日本ユニシスグループの総合イベント『BITS2018』では、IoT活用からインフラ運用までさまざまな講演が行われました。2日目の6月8日には、グリッド代表取締役の曽我部 完氏とともに、ユニアデックス未来サービス研究所研究開発一室長の藤田 勝貫が「AIOps」についての講演を行いました。タイトルは、「今のIT運用に満足してますか?~ エンジニアのナレッジ×ディープラーニングで見える未来~」です。NexTalk編集部のミキティーも聞いてきましたよー。概要を報告します!
まずは、藤田さんから「ITインフラの運用課題解決へ向けていかにAIを活用するか」について、話がありました。
ITインフラ運用にAI技術を活用するポイント
ITインフラ運用の課題として、マルチデバイス化への対応やサイバー攻撃・マルウエア対策、エンジニア不足など課題は複雑化する一方です。こうした課題の解決にAI技術を活用することを「AIOps(Artificial Intelligence for IT Operations):エーアイオプス」といいます。
ユニアデックスでも、ベテランの運用ノウハウをAI化して、ITインフラ運用を高度化することを進めています。AIOpsのメリットとして、サービス向上、属人性排除、安定性向上、人的ミス排除、効率化などが挙げられます。
これだけ社会がデジタル化していると、エンジニア不足は切実ですよね。人間技には限界がありますし。担当者の経験や知識をAIに蓄積させることで、運用側としては人材不足を補えます。サービスが向上すれば、お客さまにもメリットがあるというわけですね。
ところでAIOps!? またまた、知らない略語が増えましたけどー。
AIOpsを支える技術要素として、RPA、チャットボット、ARなどがあり、適材適所で活用していく必要があります。ただ、AIを導入するだけでうまくいくかというと、そういうわけでもありません。
え、うまくいかないの? AIにお任せという印象があります。
目指すのは、AIに精通したエンジニアを育成し、AIと人がお互いに補完する中で継続的に成長する「人馬一体」だと考えています。知識やノウハウをAIに覚え込ませれば、人は意識を向けるべき方向に向くことができます。結果的に、仕事の質と量を向上させることができるのです。
AIができることはAIにお任せし、人は、人にしかできないことに集中するということですね。よく「AIが人の仕事を奪う」といった表現を目にしますが、AIは脅威でも敵でもなく、力を合わせることで、人が直面している課題の解決がかなうというわけか。つまり、AIは、よきパートナーで仲間だということですね!
AIOpsの事例も続々
AIOpsの事例として、システム障害の予兆を検知して、事前対応につなげる「障害予兆検知」があります。障害発生の前にはログに兆しがあることが多いのでは、という仮説を立て社内で検証。システム障害が発生する7~12日前に、いつもと違う状態を機械学習で検知し、事前対応を行うことができました。
障害予知検知については、『BITS2018』展示コーナーのブースNo.43でもお話をうかがいました。やはり、システムのトラブルは突然発生するのではなく、その前に普段とは違う動きがあるのですね!
また、工事現場では、事前に想定されるリスクを洗い出すのですが、その際、ベテラン担当者とそうでない場合でリスクの精度にばらつきがあるという課題がありました。これを解決するために、類似工事の過去の不具合事例をナレッジ化。AIがリスク分析に活用できることを建設会社さまとの協働で実証できました。
ベテランの知識や経験をAIに蓄積しておくことで、場所や時間を越えてみんなで共有することができる分かりやすい例ですね!
さらに、養豚場での母豚の活動状況を画像認識でデータ化することで、母豚の出産時期を予測。出産に立ち会えば死産を減らせることが、納田牧場さまとの協働で実証されました。
納田牧場さまでのAI活用については、以前に取材させていただいたことがあります!! 出産間際の母豚は、動きで分かるのですよね。
2018年3月、ユニアデックスとグリッド社は、グリッドの機械学習/深層学習AI開発プラットフォーム「ReNom(リノーム)」を活用したITインフラサービスの開発・提供へ向けた協業を開始しました。
「ReNom(リノーム)」は、展示ブースNo.43でも紹介されていましたね。犬や猫の画像認識が可能になる仕組みを教えていただきました。
引き続き、グリッド代表取締役の曽我部完氏より、同社の業務内容と「ReNom(リノーム)」について説明していただきました。
例えば、画像分析で犬か猫かを判断させるには、画像の教師データをつくる=「データ・セット」の作成が必要です。それには莫大な教師データが必要であり、さまざまな課題がありました。それらの課題を解決してくれるのが「ReNom TAG」です。また「ReNom IMG」によって、ユーザー自らがオブジェクト検出モデルを作成することができるようになります。例えば、自社工場での不良品の検出などにも使えるようになります。
数学統計とプログラミングスキルが両立しないとAI開発は難しく、人材は圧倒的に不足しています。ReNomチュートリアルでは、AI開発に必要なスキルセットを解説とソースコード含めて公開しており、機械学習の経験が少ないエンジニアでもモデル構築が可能で、企業内のエンジニア育成・教育にも役立つツールとなっています。「ReNom」は、人工知能を専門家ではなくても簡単に使える世界を実現したいと考えています。
なんと、AIに関しては専門家に任せるしかないと思っていたミキティーですが、頑張って学べば、自分のニーズに合わせて画像認識してくれるAIを作れるということですね!
個人でも画像認識モジュールを自分たちで作れるような時代が来るかもってこと!? 例えば、自分と相性がよい人、相性が悪い人の顔のデータを集めて、もっとも相性がよい人を画像検出してもらうとか?? そして、そして…☆!?
あぁ、AIの世界の可能性は、日々広がるばかり。夢がありますね!
日本ユニシスグループ主催『BITS2018』潜入レポート!(後編)にリンク