サイン色紙もずらり。

店主の藤元重臣さん。2階への階段の壁に飾ってあるのは趣味で集めたレコード。これがきっかけでお客さまと話が弾むことも。友人の家に遊びに来たような雰囲気の「ひめぜん」には、老若男女、国籍問わず、地元の方から観光客まで幅広いお客さまが訪れています。テレビや雑誌などで取り上げられる機会も多く、サイン色紙もずらり。

1階はテーブル席で20名ほど、2階はお座敷で25名程度まで収容可能。平日の営業は基本的に17:00から24:00ですが、事前予約でランチ営業も。予約や貸し切りも相談できるため、会社の部署単位で訪れるのもよさそうです。

アイデア満載のユニークなメニューが話題

「ひめぜん」の特徴はなんといっても、オリジナリティーあふれるもんじゃ焼きの数々。たとえば、梅・もち・ネギの「歌舞伎」、ステーキ・もやし・ご飯のBig盛り「デブリシャス」、ベビースター・チーズ・コーンの「平成」、対して「昭和」は切りイカ・桜えび・紅ショウガ。定番から新作までさまざまなメニューが揃っており、数種類注文するお客さまが多いのだそう。
なかでも藤元さんのイチオシは、名古屋への旅がきっかけで考案した「黒カレー」、ハワイ風パンケーキにヒントを得た「アボカド明太クリーム」、ガーリックシュリンプをアレンジした「ワイキキ」。いずれもアゴのダシがよく効いた、完成度の高いもんじゃ焼きばかりです。
「アボカド明太クリームは当初、バニラアイスを入れたカルボナーラのような味だったんですが、見た目のインパクトがほしくて生クリームに変更。若い女性に“やば〜い!”とよく言われますが、その反応が狙いでした(笑)」

画像: イチオシの「黒カレー」。キャベツの食感、自家製牛スジの旨味、スパイシーな辛みが食欲を誘い、お酒も進む味。

イチオシの「黒カレー」。キャベツの食感、自家製牛スジの旨味、スパイシーな辛みが食欲を誘い、お酒も進む味。

画像: 話題の「アボカド明太クリーム」。見た目に衝撃をうけますが、アゴとチキンのダシが上品でクリーミィな味わい。クセになります。

話題の「アボカド明太クリーム」。見た目に衝撃をうけますが、アゴとチキンのダシが上品でクリーミィな味わい。クセになります。

新メニュー開発の参考に、日頃から頻繁に外食をして、2カ月に1品は新メニューを出すことを目標にしているのだそうです。
「土手がちゃんとできて水っぽくなく、もんじゃ焼きとして成立するかどうか、試行錯誤は大切。僕は必ずスタッフや常連さんに先に食べてもらって反応を見ます。自分好みに偏らないこと、食の流行に左右されすぎないことも念頭に置いてメニューを考えていますね」

とはいえ、ときには失敗作もあるそうで、地道なトライ&エラーの先に、独自性が生まれるわけですね。そして、藤元さんには大きな野望も。
「明太もちチーズって、どの店にもある定番じゃないですか。うちの店でも一番人気です。でも、このことがいちばん悔しい。いつか “もんじゃといえばコレ”という定番メニューを生み出したいです」

画像: 自分で焼きたい方、作ってもらいたい方、藤元さんと会話したい方、お客さまどうしで話したい方、さまざまなお客さまがいるからコミュニケーションのさじ加減は難しいのだそう。

自分で焼きたい方、作ってもらいたい方、藤元さんと会話したい方、お客さまどうしで話したい方、さまざまなお客さまがいるからコミュニケーションのさじ加減は難しいのだそう。

お客さまの「おいしい」が料理人としての原点

30歳で自分の店を構えて以来、バイタリティーを持って営業を続けている藤元さん。彼の原動力とは一体何なのでしょうか。聞けば、長崎県のご出身。小料理屋を営むお母さんの背中を見て育ち、幼い頃から料理に興味があったといいます。
「小学生のとき、味噌汁を作ってお客さまに出したら、『おいしい!』と言ってもらえた。それが心底嬉しくて、料理人になろうと決めました」

画像: 「ひめぜん」では藤元さんの故郷の味も味わえる。長崎っ子のソウルフード「雲仙ハム」にダシ用のアゴ。焼きそば麺のかわりにチャンポンの麺を使用。「少しでも地元に貢献したい。いつか振興会を挙げて長崎フェアを催したいと思っています」

「ひめぜん」では藤元さんの故郷の味も味わえる。長崎っ子のソウルフード「雲仙ハム」にダシ用のアゴ。焼きそば麺のかわりにチャンポンの麺を使用。「少しでも地元に貢献したい。いつか振興会を挙げて長崎フェアを催したいと思っています」

その後は食物科のある高校へ進学。卒業後は上京し、うなぎ屋に勤務。しかし、うなぎ料理しか作れないことやお客さまと交流できないことに馴染めず、1年で退職。
「実家へ帰ったら母にすごく叱られて、もう一回修行してこいと追い出されました」
2万円だけ渡されて片道切符で再び東京へ。先輩の家を転々としていたとき、たまたま月島へ連れてきてもらったことが契機となり、月島で数店舗ある有名なもんじゃ焼き店「おしお」で働くことに。そこでもんじゃ焼きの基本から商売のイロハまで、13年間学んだそうです。

実は藤元さんが中学生の頃、お母さんが小料理屋からもんじゃ焼き屋にお店を変えたことから、興味はあったのだそう。
「母の小料理屋は『姫膳』という名前でした。もんじゃ焼き屋にして店名も変えていたので、僕が店を出すときには継ごうと。いま“ひめぜん”があることが親孝行になっているといいです」

伝統の激戦区だからこそ新しさに意味がある

13年間、「おしお」で働くなかでメニュー開発にも積極的に携わっていたという藤元さん。人気店での経験があるとはいえ、いざ激戦区に出店するとき、不安はなかったのでしょうか。
「もともと楽観的で。明日はどんなお客さまに会えるだろう、次はどんなメニューを作ろうか。不安よりも前向きな気持ちが強かったです」

では、オープン以来、お店を続けてこられた秘訣は。
「有名な観光地なので、放っておいてもお客さんは来てくれる環境です。でも、漫然と営業していたらつぶれていたと思いますよ。創意工夫を続けないと常連さんは飽きてしまう。いまは古巣より旨いもんじゃ焼きを出せていると自負しています」

そんなふうに自らを鼓舞できることも藤元さんの強みでしょう。そして強さだけでなく、持ち前の懐の深さも、月島に馴染めている要因かもしれません。
「この街で働く後輩たちも育ててあげたい。新しさや若さを育むことは月島の未来につながるはずだから。後輩たちについ説教じみたアドバイスをしてしまうのは、同じ土俵で頑張ってほしいからです」

30代の地方出身者で新鮮な考えの持ち主である反面、昔気質の下町親父のような心意気も持ち合わせている藤元さん。伝統的なもんじゃ焼きの魅力を大切にしながら、新しいアイデアを実践することを恐れない。そんな彼の熱意が、もんじゃ焼きをより熱く、より味わい深くしているようです。
豊洲〜月島界隈を訪れる際はぜひ一度、この人情味に触れてみてください。

「ひめぜん」さん、今回はごちそうさまでした。

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