OTソリューション:「攻撃は防げない」を出発点にする OTセキュリティーの最適解
OT(OperationalTechnology)セキュリティーは近年、大手企業がサイバー攻撃によって操業停止に陥る事件が注目され、問い合わせが増加傾向にある分野です。
これまでは生産設備や制御の仕組みは外部と隔離することで安全性を担保していました。しかし近年、IoTやAIの進展に伴い、生産設備のデータをクラウドへ接続する機会が増えています。いわば「環境を守るための壁に穴を開けて、データを外に通している状態」です。
一方、攻撃側にも明確な変化が起きています。愉快犯による攻撃は減り、役割分担された集団による、営利目的の犯罪が主流になったそうです。狙われているのは「止まると困る場所」、つまり生産現場です。異常が発生しても生産設備を止めないという考え方は、BCP(事業継続計画)と共通するもの。しかし担当者によれば、OTとBCPの接続は簡単ではないそうです。
担当者は「地震や台風で工場が止まるシナリオは想定していても、サイバー攻撃で止まる想定はしていない。という企業は少なくありません。シナリオ想定には、BCPを考える部門とセキュリティーを考える部門、工場の現場という3部門の連携が必要になります」と説明します。しかし、この3部門は拠点も作業環境も離れており、密な連結はとても難しいのです。
それを支援するのが、ユニアデックスのOTセキュリティーです。今回の展示では、サイバー攻撃を受けても操業停止を最小限にとどめ、可能な限り稼働を維持することを目指し、施策を打ち出していました。

「大手企業のセキュリティーインシデントをきっかけに、相談数が桁違いに増加しました」と語る担当者。レガシーが温存されがちな製造現場の課題に日々向き合っている
まず、有効な手段として示されていたのが、製造機器のセキュリティー性を高める「TXOne」を用いたPLC(ProgrammableLogic Controller:工場や機械の動きをプログラムで自動制御する専用コンピューター)の防御です。PLCとネットワークスイッチの間にTXOne EdgeIPSを挟み、異常な通信を遮断します。

展示ブースではPLCに対する攻撃をTXOneで防ぐデモが行われた
PLCがやり取りするのは、起動・停止といったシンプルな制御信号で、通信相手も決まっています。「OTには、通常の基準から外れた不審な動作や異常を検出する精度を上げやすいという特徴があります。そのため普段と違う『不審な信号』を見つけやすく、PLCは、効果的に防御できる部分といえます」
リモートメンテナンス用に設置されたVPNの脆弱性を突いた攻撃には、ZTNA(Zero Trust Network Access:ゼロトラストネットワークアクセス)の技術で備えます。従来のVPNは、IPアドレスとユーザーID・パスワードさえわかれば誰でも潜入でき、一度入れば内部はとても動きやすい状態でした。そうした課題の解決策が、ゼロトラスト型のネットワークサービス「Dispel」です。
Dispelは、利用者の管理はもちろんのこと、ネットワークにアクセスできる時間やアクセス先などを細かく指定することが可能です。保守員がクラウド上のサーバーに接続した際、与えられた権限が一致した場合にのみ、工場側へのセッションが結ばれます。

ゼロトラスト型ネットワーク導入後の構成図のイメージ
さらに、未来に向けた実践的なソリューションが用意されていました。工場内の設備装置はどこにどれだけあるのか把握されていないケースが数多くあります。これはどこにセキュリティーの弱点があるかが分からないことだけを意味していません。AIが生産制御に活用される時代において、AIが使うデータがどこで産まれ、AIが制御すべき先が分からないことでもあり、AI活用を妨げる要因にもなります。
そこで役立つのが、OT資産の可視化とリスク管理を行う「Claroty xDome」です。一般的によく利用されるパッシブ型(スイッチを経由してOT資産を検知する)以外にも多様な検知方法を組み合わせており、OT資産の検出精度と効率性を向上させることが可能です。

5種類の検出方法で施設内のOT資産をくまなく把握できる
過去のセキュリティーインシデントを参考に、展示デモも昨年からレベルアップ。来場者の課題に合わせた具体的なソリューションが披露されました。
特に印象的だったのは、「情シスは工場が何をやっているか知らない、工場はセキュリティーを知らない。その仲立ちが私たちの役割です」という担当者の一言です。
OTセキュリティーは製品を選ぶ前に、部門間の認識をすり合わせる作業が必要な領域です。そこを「引き受ける」と明言できるベンダーは多くありません。豊富な実績とノウハウを有するユニアデックスならではの力強い一言、とても頼もしいですね!

