【DE&Iレポート】
ライフステージが変わっても女子プロゴルファーたちが活躍できる場をつくるため、「LADY GO」を立ち上げたプロゴルファーの有村 智恵さん。一方、現在では企業でも多様なライフスタイルを支援する環境が整ってきました。有村さんと、KDDI 人事本部 人事戦略部 副部長の秋津 佳さん、ユニアデックス 人的資本マネジメント部 部長の宮森 未来が、それぞれの立場から女性のキャリアと多様な幸せの形について語り合いました。

出産・育児をしながら活躍できる場を増やしたい

― 有村さん、「LADY GO CUP」とはどのような大会で、立ち上げようと思ったきっかけは何だったのでしょうか。

有村 もともとは、女子プロゴルファーについて広く知っていただくために、「LADY GO」というSNSアカウントを作ったことがスタートでした。その後結婚し、子どもが欲しいなと考えたのですが、そのときに「子どもが生まれたら、ゴルフから離れないといけないのでは」と感じたんです。周囲の女子プロ選手たちと話していると、同じ悩みを抱えている人がたくさんいました。

子育て中の選手たちでも出られるよう、1~2日で行える大会ができないかと考え、2022年に
原江里菜プロと一緒に「LADY GO CUP」を立ち上げました。普段なかなかスポットライトが当たらない選手たちを知っていただく機会になっているのと同時に、女子プロゴルファーのセカンドキャリアを支援する場にもなっているのではないかと思います。

画像: プロゴルファー 有村 智恵さん

プロゴルファー 有村 智恵さん

実は、プロの選手が出場できる大会はそう多くはありません。企業の方になぜ大会ができないのかを尋ねてみると、「プロの選手が出てくれるとは思っていない。出てくれるのなら賛同する企業はたくさんあると思う」と言われたんです。大会に出たい選手と、大会を支援したい企業があるのに、声を上げていないからという理由で実現していなかったのだと分かったときに、「これは自分が声を上げて、行動に移すしかない!」と決意が固まりました。

宮森 必要性を感じていても最初に声を上げ、行動へ移すことは簡単ではありません。有村さんと原さんのお二方が行動を起こし、前例のない大会を立ち上げてから3年も継続されていることに強い覚悟を感じました。選手の声を原動力にしながら実現する熱意をモチベーションへと変え、周囲を巻き込み続けている姿勢にとても共感します。

秋津 私もゴルフの経験がありますが、年齢を重ねても続けられるスポーツなので、ライフイベントで中断されてしまうのは非常にもったいないですよね。有村さんたちが第一歩を踏み出した行動力には、とても大きな意義を感じ、選手が持つ課題を克服できる「LADY GO CUP」は素晴らしい取り組みだと思います。

育休を取得すれば、夫婦が一緒に育児のスタートを切れる

― 有村さんは2024年4月に双子のお子さんを出産されて、ゴルファーと育児を両立されています。大変なのはどんなことでしょうか。

有村 もう、大変なことだらけです!(笑) 仕事と育児の両方に100%の力を注ごうと思うと、やるべきことが尽きません。

この1年は子育てに追われて自分の体の変化に気付かず、ケガをしてしまうこともありました。子育てはいかに周囲を頼れるかどうかが大事だと感じています。

ゴルフに関しては、以前のように練習量を確保できない分、「これさえしておけばコツをつかめる」といった、効率的な練習方法が少しずつ分かってきました。この1年は本当に学びが多かったですね。

― ユニアデックスとKDDIは、仕事とライフイベントの両立について、どのような取り組みを展開していますか。

宮森 企業で働きながら育児をする女性も、同じ悩みを抱えていると思います。ユニアデックスでは比較的早い段階から、育児や介護のための休暇制度や在宅勤務などの柔軟な働き方に関する制度を整えてきました。IT業界では、かつて長時間労働が常態化していて、BIPROGYグループでは、まずは全社員の働き方そのものを見直す必要があると考え、制度を整えてきました。

そのため、当社では女性の育休取得率は非常に高い水準で推移しております。その後、女性活躍の取り組みを進める中で、制度を整えただけでは活躍につながっていきませんでした。「働き続けられる環境」は整っていても、女性社員に「管理職を目指してください」と言っても、なかなか気持ちが追い付いてきません。トップが明確に発信して会社全体の意識を変えていくと同時に、女性管理職を育成する研修と、男性管理職向けの意識改革の研修など多角的かつ地道に活動を続けているところです。

