ユニアデックスの片澤です。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて新年最初は、1月5日から8日に開催された「CES 2023」 の参加レポートをお届けしていきたいと思います。CES (Consumer Electronics Show)は、全米最大級のテックイベントで、B2C製品からB2B製品までと幅広いテクノロジーを一挙に感じることができるイベントです。
まず、昨年のCESは簡単に説明すると・・・
- オミクロンの影響で、出展企業のキャンセルが相次ぐ
- 従来の自動車メーカー以外のサプライヤーや別業種からの参入が発表される
- サステナビリティー(Sustainability)がバズワードとして君臨
- 韓国企業が席巻
といった印象でした。(昨年CESレポート)
今年は・・・
- COVID-19の影響がほぼなし。パンデミック前に戻る
- Automotiveは、コネクテッドとエクスペリエンスの追求が本格化
- サステナビリティーの考え方が、当たり前に
- デジタルヘルスは、新しいセンサーの進化が止まらない
- スマートホームは、Matter規格で統一が開始
- メタバースとデバイスが、拡大
では、1つずつ紹介していきます。
COVID-19の影響がほぼなく、パンデミック前に戻る
従来、来場者数が10万人を超えるテックイベントとして有名なCESですが、パンデミック前の2020年は、17万人が参加、2021年はオンラインに切り替えて実施していました。2022年もオミクロンの影響があり、開催はしたものの、4万5千人と少し寂しいCESでした。そして、2023年の来場者数は、11万5000人とかなり戻ってきましたが、一部の中国企業は、COVID-19や政治的な問題があるため、来場していないという影響があります。
出展者数も昨年より1,000社も増え、3,200社以上の参加でした。
CES裏技の一つにホテル代を安くする方法として、直前にホテルを予約しなおすという手段があります。例年ですと直前で価格が下がる傾向があり、日本からもかなり多くの方が来場していました。そして、西村経済産業大臣も訪問されていました。
では、レポートしていきましょう。
Automotiveは、コネクテッドとエクスペリエンスの追求が本格化
CESのメイン展示の一つが、Automotiveです。今年私が印象を強く受けたのは、EVの先にあるコネクティッドとそこから生み出されるエクスペリエンスの追求が始まったということです。
Automotiveとして、EVや自動運転がメインと思われがちでメリットも認識しやすいからです。今回は、BMWやフォルクスワーゲンがクルマの外装を自分用にカスタマイズできる技術を実装していたり、ロボタクシーなどでハンドルのない車両なども数多く展示されていました。
これからの自動車として、自動車以上の価値を提供するということで、ユーザーに対してのエクスペリエンスのアピールと実用化が始まろうとしています。順に紹介したていきます。
AutomotiveのエリアでAmazonやMicrosoft、GoogleもWaymo(Alphabet傘下の自動運転車開発企業)のサービスを展示するなど、ビックテック企業の領域進出が本格化していきます。特にAmazonやMicrosoftは、プラットフォーム戦略でユーザーへのサービスを提供する企業と連携を濃くし、エコシステムで業界に入ってきています。
ここまで「クルマ』にフォーカスするのは、車の利用に関しての概念が日本と違うということが挙げられます。米国では、車の利用が1日で平均1時間ほどあります。そのため、車の中での時間の利用にメーカーもユーザーも投資をします。エクスペリエンスとして趣味、遊び、仕事、学習などユーザーはそれぞれを選択します。このニーズに合わせて、メーカーサイドがハードウエアからソフトウエア、サービスを提供する構図であり、ただ乗るだけの「クルマ』以上の存在に向かっていると思います。
サステナビリティーの考え方が当たり前に
昨年のCESのキーワードの1つがサステナビリティーでした。会場の至る所でSustainabilityの文字を確認することができましたが、今年も引き続き、SamsungやLGのエレクトロニクスメーカーなどは相変わらず大きく取り上げていました。また、各社のメディア向け発表でもサステナビリティを意識をした内容になっています。これは、気候変動へのアプローチやサステナビリティの浸透により、『当たり前のこと』という認識になり、特別なマーケット用語ではなくなっています。
そして、サステナビリティー関連の新技術などは、どんどん出てきていますし、今回のCES Best InnovationAwardを受賞したACWA Roboticsは、配水を止めることなく水道管に入り、パイプの位置確認や水量状態の監視、などを把握することができるデジタルツインロボットを提供しています。今回CTA(CES主催団体)のオープニングセッションでも水に関して多く語られていたこともあり、Clean Water Techは、サステナビリティー領域でもメインターゲットの一つですね。
La team #ACWARobotics toujours en live du #CES2023 pour présenter notre robot ��
— ACWA Robotics (@AcwaRobotics) January 6, 2023
The #ACWARobotics team still live from #CES2023 to present our robot ��
Stand 606 11-18
Pavillon France - Région Sud
Eureka Park pic.twitter.com/z95fU82kWF
デジタルヘルスは新しいセンサーの進化が止まらない
Automotiveに続いてメイン展示の一つがDigitalHealth領域です。
Innovation Awardの受賞製品数でもわかる通り、ここ数年、1位に君臨してるのがデジタルヘルス領域です。センサーやデバイスで情報を取得し、データの分析、改善につなげていくというサイクルは、わかりやすく、構図としては出来上がっています。分析精度と信頼性向上(FDAの承認など)は、まだまだ狭き門ですが、確実に進化はしていると感じます。
特に今年は、トイレセンサーが目を引きました。
スマートホームは、Matter規格で統一が開始
昨年のCESでSamsungが大きくメディア発表した、スマートホーム&IoT規格Matter。2022年の10月にMatter1.0規格が発表されましたが、CESのスマートホーム領域では、Matter対応の製品が続々登場。実用化&コモディディーが始まります。
今までのスマートホームやIoTデバイスは、専用OS同士やAmazon AlexaやGoogle Homeなど規格外同士の接続をすることができませんでしたが、Matter規格に則っていれば、プラットフォームやメーカーが異なっていても相互接続が可能となります。Matter規格には、Amazon、Apple、Googleをはじめ200以上の企業が参加しています。
メタバースとデバイスが拡大
昨年から取り扱われるようになったメタバース領域ですが、今年も各社からさまざまなデバイスのプロトタイプが発表されており、まだまだ群雄割拠という印象。また、没入型は、VRヘッドセットだけではなく、空間や映像ディスプレーでも提供されるようになるという見せ方もしていました。
デバイスは、手段であり実現したいことは、リアルからバーチャル、バーチャルからリアルと2つの新しい体験です。イベント内では、新しいコンセプトからすでに実現されているものまで数多く展示がされていました。メタバースは、こういったバーチャルとリアルの融合した社会として定義され始めています。
さて、今年のCESのトピックスはいかがでしたでしょうか。昨年よりもボリュームが多すぎですべてを伝えきれないのですが、あと追加するとしたら、一つがAI技術、製品の民主化です。
今回ご紹介した内容もそうですが、AIが製品に組み込まれ、実際にそれをユーザーとして利用することがますます身近になるという期待感が持てました。そして、もう一つが、各社のコンセプトが確実に1年で進化し、実装され、プロダクトとして販売するものが特にAutomotive分野で目に見えてわかるようになっています。スピード感を改めて感じる結果となりました。
毎回感じますが、世界のテクノロジーの進化と変化に、どのように対応していくのか、追随していくのかを、日本企業として考えさせられるイベントがCESですね。
最後に、日本企業の中で初参加されていたKOSEのMixedReality Makeupの体験画像でお別れしたいと思います。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。