OTセキュリティーの担当者たち。「いずれのケースでも、既存の設備や業務オペレーションを生かし、導入負荷を抑えるようなご提案が可能です。ぜひご相談ください!」と声をそろえる。手前のOT女子たちは、「私たちがどこへでもご説明に行き、丁寧に対応します」と満面の笑顔
IT運用AIサービスの実装例:国際基準の認証を受けた「サポートGAIチャット」
生成AIが普及し、業務利用は広まったものの、有効に使いこなせている現場はそう多くありません。「場当たり的な利用で全体最適化ができない」「有効な利活用法が暗黙知化してしまう」「社内ルールを定めても形骸化してしまう」といった悩みは、多くの企業が共通して持つ課題でもあります。
そこでユニアデックスは、マネージドサービス「GASSAI」のAI活用の一環として、自社の保守エンジニアを支援するAIツール「サポートGAIチャット」を開発しました。

サポートGAIチャットのデモ画面
サポートGAIチャットは、ユーザーの問いかけを複数のタスクに分解し、それぞれのタスクごとにLLM(大規模言語モデル)が動く仕組みです。ユーザーは操作画面から、各タスクでサポートGAIチャットがLLMに何を渡し、どのような回答が返ってきたのかを確認できるようになっています。
それぞれのタスクに対しては、ユニアデックスが最適化したプロンプトが動く仕組みになっており、ユーザー個々のプロンプトエンジニアリングによる属人的な「結果のブレ」を抑えられます。

担当者はプロンプトについて、「標準化されたものが5分類・数十業務分をデフォルトでセットしています。いわば『秘伝のタレ』。もちろん個別カスタマイズも可能です」と力説する
LLMは、ローカルで動作するものとクラウド上で動作するものを使い分けています。外部に出せないデータを扱う場合はローカルLLMを、機密性の問題がなく、より高度な探索や推論が必要な場合はクラウドLLMを利用します。基本的にはタスクごとに適したモデルを割り当てていますが、ユーザーが選択することも可能です。
こうした使い分けを支える構成要素として、展示ではNVIDIA製GPUを搭載した「DGXSpark」を紹介しました。アプリケーション、外部に出せないデータ、ローカルLLMを1台に集約し、ローカル環境で処理できるハードウエアです。

NVIDIA製GPUを搭載した「DGX Spark」。複雑な処理を必要とするサポートGAIチャットの屋台骨
LLMのバージョン管理はユニアデックスが担います。進化の速度が速く、次々と新しいモデルが公開される中、「誰が責任を持ち、どのタイミングで新モデルを導入するか、あるいは見送るか」を記録。動作確認のテスト結果も残します。
「外部に出せないデータはローカル環境で扱いたい。一方で、必要な場面ではクラウドLLMの機能も活用したい」というニーズは、多くの企業に共通します。しかし、セキュリティーやガバナンスを確保しながら、機能とコストを両立することは簡単ではありません。ローカル環境の活用によってデータ主権やインフラ主権に配慮しつつ、用途に応じてクラウドLLMも組み合わせるハイブリッド型のAI活用モデルは、AIガバナンスに悩む企業にとって選択肢の一つになりそうです。
このサポートGAIチャット、実はAIMS(AIマネジメントシステム)に関する国際規格である「ISO/IEC 42001」の認証を取得しています。この認証は、AIのリスク管理を徹底し、安全・安心なAIサービスの提供を実現するための国際的な基準であり、安全性と信頼性の高いサービスを提供するための基盤になるものです。
認証取得に至ったきっかけについて、データサイエンティストは「多くの企業で、AI活用の属人化が進んでいます。AIが出力した回答の根拠も分からず、承認や監査の証跡も残らないまま放置されてしまうのです。そのような状態では、AIを業務に組み込むのは危うい。そんな問題意識から、認証の取得に踏み切りました」と語ります。

