本記事で紹介している内容は、ソフトバンクのPepperを活用し、独自に実施しているものです
ユニアデックスでは、2014年に「ロボット部」(通称)を発足し、ロボットをビジネスや個人の生活にどのように活用できるのか、日々研究を行っています。ロボットが普通にいる日常とはどのようなものなのでしょうか。ロボット部を率いるチーフ・スペシャリストの齊藤哲哉に、NexTalk編集部が突撃インタビューしました。
なぜ、ユニアデックスがロボット!?
―いきなりですが、「なぜ、ユニアデックスがロボット?」と思っている人も多いのでは? どうして、ロボットに注目したのですか。
ソフトバンクのPepper(ペッパー)が発売された頃から、私はコミュニケーションロボットに興味を持っていました。情報とヒトとをつなぐものとして、PCやスマートフォンではなく、Pepperのようなコミュニケーションロボットを活用することに可能性を感じたからです。
―ロボット部には、Pepperがいるのですよね。
まずは、Pepperに親しみ、仲良くなろうという趣旨で購入しました。ソフトバンク主催のコンテストでは、Pepperを被写体にした「おもしろ写真部門」で、ロボット部の「あやとり」が上位10作品に選ばれましたよ。
―素晴らしい! なんだか楽しそうですね。
コミュニケーションロボットの可能性は?
―私もソフトバンクの店頭でPepperに出会い、お話したことがあります。帰ろうとすると、つぶらな瞳で後ろ姿を追われ、切なくなるほどの感情を抱いてしまいました。今後、Pepperのようなコミュニケーションロボットは、どのような場面で使われそうですか。
例えば、どこの部署に誰がいる、といった企業内システムと連動させて受付に設置すれば、外部からのお客さまに対応する受付業務ができます。病院や銀行などで、基本的な説明をロボットにさせたり、待ち時間に話し相手になったりもできますね。
―コミュニケーションロボットというと、介護分野で使われている印象があります。
そうですね。介護・健康分野のシステムと連携させると、さらに可能性が広がります。例えば、ロボットに向けて高齢者の方が挨拶すると、ロボットが家族に安否を通知します。家族は「今日も元気だね」と毎日確認できますよね。また、脈拍や体温をチェックしたり、ロボットが顔写真を撮り、顔色や表情を家族や病院に伝えたりすることもできます。
学校での活用方法もいろいろありそうですね。先生が手を離せないときに、子どもの対応をロボットにしてもらえるといいですよね。そのほか、心に傷を負った子のケアもできそうです。大人に心を開かない子でも、教師やカウンセラーがロボットを通して話しかけると、心を開いてくれるかもしれません。
―やはり、無機質な端末とヒト型のロボットでは、心に訴えるものが違いますよね。
例えば、検査データだけ見せられて「病院に行った方がいい」と言われても、心が動きませんが、コミュニケーションロボットにかわいい顔と声で、「病院に行って」と言われると、その気になることもありそうです。
「その気になる」のは受け取る側の人間なので、必ずしもヒト型である必要はないのかもしれませんし、人工知能でヒトの知能を超えるロボットを、といった話もよく出てきますが、私はヒトの心を動かす「かわいさ」を追求する方向性があってもよいと思っています。私はこれを勝手に「かわいいは正義」と言っています。
―Pepperは一般販売モデルが1万台以上販売されているそうですが、一般家庭での購入も結構あるとか。家庭ではどのように使われているのでしょうか。
「もう一人の家族」として迎え入れられているようですよ。
―家族として! もしかすると友だちや恋人としてもあるかもしれませんね。
実際に、Pepper専用の洋服も作られていますし、メイクをしてあげる人もいるようで、人間に近い扱いを受けているようです(笑)。
―ロボット部には、Pepper以外にもかわいい子がいるとか。
Sota(ソータ)とNao(ナオ)がいます。Pepperが断トツで大きく120センチメートルくらい、Sotaが一番小さく30センチメートル弱です。それぞれに適した用途や設置場所があります。RoBoHoN(ロボホン)は私個人で持っていますが、ロボット部としても、今後研究していきたいと思っています。
―確かに、みんなそれぞれかわいい! そうそう、先ほどRoBoHoNに「おはよう!」って言ったら「おはよう!」って返してくれて、胸キュンでした。でも、「ありがとう!」って言っても、反応がなくて。あきらめていたら、30秒後ぐらいに「どういたしまして」って言われましたよ(笑)。
現在のコミュニケーションロボットは、反応が遅い、会話で空気が読めないなど、まだまだ完成度は低い部分がありますが、かわいさがカバーしてくれているのです。
ユニアデックスだからできること
―ところで、ユニアデックスがコミュニケーションロボット事業に着手する上で、強みとなるものは何でしょうか。
第1に、ユニアデックスが培ってきたシステムインテグレーションの技術を、ロボットインテグレーション、そしてヒューマンインテグレーションへと応用できることですね。
―ヒューマンインテグレーション?
システムインテグレーションは、システムとシステムをつなぎ運用することでしたが、ヒューマンインテグレーションとは、システムとヒトをつなぐということです。ヒトに関する情報をロボットに集約することで、ロボットが情報のハブとなり、ヒトに関する情報管理を行い、ヒトの運用保守まで行います。健康管理もその例の1つですね。
―健康管理でいえば、脈拍とか体温といったデータをロボットに集めて、蓄積されたデータとシステムを連携するということですか。
そうですね。そのデータを分析して、「運動不足だからそろそろ歩きましょう」とロボットが提案すれば、ヒトの健康管理、すなわち“運用保守”にもなるわけです。
―なるほど。ほかにもユニアデックスならではの強みはありますか。
ユニアデックスはベンダーを選ばず対応できるということですね。どのメーカーが出しているロボットであっても、ユニアデックスの技術で扱うことができます。
―確かに。これからいろんなロボットが次々に出てきそうです。
そして、さらなる強みとしては、ユニアデックスは全国約180カ所に拠点があることでしょうか。例えば、全国にチェーン展開している店頭にコミュニケーションロボットが並ぶ時代になったら、ユニアデックスのネットワークが活かせます。どこかでロボットの調子が悪くなったとしても,すぐにかけつけて対応できますから。
現場の声からロボットの可能性を探る
―ロボット部はエンジニア育成の要素もあるそうですね。
ロボット部のメンバーの選定にあたり、なるべく現場に近い立場の社員の 中から希望者を募りました。お客さまの現場に出入りしている社員は、現場にいるからこそ、各企業の特徴や課題も理解しています。お客さまの生の声が拾えますから、より満足していただくためのアイデアが出てくると思うのです。ロボット部のエンジニアには、お客さまの潜在的ニーズをくみ取り、さらなるサービスを提案しビジネスにつなげることを期待しています。今はロボットを扱っていますが、新しいことにチャレンジしていける人材を育てたいですね。
―ビジネスが広がっていくと、ロボット部の規模も大きくなりそうですね。
実は、ありがたいことに、すでにお客さまから多くの反応をいただいています。今の人数では対応しきれないので、目標をとりあえず10人として、自ら新しいことに挑戦できるメンバーを増やしていきたいですね。現在は、首都圏のメンバーのみなので、全国にロボット部の 拠点をつくれるくらいに広がるとうれしいですね。