ユニアデックスには、資本参加している東南アジアと中国に7つの海外関連会社があります。2017年10月5日号では、ネットマークス(タイ)のウィセ社長にご登場いただきました。今回は、10月に開催されたセミナーのために来日されたネットマークス(ベトナム)の ミー社長に、お話を聞くことができました。
ネットマークス(ベトナム)についてご紹介ください
ネットマークス(ベトナム)社は、10年前の2007年3月に設立しました。スタッフは36名、そのうち3名は日本語対応できます。事業内容は、日系企業がベトナムで事業展開をはじめるときのIT周りのお手伝いをしています。ネットワーク/システムインテグレーションをはじめ、最近では、店舗の監視カメラの管理やドアの入退出管理のビジネスが盛んです。現在、日系企業(製造業中心)70社のアクティブ・ユーザーがいます。
設立から10年間、スタートアップカンパニーとしては、売上含めてビジネスは順調でした。しかし、3年前からこれからの10年のビジネス展開について考え続けています。まだまだリソース要員が不足しいて、トライ&エラーが出来ない状況ではあるが、ターニングポイントを迎えたので、次の10年の成長に期待していただきたい。
ベトナムのIT事情をおしえてください
残念ながらベトナムのIT事情は、日本に比べまだまだ遅れています。インターネットのインフラが脆弱なためクラウド環境の利用率は低く、オンプレ環境のニーズが高い現状があります。その一方、仮想化への関心度は年々増加しており、データセンターのクラウドサービスも出始めています。
その背景として、インターネット回線の帯域やスピードは問題ないが、回線の安定性は欠けていて、一旦回線が切れると復旧までに相当な時間がかかってしまいます。国際回線でさえ、年に1~2回ケーブルが切れてしまうことがあります。そうなると2~3週間インターネットにアクセスできない状況が続いてしまうのです。インターネットサービスプロバイダ(ISP)に問い合わせしても、問題認識まで非常に時間がかかるので、復旧が遅れるというのが実情です。
ITトレンドについてお聞かせください
近年ベトナムでは「4.0 ITレボリューション」という活動が政府始動で進んでいます。海外投資会社と国内の大企業から支援をうけて、製造業のオートメーション化が始まりました。「ベトナムICTサミット2017」では、ベトナムの副首相Vu Duc Dam氏が「ベトナム政府は経済発展のために高いスキルを持った労働力がキーポイントだと認識している」と発表し、ロボット活用、IT自動化、IoTが取り組みのキーワードになっています。
また、ITトレンドは3つあります。ひとつめは「モバイル」。ベトナムの国民は9,000万人いますが、6.000万人がモバイルユーザーです。価格の安い中国製のスマホが主流で、一人で2~3台持つことは当たり前。アプリケーションがどんどん登場していて、スマホサービスは充実しつつあります。2つめは「オンラインショッピング」。3つめは「スマホで動画視聴」。
ベトナムの日系企業の課題は
最大の課題は「情報漏えい」です。近年、日本の多くの製造業はベトナムの労働力を活用するため、日本本社から設計センターをベトナムに移転したことにより、ベトナム国内で機密情報を取り扱う機会が増加しています。その上、オンラインでのコンテンツ通信は容易になり、フラッシュメモリはいたるところで見られるようになってきています。しかし、 ベトナムの情報セキュリティーレベルはまだ低く、ITリテラシー ≠ セキュリティーレベルの状況が否めません。さらに、ひとたびセキュリティー問題が発生したとき、対応の手順が確立されていないため被害が拡大してしまうのです。
そのため、サーバーやネットワークというレイヤーごとにセキュリティー対策を施すことが必須であり、早急な対応が求められます。
IT以外のトレンドは?
BKAV社製の「B Phone」というベトナム初のスマートホンブランドがあります。2015年に発売開始しました。設計とマーケティングはまぁ良かったのですが、「品質がいまいち」「使用中に発熱しやすい」「OSはスムーズに動かない」。結論として、成功といえない結果でした(笑)。めげずに2017年再度、「B Phone2」を発売し、注目されています。
次に、Vingroup 製の「VinFast」という自動車です。Vingroup はベトナムで一番大きな不動産のグループで、ベトナム自国生産車の夢を持ち製造しています。初期投資は、10億(USD)。ベトナム人は自国で製造された 適正な価格の車の発売を期待しています。
最後にメッセージを
ネットマークス(ベトナム)の最新ソリューションは「SD-WAN」です。ユニアデックスと連携して、ユーザーに提案していければと思います。
日本は公共交通が充実していて、オンタイムで運行するし、駅の案内や路線図などがとても分かりやすい。しかも、打ち合わせも時間通りに始まります!日本人は、少し働きすぎと思いますが、便利でうらやましいですね。
私は、日本とベトナムの間の架け橋になり、ITだけでなく文化についても共同体と成るように従事していきたいと思っています。そのためにも、これからも日本の考え方を勉強します。