企業のAI活用の現状について、データサイエンティストは「無料プランの生成AIに機密情報をポンと入れてしまう人もいれば、情報漏えいなどのリスクを恐れて身動きが取れない人もいて、活用度合いは二極化しています」と考察する
認証取得にあたっては、AI活用におけるリスクの洗い出し・対処に加え、日々の開発・提供・運用におけるガバナンス整備を行いました。認証を取得した後も、AIの利用ルールとリスク評価をAIMS基準で統制し、回答の根拠を即座に提示できる体制を整えました。承認と監査のプロセスも標準化し、定期的な内部監査とレビューを続けています。
サポートGAIチャットは、GASSAIが目指す「安心・安全なAI業務活用」を、自社の運用現場で具現化した実装例でもあります。ユニアデックスは、技術の導入だけでなく、運用プロセスやガバナンスまでを含めたマネージドサービスとして、企業の持続的なAI活用を支援していきます。
安心・安全なAIサービスの提供を目指し、さまざまな挑戦を続けるユニアデックス。今よりもさらに多くの人がAIを安全に活用できるようになるなんて、夢が膨らみますね!
マネージドWi-Fi:“つながる環境”を提供する「NaaSfor Wi-Fi」
従来、社内Wi-Fiなどの通信インフラは、ユーザー企業が自分でネットワーク機器を購入し、情報システム部門が設計して、運用や保守を内製あるいは個別に外部調達してきました。
しかし、自社でネットワーク機器を所有する場合、導入コストに加えて定期的なリプレースにかかるコストがかさみます。さらに日々進展する技術革新への対応、不定期に起こる障害対応など、IT部門にかかる業務負荷は計り知れません。
そうした課題へ対応すべくユニアデックスが提案するのが、通信インフラをサービス化した「Naas」(Network as a Service)です。ユニアデックスは2026年4月から「UNIADEXNaaS for Wi-Fi」をプレリリースし、まもなく正式リリースを迎えます。
通信機器の構成はある程度標準化が済んでおり、ユーザー企業の環境や要望に合わせて最適な設定をすぐに提案。運用開始後は接続品質に関するデータをAIも活用して分析し、通信環境の最適化を継続的にサポートします。

NaaS forWi-Fiは、機器選定からネットワーク設計・設定、監視、運用・保守などを一手に任せられるサービス。「簡単導入」「運用お任せ」「常に快適」と三拍子そろっている
担当者はサービスの特徴について「初期投資ゼロの月額定額制で、導入から運用、継続的な改善までを我々が一括して引き受けます」と語ります。NaaSを活用すれば調達や運用管理の手間から解放され、最適化された通信環境を利用できるようになります。

サービス担当者はNaaSの特徴について、お客さまの「Wi-Fiの困り事」をまるごと解決できます。認証エラーやネット接続の遅延などの可視化、通信リトライの有無、ローミングの状態など約150種類の情報を収集し、通信状況をリアルタイムで確認しています」と説明
通信に関する異常を検知するとアラートが発出され、ユニアデックスのエンジニアが問題と原因の切り分けを行い、最適な対処を判断します。お客さまは、煩わしい運用業務や障害対応から解放され、ダッシュボードで日常の利用状況を確認するのみ。運用負荷が大きく軽減されます。
コスト削減、業務負荷軽減などさまざまなメリットがあるNaaS。限られた人員で本業に集中するためにはとても有効なサービスだと言えそうです。

サーバー冷却最前線:空冷から水冷へ――GPUサーバーとデータセンター設備を一体で捉える
AIの普及に伴い、AIサーバーの冷却が大きな課題になっています。そのような中でユニアデックスは、「冷却水を使ったサーバー冷却」を提案しています。展示ではDLC(直接液冷)型のCDU(冷却液分配ユニット)を用いる方式やリアドア型の熱交換方式が紹介されていました。
水冷方式そのものは、実は新しい技術ではありません。商用メインフレームが普及した1960年代には、多くの装置で水冷方式が採用されていました。
1990年代に装置の省力化が進み、空冷方式でも対応できるようになったことから、設備の冷却は水冷から空冷へと変わっていきました。ところが生成AIの普及によってGPU(画像処理装置)サーバーの高密度化が進み、空冷方式では十分な冷却が難しくなったため、再び水冷方式が注目されるようになったのです。

水冷方式の概念図。水冷に対応したデータセンターは、屋外にある冷却設備から送られる冷水とサーバーを循環する冷却液の間で熱交換を行う。サーバー内部のCPUなどにはコールドプレートを密着させ、熱を直接冷却液へと取り込む

担当者は水冷方式の利点について「水は空気よりも熱を運ぶ効率が高い。だから水を使えば、消費電力を抑えつつ、より強く早く冷やせます」と説明
既存のデータセンターは多くが空冷を前提に建てられており、建築業者も空冷式サーバーのノウハウは持っています。一方で水冷は事例が少なく、特に1~2ラック程度の小規模案件を請け負える業者はなかなか見つかりません。
ユニアデックスは空冷空調機や加湿器などに関わる給排水工事で培ったノウハウに加え、これまでデータセンター設計を担ってきた知見を生かし、水冷対応に応用から、必要な設備の検討、設置工事まで支援しています。特に配管設計では、データセンター側の冷却・給排水設備とGPUサーバー設備をつなぐ部分を整理し、有効なレイアウトや施工方法を提案できるのが強みです。

