ユニアデックスには、資本参加している7つの海外関連会社があります。
「ネットマークス」という社名を冠する、上海、フィリピン、インドネシア、タイ、シンガポール、マレーシア、ベトナムの7社です。
日本から東南アジアに進出する企業に対してユニアデックスが支援する際には、これら7社と連携したり、ご紹介させていただいております。
9月、「ネットマークス (タイ)」社から社長のウィセ・ウォラスチャーさんが来日しましたので、ちょっとお話を聞きました。
ネットマークス(タイ)の沿革や事業内容をご紹介ください
ネットマークス(タイ)社は、1999年に設立しました。発足時は私を含めて2人でした(現在は110人)。この1999年という年は実に特徴的な年でして、バーツ暴落に始まったアジア通貨危機の真っ只中にありました。1$=25バーツが50バーツにもなっていました。当然、タイ企業には大打撃。このとき70年代からタイに進出していた日本企業、特に自動車メーカーがタイ国内のパートナー企業を救済するために買収に動きました。弱い内需に対処するために行われた輸出奨励策なども効果を発揮し、1999年を境に、タイの自動車部品産業が予想外のスピードで回復していったのです。
当時のネットマークスはこの波に乗ってアジアに進出し、日系の自動車メーカーに入り込む形で、光ファイバーを用いた構内LAN構築を中心に事業を始めました。
Windowsサーバーの販売、ファイルシェアリング、スイッチハブの販売なども手がけていました。Cisco Systemsがちょうど海外拡大戦略を強化していた頃でもあり、この波に乗ることもできたんです。
業態に変化は?
発足当初と基本的に仕事内容は大きく変わっていません。が、ネットワーク監視業務、仮想化、クラウドなどの取り込みは避けられず、注力していているところです。直近だとリモート監視、仮想サーバーレンタル、IPカメラソリューション、データセンター設計施工、さらにアプリケーション開発を手がけるまでになっています。
タイのICTインフラについて教えて下さい。回線が遅い、すぐに落ちるという風評がありますが、実際のところはどうなんですか?
ざっと2Mbpsの専用線で約5万円/月、一般家庭だと下り10MbpsのADSLが3,000円~4,000円/月というところです。また、AWS、Azureのようなパブリッククラウドプロバイダーだと、一番近いデータセンターでもシンガポールですので、通信遅延はどうしても生じてしまいます。日本から来た方だと、あれ?遅いわりには少し料金が高めかなーとストレスを感じることがあるでしょうね。
タイの通信事業は国家への貢献度の高さが優先し、いまだに国営なんです。日本のNTTが民営化されて、競争の結果安くて早い良質な回線が成長してきた事情とは残念ながら違います。とはいえ、ゆっくりと民営化の方向には行っています。
例えば帯域のバランスをコントロールしつつ民間企業数社に回線ビジネスを扱わせるような取り組みにも着手しはじめています。完全に民営化して、国にもたらす恩恵がどれほどのものになるか?まだ模索中ではありますけどね。
何かのTV番組で、電柱にたくさんの電線がつながれ、支柱が傾いて危険な状態になっている光景を見たことがあります。
良いイメージは持たれなかったでしょうね。当然当局も動いてまして、ケーブルを地下に埋める工事が少しずつ進行しています。観光客の多いシーロム通りとか、プーケットの一部はすでに完了してすっきりしています。大分改善してきていますよ。
ネットマークス(タイ)は2年後に20周年を迎えますね。
そうなんです。10周年の時にお客さまをお招きしたレセプションの席で、事業規模の成長を誇らしく説明させていただいたことがあるんですが、20周年のときも、ぜひ、“進化と呼べる成果”をお話したいですね。国をあげた通信基盤の整備の後に、タイも徐々に本格的なクラウドの時代に入りつつありますが、この時代に備えるためにも、まずは企業にはパブリッククラウドに慣れてもらいたいと思っています。“クラウドの運用はこうやるんですよ”といった具合に。そのためにもクラウドのリセール事業に着手したいです。構内環境構築を中心に培ってきたネットワーク技術や運用スキルが生かされると思います。
それと並行して、会社としては“ユニークさ”というものを身につけていきたいですね。ひとつの候補はロボットに関連する事業です。残念ながら具体策はまだご披露できません。
ふたつめはエネルギー関連事業です。例えばIPソリューションなど、これまで培ってきたスキルを利用して、消費電力の見える化(監視)に貢献するなどを考えています。エネルギー分野に関われるとビジネスチャンスがずっと続きます。当社の売上の6割は現地の日系企業との取り引きによるもので、残りが現地のネーティブ企業との取り引きなんですが、こちらを拡大していかないと当社は伸びていかないです。というより、国そのものが伸びません。