神奈川県の海老名駅から車で約5分。のどかな住宅街に、趣のある建物が現れます。1857(安政4)年に創業された「泉橋酒造」の酒蔵です。NexTalk編集部のミキティーを迎えてくださったのは、6代目の橋場友一社長。「酒造りは米作りから」を信念に、全国でも珍しい酒米作りに取り組んでいる酒蔵です。なんと、橋場社長自ら、自社農地と酒蔵を案内してくださいました。

ここですね! 白壁に家紋、酒蔵の象徴でもある杉玉、手入れの行き届いた庭園。日本らしい風情を感じます。この敷地内に、酒蔵とオフィス、酒蔵SHOP「酒友館」があるということですよ。

画像1: いい酒は米が違う!? 米作りから手掛ける泉橋酒造を突撃取材!(2018年8月7日号)

これこれ! 酒蔵の軒下でよく見られる杉玉ですね。酒蔵の道具には杉が使われることが多く、「酒造りは山と一体である」ことを象徴する意味があるそうですよ。また、新酒ができたときに飾られることも多いそうです。

画像: 泉橋酒造の橋場 友一社長

泉橋酒造の橋場 友一社長

泉橋酒造6代目、橋場社長が出迎えてくださいました。よろしくお願いいたします!! 早速、酒米を栽培している田んぼにご案内いただけるということです。

わー、まさに、酒蔵の横に田んぼがあるのですね!! 泉橋酒造の酒米作りは、この0.5ヘクタールの自社田んぼから始まったそうです。1996年に初めて開催した田植えイベントも、ここで行ったそうですよ。

画像: 取材の前に田植えは終わっていました。

取材の前に田植えは終わっていました。

橋場社長のお父さまは、当初「お金を払ってまで田植えがしたい人なんて、いるわけがない」とおっしゃっていたそうですが、結果的に約70名もの申し込みがありました。「父は、思いがけない反響に驚きながらも、イベントを手伝ってくれました」と橋場社長。田植えイベントの23回目となる2018年6月には、酒販店や飲食店の方々を中心に、約250名が集まったそうです。

画像: 「恵」青ラベル 純米吟醸ですよー。

「恵」青ラベル 純米吟醸ですよー。

うわー、まぶしい!!きれいにそろった稲のグリーンが輝いています。こちらは、酒米の代表とも言われる「山田錦」の苗ですね。橋場社長によると、神奈川県の山田錦の多くが海老名市内で栽培されているそうです。

稲の間にあるのは、1999年に初めて地元の山田錦を使って作られた大吟醸「恵」。とんぼ、相模の国分寺などがあしらわれたラベルは当時のままです。澄んだお水と輝くお米で作られた純米酒、そりゃあ、おいしいわけです

画像: 地道な作業が、美味しいお酒につながります。

地道な作業が、美味しいお酒につながります。

作業していらっしゃるのは、社員さんですね。泉橋酒造の酒米作りは、低農薬。この田んぼでは除草剤を使わないので、雑草が生えないように、除草機で土をかき混ぜているそうですよ!かなりの重労働に見えます。「除草機もお掃除ロボットみたいに自動化すればいいのに」と思ってしまう私

現在、泉橋酒造では、外部組織との協働で、田んぼ観察にドローンを活用する実験を進めているそうです。1カ所にいながらにして、広大な田んぼの様子が把握できればラクですし、データ化できればノウハウの伝承もできそうです。最先端技術をどんどん活用して、就農のハードルが下がるといいですね。

では、いよいよ田んぼを後にして、酒造りの現場を見学させていただきます!!

画像: 精米後に出る、「赤ぬか」は肥料や除草剤の代わりに田んぼにまきます。「白ぬか」は焼酎やぬか床になります。捨てる部分はありません。

精米後に出る、「赤ぬか」は肥料や除草剤の代わりに田んぼにまきます。「白ぬか」は焼酎やぬか床になります。捨てる部分はありません。

こちらは、精米所ですね。私は、お米屋さんの小さな精米機しか見たことがなかったので、見上げるほどの大きな精米機にびっくり!! 思わず「1度に何合のお米が精米できるのでしょうか??」と質問して、橋場社長に笑われましたよ……。単位が違うのですね。20俵ですって。

橋場社長によれば、精米は、米作りと酒造りを結ぶ大事な工程だそうです。精米前後の状態を確認することで、酒米の良しあしが分かるのですって!