「当社はIT機器の導入から設備工事まで、トータルでお客さまに伴走できるのが強みです。GPUサーバー構築でお悩みの際はぜひご相談ください」と担当者
次世代GPUサーバーの発熱量は現在の2~3倍になるともいわれています。そのような中、建物の構造や床の耐荷重、配管の径といった、極めて物理的な制約が計算資源の上限を決めていることを強調する、とても興味深い展示でした。
ここからは、今回の見どころにポイントを絞ってレポートします!
neoAI/Atolio/Lazarus AI――企業の生成AIに安心と安全を
生成AIの業務利用は各社が取り組みたいテーマである一方、何から入ればよいのか分からないという声も根強くあります。このブースでは、企業の検討段階に合わせた複数のサービスが並べられていました。
すぐにAIを導入したいという企業に向けた「neoAI」。直感的なUIで、クリックするだけでコード生成やメール文面作成といった作業が完了します。1ユーザー単位で利用できるので、まずはAIを手軽に試したいと考える企業にもうってつけです。
また、アナログ資料を高精度にデジタル化し、オンプレミス環境で安全に使える「Lazarus AI」や、ConfluenceやTeams、Slack、Boxといった各種SaaSに分散した情報を横断検索できる「Atolio」など、スモールスタートから本格導入まで幅広くカバー。検討段階にいる担当者にとってはとても参考になる展示でした。

「スタートアップから大企業まで、さまざまな企業の規模や課題に合ったAIを提案しています」と話す若手担当者
複雑化するサイバー脅威に対応する「GASSAISecurity サービス」
サイバーリスクを経営上の重要課題として位置付け、対策の企画から運用、有事対応までを一貫して支援する「GASSAI Security サービス」。エンドポイント対策、脆弱性管理支援からAIセキュリティー、サプライチェーン評価制度の対応支援まで、多様なサービス領域を横断的にカバーします。
初期導入から運用までをワンストップで引き受けることで、システム担当者とセキュリティー担当者の負担を軽減できることも強調されていました。

「GASSAISecurityは、企業のサイバーリスク対策を包括的に支援する統合型セキュリティーサービスです。“どこから手を付けたらいいのか分からない……”というお悩みの解決に、ぜひお役立てください。」と担当者
DEXサービス:不具合を未然に防ぎ、デジタルワークプレースの生産性を引き上げる
DEX(Digital EmployeeExperience)とは、従業員が業務で使用するデジタルツールやシステムなどの操作を通じて得る体験の質のこと。コロナ禍によってリモートワークが急速に普及し、デジタル環境の重要性が高まる中、ユニアデックスはデジタル環境の障害検知から解決までをAIに任せるプラットフォームを活用したサービスを提供しています。
社員のPC内に小さな見回りソフトウエア「コレクタ」を常駐させ、PCの稼働状況やインストールされているソフトウエア、SaaSの利用状況、アクセスしているURLなどを収集します。監視系のツールは「PCが重くなる」と現場に嫌われがちですが、社内試験では「入れたことを忘れるくらい軽い」という結果が出ているそうです。

「常駐ソフトウエアを入れるとPCが重くなるのでは? という質問はよく寄せられます。現場に嫌われては意味がないので、自社のメンバー80人に試してもらいました。結果は問題なし。端末への依存性や相性もありません」と自信を見せる担当者
管理者側の画面では対象端末が一覧表示され、検知した不具合に対して遠隔処理が可能。特定のディスク領域の削除やレジストリーキー値の取得などといったメンテナンスもできます。
なお、このサービスは現在企画段階にあり、今後はデジタルワークプレースに関するサービス群への統合を予定しているとのこと。DXが進んだ企業ならではの悩みにアプローチします。

データレジリエンス強化につながるランサムウエア対策ソリューション
ランサムウエア関連の被害はまだまだ相次いでいます。大手企業では基幹システムだけではなく、バックアップデータまで暗号化され、事業が長期停止に追い込まれる事例も発生しました。
ユニアデックスが提案するストレージバックアップ製品は、改ざん不能なイミュータブル(変更不可能)ストレージと高速リカバリー処理により、バックアップそのものの破壊を防ぎ、事業継続を支えるものです。
ランサムウエアは、感染から数秒から数分という非常に短い時間でデータ暗号化を行います。そのため、バックアップデータは変更不可能な状態で保存し、いざというときにすぐ復旧できるようにしておくことが求められるのです。
今回の展示では、統合型データセキュリティーシステム「Cohesity」や高性能ストレージ「Rubrik」などを紹介。ランサムウエアの攻撃を受けた経験のある来場者からの相談が、絶えず寄せられていました。

昨今のサービスやソリューションには、AIの有効性や脅威を強く意識し、生成AIをどう業務で使うか、生成AIの利用環境をどう支えるかが問われています。ユニアデックスの展示では、AIのさらなる進化が見込まれる中で掲げられたテーマ『想像を超えたAI社会へ』を、地に足の着いた現実的な提案に置き換えて語られていたのが、とても印象的でした。


