2018年11月26日、今回、NexTalk編集部はJR東海道本線の静岡県・新所原(しんじょはら)駅に向かいました。キュウリ農家をご家族で営む小池誠さんをお訪ねするためです。小池さんは、なんと!無料のオープンソースAIを活用して、キュウリの仕分け作業を自動化する仕組みをご自身で開発されています。
小池さんのキュウリは、収穫後に9つある等級に正しく仕分けしなければなりません。春先の収穫ピーク時には、1日に約4,000~5,000本のキュウリを、お母さまが8時間以上かけて仕分けていらっしゃいます。立ちっぱなしのためかなりの重労働です。家業を継ぐことになった元エンジニアの小池さんは、「なんて非効率で大変な作業なんだろう。そもそも自分は、母と同じ速さで仕分けはとてもできない...」。そんな時、「AlphaGo(アルファ碁)」のニュースを見て、AIの画像認識はキュウリの仕分けに使える!と直感したそうです。
さっそくエンジニアの腕を活かし、キュウリ自動仕分け機1号はGoogleオープンソースAIやwebカメラなどを利用して1~2週間程度で完成。今年、仕分け機は3号となり、熟練者のお母さまのレベルに到達するにはもう少し改良が必要ですが、仕分け精度は80%くらいまで上がっているそうです。
小池さんはIT知識にお強いだけでなく、仕分け機をDIYで作られるほど器用な方です。農業の効率化は始まったばかりで、自動仕分けにとどまらず、ロボットアームを使ったキュウリの箱詰め、AIやドローンを活用して収穫時期の見逃し防止など、どんどん夢が膨らんでいらっしゃいます。
ところで、キュウリはビニールハウスで栽培していることをご存知ですか?今回、初めてハウスに入らせていただきましたが、かなりの高温で葉などが大人の背丈よりびっしりと育っている中に、キュウリがたくさん。水やりや温度管理、収穫も大変な作業です。
「最終的には肉体労働から解放されて、自動化された環境で出荷までできるようになればより品質の良いキュウリ作りに専念できると思います。」と話されていたことが印象的です。
小池さんご家族が作るキュウリは「秀品」と言われていて、手に刺さるほどのイボイボがしっかりあり、濃い青色のみずみずしい見事なキュウリでした。
小池さんのチャレンジは、1月号の本編でご紹介します。お楽しみに!