2018年9月10日、編集スタッフは東京杉並区・荻窪駅の南口で待ち合わせて「R65不動産」に向かいました。駅から少し歩くとすぐに住宅街になります。この住宅街の中に不動産屋さんがあるのね...と思っていたら、モダンな外観で「荻窪家族レジデンス」と素敵なネーミングの建物にたどり着きました。住所はあっているので中に入ると、明るく木のぬくもりが感じられる温かい雰囲気のラウンジに案内されました。
「R65不動産」は65歳以上の方向け賃貸住宅を専門に扱っていることで、知る人ぞ知る存在なのですが、いわゆる街の不動産屋さんの姿はなく、イメージしていたオフィスと全く違いました。
「こちらの大家さんがステキな方なので、お借りしています」と代表取締役 山本遼さん。山本さんは、穏やかに話される物腰が柔らかい方です。借り手の高齢者の方にも丁寧に接していらっしゃる姿が目に浮かびます。
物件はインターネットで詳細に紹介し、やり取りは電話のため、借り手の方が店舗に来る必要はないようです。ご自身がインターネットを見られない環境であっても、ご家族や知り合いの方を通して物件を見るので、特に問題ないとのこと。なんて、シンプル。
「65歳以上の方でも、元気で足腰も丈夫で、自立意識の高い方はたくさんいます。バリアフリーの部屋でなくても段差も階段も平気で、一般の方と変わりません。そこで、大家さんのさまざまな不安を解消するために勉強会なども開催し、啓蒙活動をしています。」と山本さん。そうはいっても、高齢者の物件探しは100件の物件にあたり、ようやく1~3件見つかるというかなり厳しい現実があります。しかし、地道な活動により起業から3年、徐々に契約大家さんの数が増えて、物件数も順調に伸びています。
大家さんの理解を得るために、一般の方に比べて借り手側の現状(健康状態や収入など)を細かくヒアリングし、やむを得なく契約をお断りする場合もあります。それは大家さんに損失や迷惑をかけないようにすることも、大切な役目であるから。また、借り手側にとっても健康状態や収入に見合った賃貸ライフが送れるので、長く、安心して住めることにもなるのです。
本編では、「起業したきっかけ」から始まり、「高齢者が家を借りる事情と借りにくい事情」、「貸し手が安心する仕組みつくり」、「今後、目指すこと」などをご紹介します。
誰もが高齢者になるのですから、山本さんの取り組みに注目したいです。