こんにちは、ユニアデックスの片澤です。
本日は、皆さまにご報告をしなければなりません。。。
私が米国から発信してきました「シリコンバレー便り」、今回が最終回となります。というのも、米国駐在が5年間となり、ビザ期間満了に伴い終了を迎えることになりました。滞在ビザには複数の種類がありますが、私が受理されていたのが「Lビザ」俗にいう駐在員ビザになります。これは5年で期限が切られており、基本延長ができません。そのため、泣く泣く米国、シリコンバレーから離れることになりました。
まずは、私が経験した『米国の驚きとインパクト ベスト10』をお届けしてから本題に入っていきたいと思います。
1.合衆国、United State
州ごとに制度やルールが全然違う。そして、東と西でも国が違う?
2.時間は遅れる。。。
人も打ち合わせに遅れる。飛行機は大体遅れる。荷物も遅れるし、最終的には無くなる!
3.国土が広いということは。。。
小さいことに気にしない。なんでも試せる。桁が違い過ぎる。
4.返品大国
一度使ったものでも簡単に返品可能。そのためのシステムが出来上がっている!
5.(改めて)単位が全部違う
日本と比べると長さ、重さ、スピード、温度、全部違う!覚えるのが大変、重さは諦めた。。。
6.合理化が発達しすぎている
サマータイム、メリハリ社会、自分の仕事とそれ以外でしっかり分ける。
7.弱者にやさしい?
ドネーションション文化、子供の障害などにはとても寛容。
8.みんなスポーツ大好き
4大メジャースポーツ&サッカーの話で盛り上がる。公園で運動して遊んでいる。ピックルボール知ってます?
※ピックルボール:バドミントンと同じ広さのコートを使い、板状のパドルで穴あきボールを打ち合うスポーツ
9.みんな甘いものが大好き
レストランで必ずデザートを食べるか聞かれるし、スーパーのアイスコーナーがデカい!アイスもデカい!!
10.気候変動を意識する事案が多い
山火事、干ばつ、豪雨これらに起因する社会問題も多発している。
多すぎました。これを個々に説明すると本題にたどり着きませんので、詳しく話したい方はご連絡ください(笑)
過去5年間と今後5年間のテクノロジーの進化
さて、最終回もテクノロジーの情報はしっかりとお届けしてフィナーレを迎えたいと思います。最後は、私が赴任してからの5年間でどのようなテクノロジーが進化したのか。今後5年間でどのようなテクノロジーが進化の中心に位置するのか。いくつかピックアップします。
では、まず過去5年間・・・
人工知能(AI)および機械学習(ML)
クラウドコンピューティング
Internet of Things(IoT)
サイバーセキュリティー
デジタルトランスフォーメーション
コラボレーションツール※詳しい解説は以下のリンクからどうぞ
https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/portal/16777300/rc/2023/02/14/fc912c6c5581f13d63cd6bfc4cf9754da59092f6.jpg
今後5年間では・・・
人工知能(AI)および機械学習(ML)
エッジコンピューティング
拡張現実(XR)
量子コンピューティング
5Gネットワーク
オートメーションとロボティクス※詳しい解説は以下のリンクからどうぞ
https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/portal/16777300/rc/2023/02/14/f9cc6256ff51e22435a455356085b4dde8a6df8d.jpg
といかがでしょうか。この振り返りと未来予想。
過去5年間は振り返ってみれば、なるほど!と納得感がある結果かと思います。コラボレーションやDXなどは、まさにパンデミックが後押しした部分ですね。また、双方ともにAIと機械学習が入っていますが、今後はこれまでよりもより深い意思決定のプロセスでの活用が期待されます。5Gは、5Gインフラというわけではなく、5Gを利用したユースケースがやっと出てくるという期待も込められていますね。
恐るべし「ChatGPT」
ご紹介させていただきました内容は、今、話題の対話型AIに聞いてみました。(英語で確認したものを和訳しています。)
そう、OpenAIの「ChatGPT」です。
振り返りの部分はすでに起こっていることですが、未来予想は、あながち間違ってはいない情報を返してきています。また、この文章の最後には、
「これらは、今後5年間に米国のエンタープライズ市場で進化すると思われる多くの技術分野のほんの一例に過ぎません。これらの新しいテクノロジーを効果的に活用することができる企業は、急速に変化するビジネス環境において大きな優位性を持つことができるでしょう。」
という補足文章も加えられていました。
すでにメディアでも多数紹介されていますが、恐るべし「ChatGPT」という感じですね。
今一度、OpenAIとChatGPTに関して整理をしてみます。
- OpenAIは、AI研究とAIを提供している米国サンフランシスコの企業。元Y Combinator CEOのSam Altman氏がCEOを務め、創業メンバーには、Elon Musk氏、PayPal の共同創業者 Peter Thiel氏、Linkedinの共同創業者 Reid Hoffman氏らが連なっている。
- OpenAIが提供しているサービスは、大規模言語モデルの『GPT-3、3.5』、汎用プログラミングモデルの『Codex』、自然言語処理と画像生成モデルの『DALL-E、DALL-E2』。
- さらにチャットのような対話型言語モデルの『ChatGPT』が、2022年11月に発表になり、たったの5日間で利用登録者数が100万人を達成したことでも話題。
こちらも試してみました。先月号のNextalkの記事の翻訳と要約をしてみると、出力まで数十秒で完成!