こうした取り組みを始めて10年くらいになりますが、ようやく意識が変わってきたのを感じます。最近では育休を取得する男性社員も増えています。

画像: ユニアデックス株式会社 人的資本マネジメント部 部長 宮森 未来

ユニアデックス株式会社 人的資本マネジメント部 部長 宮森 未来

有村 私たち夫婦も、会社員の夫が育休を取るかどうか話し合いました。ただ、私は里帰り出産をして4カ月間実家で過ごしましたし、家庭とは別の環境で過ごす時間も必要だろうという結論から、夫は育休を取得しませんでした。

ただ、最初の1週間だけでも育休を取ってもらえば良かったかなと今は思っています。というのも、出産して4カ月後から夫が育児に携わることになったので、私が夫に育児を教えなければならなかったのです。そこで夫婦に温度差が生まれて少し苦戦しました。

二人とも何も分からない状態から、一緒に育児のスタートを切れたら、同じ意識で育児に向き合えたのではないかと思います。

秋津 KDDIでも、長時間労働対策などの制度を充実させてきましたが、やはり「制度面の整備だけでは女性活躍は進まない」という認識のもと、いくつかの取り組みを進めています。トップが発信し続けることと、定期的にダイバーシティーについて話し合う場を設けて、社内の意識を高めることに注力しています。働き方改革や風土づくりにも取り組んでおり、男女問わずしっかり休み、心身を整えた上で仕事に集中できる環境づくりを進めています

さらに、社内外のイベントにおいて、若手や女性を登壇者に必ず含めるというガイドラインをつくり、誰もが自然と前面にでることができる機会を増やしています。また、役員が女性社員の育成に直接関わるというスポンサーシッププログラムを導入し、視座を高める仕組みを整えました。こうした複合的な取り組みにより、会社の風土そのものを変えていくことを目指しています。

画像: KDDI株式会社 人事本部 人事戦略部 副部長 秋津 佳さん

KDDI株式会社 人事本部 人事戦略部 副部長 秋津 佳さん 

有村 企業が制度をつくるだけではなく、企業文化を変えるために長い時間をかけて取り組まれてきたことがとても印象に残りました。「LADY GO CUP」が開催できたのは、こうした企業が女性活躍推進に大きくシフトしているタイミングだったことも大きかったと思います。10年前だったら実現できていなかったかもしれません。今当たり前になっていることも、最初は誰かが声を上げるところから始まって、少しずつ変わっていったのだなと、お二人のお話を聞いて思いました。

年齢を重ねても素敵な未来の形がある

― キャリアとライフイベントの両立には、どのような悩みや苦労があり、それらをどう乗り越えましたか。

宮森 私は子どもがいないので育児は経験しておりません。一方で、仕事では新しい組織の立ち上げなど数多くの未経験領域に挑戦してきました。

営業職から人事領域に異動になり、女性活躍推進やダイバーシティー推進を担当することになったときは、「ダイバーシティー」という言葉も、お台場のダイバーシティのこと?くらいに思っていました(笑)。当初は知識も経験もゼロに近い状態だったため、経営層や管理職の理解を得ることにとても苦労する日々が続きました。

さまざまな会話の中で、ネガティブな意見の裏には「本当はこうしたい」というポジティブな気持ちがあると気付いてからは、逆風や反対意見を恐れなくなり新しいことでも前向きに取り組めるようになりました。

有村 女子プロゴルファーも、出産して子育てをしている女性もいれば、子どものいない女性もいます。どの選択をしても絶対に迷いや悩みがあると思います。

私が若い頃は、ゴルファーとして結果を出すことが幸せだと考えていました。ただ、年齢を重ねるにつれて出産というライフイベントにも直面し、試合に出ることがすべてではないと考えるようになりました。いろいろな幸せのつかみ方がありますし、それぞれが選んだ道が幸せなのだと思います。

画像: ― キャリアとライフイベントの両立には、どのような悩みや苦労があり、それらをどう乗り越えましたか。

― 今後チャレンジしたいことを教えてください。

有村 私は、宮里藍さんをはじめ多くの先輩たちが女子プロゴルファーの活躍できる道を切り拓いてくださったおかげで、とても充実したプロ生活を送れています。これからは自分たちが先輩方のような働きをしていかなければならないという使命感を持っています。

今、世界で活躍している女性選手も増えています。ここで足を止めてしまうと、そういった選手を広く知ってもらえる機会が減り、結果的にプロゴルファーを目指す人も少なくなってしまうのではと危惧しています。こうしたことから「LADY GO CUP」を通して、年齢を重ねても素敵な未来があることを後輩たちに見せていきたいと思います。

宮森 BIPROGYグループでは、求める人財像として「志追求型人財(ココツイ人財)」をスローガンとして掲げています。私は人事の立場として、この「ココツイ」の連鎖を社内に広げていきたいと考えています。企業が持続的に成長し、社会に価値を提供していくためには、一人一人が志を持ち、その実現に向かって進んでいくことを全力で応援したい。それが今の私自身の志です。

秋津 KDDIで人事に携わる立場として、女性が管理職になることが当たり前の環境をつくっていきたいと思っています。若いころから自分はどう働きたいのか、キャリアを自身で選択できる機会を育み、希望するキャリアの実現に向けて努力、挑戦していく人を後押ししていく体制をつくっていきたいですね。

― 今まさに仕事やプライベートで悩んでいる後輩たちにメッセージをお願いします。

有村 女子プロゴルファーが活動する環境は間違いなく良くなっているので、あまり不安にならず、現役時代はプロゴルファーという道を大切にしてほしい。そしてゴルフを一生懸命に頑張った先にも、多くの出会いやチャンスがあります。自分の選択を信じて、幸せな未来を送ってほしいなと思います。

宮森 育児を経験して復帰した女性社員は、生産性やタイムマネジメントをはじめ、共感力、リーダーシップなどあらゆる能力が高まると感じています。仕事以外に多様な経験をすることで個人の多様性が高まり、組織の多様性も高まっていきます。会社も制度や環境の整備を進めており、以前よりも働き方の選択肢は増えています。ライフイベントをキャリアの中断ではなく成長の機会と捉え、長い視点でキャリアを考えてほしいです。

秋津 仕事とライフイベントの両立に悩むのはとても自然なことだと思います。今は制度や風土が整いつつあり、個人の希望を支えられる環境が広がっています。仕事やプライベートでも自分が大切にしたいものを見つけてほしいです。会社としても、一人一人の挑戦を支える存在でありたいと思います。

画像: ― 今まさに仕事やプライベートで悩んでいる後輩たちにメッセージをお願いします。

●プロフィール●

1987年生まれ、熊本県出身。10歳からゴルフを始め、九州学院中学校3年時に全国中学校ゴルフ選手権で優勝。宮城・東北高等学校時代は東北女子アマ選手権、東北ジュニア選手権、全国高校選手権団体戦などで優勝。2006年のプロテストでトップ合格し、翌年シードを獲得。2008年にツアー初優勝。2013年から海外ツアーに参戦。2016年に日本ツアーへ復帰して2018年に復活優勝を果たす。2021年に結婚、現在は双子の男児の母。2022年に始まった「LADY GO CUP」の発起人。

画像: プロゴルファー 有村 智恵(ありむら ちえ)

プロゴルファー 有村 智恵(ありむら ちえ)

2000年にDDI(現KDDI)に入社し、宣伝部に配属。その後、法人営業部門で営業および営業推進などの業務を経験。2011年に人事部門へ異動し、人事制度企画・新卒採用を担当した後、2018年には採用グループリーダーを務める。2020年に金融系子会社のauフィナンシャルホールディングスへ出向し、総務人事部長として会社立ち上げ期の人事基盤整備に取り組む。2023年にKDDIの人事部門に帰任し、人財開発部 副部長を経て、2025年より現職。プライベートでは夫婦共働き、小学生の女の子二人の家庭を持つ。 

画像: KDDI株式会社 人事本部 人事戦略部 副部長 秋津 佳(あきつ けい)

KDDI株式会社 人事本部 人事戦略部 副部長
秋津 佳(あきつ けい)

2006年に日本ユニシス(現BIPROGY)に入社。金融業の顧客担当およびクラウドサービスの新規セールスを経て、2016年に人財・組織開発の専任組織へ異動、コーポレートスタッフへキャリアチェンジする。人財・組織開発部門ではDE&I、キャリア開発プログラム、各種研修、サクセッションプランニング(後継者育成教育)、グループ人財戦略などを推進しながら、CEOアシスタントを兼務。2025年にグループ会社のユニアデックスに異動し、現職。大型バイクの免許を持ち、東京と山梨の二拠点生活を送る。

画像: ユニアデックス株式会社 人的資本マネジメント部 部長 宮森 未来(みやもり みらい)

ユニアデックス株式会社 人的資本マネジメント部
部長 宮森 未来(みやもり みらい)

【LADY GOとは】

女性が輝く社会を応援するため、女子プロゴルフミドルトーナメント、"LADY GO CUP"の主催および運営を行っています。「女性の活躍を後押しできるような象徴となる大会にしていきたい」「女子ゴルファーの魅力を広くファンの皆さまへ届けたい」という想いからスタートしました。経験豊富なプレーヤー自らが企画し、30代以上の選手たちに呼び掛け、若手プロへの道標と成り得る大会を目指しています。
●公式HP Lady Go - 女子ゴルファーの魅力をファンの皆様へ
●公式Instagram ladygo.golf
●公式YouTubeチャンネル 【公式】lady go golf

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