そして、こちらでは、質問をしてみました。
このように、「ChatGPT」は、情報提供、情報ナビゲーション、情報サジェストを実施してくれます。非常に便利であり、大幅な生産性向上が望めそうです。
また、「OpenAI」は、API提供が可能なモデルであるため、大規模言語モデルのGPT-3やDALL-Eなどを自社システムやサービスに組み込むことも可能になり、API連携や新しくサービス開始した「ChatGPT Plusサービス(20ドル/月)」などで収益獲得を狙っています。
なお、Microsoft社がいち早くパートナーシップを実施し、「Azure OpenAI Service」としてサービスリリース済みです。2023年1月には新たに100憶ドルの資金提供も発表しました。
さらに、最新情報(2023年2月8日)として、MicrosoftBingへのサービス提供を発表。検索バーに対話型の質問を実施すると、従来の検索結果に合わせて、上記で説明したような対話型の回答を実施してもらえるようです(2023年2月8日現在は、登録制でWaitlist待ちになります)。
詳細は、こちらの映像でご確認いただけます。
いかがでしょうか。1つの画面での情報量が格段に増えていきそうな予感がします。そして、Bingの次はOfficeとの連携も視野に入っているようなので、エンタープライズ市場ではますますMicrosoft社縛りができてしまうかもしれません。
このテクノロジーに関して、一番影響あるのは、Googleです。Webブラウザー、Web検索でトップシェアを持っていますが、社内では「ChatGPT」がもたらす脅威に対応するべく『Code Red』として対策を余儀なくされたようです。
こちらも最新情報(2023年2月6日)として、大規模対話型AIのLaMDAをベースとした対話型AIサービス『Bard』のライトバージョンをリリースしました。一般で利用することはまだできないようですが、こちらもGoogleの検索バーに質問を入力することで、対話型の回答を受け取れるようになるようです。
対話型AIのリスク
さて、ここまで、便利になるよー。というメリット中心でお話させていただきましたが、最後にリスクのお話も付け加えさせていただきます。
「ChatGPT」などで便利になるものの、正解があらかじめわかっているもの(文章の要約や翻訳など)であれば問題ないと思いますが、正解がないものや予想できないものを確認した場合、出力された情報をどこまで信じていいのか。情報は正確なのか。そこにリスクはないのか。などを考える必要が利用者側には求められそうです。
例えば、 Microsoft BingとGoogle Bardを併用して双方で確認する。出てきた回答の裏付け情報を自身で収集するなど、信ぴょう性を上げる作業はある程度必要になっていきそうです。
また、こういったAIをシステムに提供する方も同じ観点を持つ必要があります。AIリスクを判別したり、監視モニタリング、AIのファイアウオールなどをケアし、信ぴょう性の高いデータを提供する。これが欠落してしまうと社会的信用や訴訟問題にも発展しますね。
実施しているスタートアップ企業があります。
LatticeFlow <本社 スイス>シリーズAで14.8Mドルの資金調達実績
企業やサービスが堅牢な AI モデルを提供するためのプラットフォームを提供。堅牢にするためのアプローチとして、AIのデータとモデルエラーを自動的に検出、修正を実施することができる。医療、モビリティー、保険など幅広い業界に提供している。2020年に世界的にも著名なAI研究者によって設立された。
Robust Intelligence
<本社 カリフォルニア州サンフランシスコ>シリーズBで44Mドルの資金調達実績
AIリスクを取り除くためのプラットフォームを提供。AIモデルの問題点を検出、性能劣化やエラーの可能性を検知し保護、不正挙動がないかの検証を実施することができる。AIモデルの信頼性維持と向上を実現する。日本でもすでにサービス提供しており、共同創業者は、大柴 行人氏。
AIを安全に利用、信頼していくことは、セキュリティーを利用していくことと非常に似た感覚があり、今後、企業にとって必要となる技術と観点になるでしょう。
さて、最終回はいかがでしたでしょうか。先月参加した「CES2023」でも、一般消費者、一般オフィスワーカーにとってAIがかなり身近に、民主化されてきたと感じましたが、「ChatGPT」や「DALL-E」をはじめとしたGenerative(生成) AIがその先端にいることは間違いないと強く感じています。
いかがでしょうか、「DALL-E」ではこの絵がたった数十秒で作成できてしまうのです。
連載最後に最新AIについて、ご紹介できたことを大変うれしく思い、新たな変革の年、時代の節目として2023年が刻まれるのではないかとも思っています。これら技術の可能性に思いを馳せながら、締めくくりとさせていただきます。
次は、また、違う形で皆さまにお会いさせていただきたいと思います。
全36回、3年間の連載にお付き合いいただきまして、本当にありがとうございました。