画像2: いい酒は米が違う!? 米作りから手掛ける泉橋酒造を突撃取材!(2018年8月7日号)

次は、いよいよ酒蔵の中へお邪魔しまーす。

画像3: いい酒は米が違う!? 米作りから手掛ける泉橋酒造を突撃取材!(2018年8月7日号)

中はどんな様子なのでしょうか? ワクワク!

画像4: いい酒は米が違う!? 米作りから手掛ける泉橋酒造を突撃取材!(2018年8月7日号)

入ってすぐにお釜がありました! 種籾(たねもみ)を温湯(おんとう)消毒するための和釜です。お湯で消毒することによって、農薬の使用を低減できるそうです。

画像5: いい酒は米が違う!? 米作りから手掛ける泉橋酒造を突撃取材!(2018年8月7日号)

こちらは麹室。泉橋酒造では、蓋麹(ふたこうじ)を使う伝統的な手法で製麹(せいきく)しているそうです。人間の手でかき混ぜるそうですから、手間がかかりますね。ちなみに、蓋麹には殺菌効果がある杉の木が使われているそうですよ。

泉橋酒造では、今はほとんど行われなくなってしまった製法、生酛(きもと)造りにこだわっているとか。自然界の乳酸菌を活用した昔ながらの造り方で、幅のある味わいの日本酒が出来上がるそうです!

画像: 発酵タンクは、ヒトが中に入って掃除するため、体力勝負です。ヒトがやることと機械がやることを分けています。黒いマットはクーリングロールといい、中に冷却水を流しタンクの温度調整をします。ここでは、年間、一升瓶にして約10万本のお酒を造ります。

発酵タンクは、ヒトが中に入って掃除するため、体力勝負です。ヒトがやることと機械がやることを分けています。黒いマットはクーリングロールといい、中に冷却水を流しタンクの温度調整をします。ここでは、年間、一升瓶にして約10万本のお酒を造ります。

こちらの部屋は?? 酵母培養の部屋です。温度管理がされていて、ひんやり寒~い!! でも、部屋全体がお酒のいい香りがして、軽く酔ってしまいそうなよい気分です(笑)。

ヤゴのラベルが書いてあるのは、発酵タンクですって。この時期、たっぷりの梅やイチゴが入ったタンクもあり、純米酒仕込みのリキュールが出来上がるそうです。

画像: 見上げるほど大きいです。

見上げるほど大きいです。

ここは、上槽室。発酵タンクから最適なタイミングで酒袋に移したものを搾って、酒と酒粕に分ける「槽(ふな)絞り」という作業が行われます。こちらの写真は、50年前から使われていた搾り機だそうです。本当に船の形に見えます。重厚なたたずまいが、かっこいいですね。自動圧縮機を使う酒蔵が多い中、今でもこの槽を使っています。

画像6: いい酒は米が違う!? 米作りから手掛ける泉橋酒造を突撃取材!(2018年8月7日号)

こちらが完成したお酒。左から、「夏ヤゴ ブルー」「とんぼラベル 無濾過生原酒」「とんぼラベル 純米大吟醸」。個人的に、ヤゴのイラストがかわいくて萌えます★

ヤゴは、田んぼの中で約13回脱皮を繰り返して、とんぼに羽化するそうです。夏のヤゴが健康的に育つ環境は、酒米の栽培環境としても理想的。とんぼもヤゴも、低農薬で良質な環境で育った酒米を象徴しているのですね。

これらのお酒はすべて、敷地内の酒蔵SHOP「酒友館」で購入することができますよー! もちろん私もおみやげに買っちゃいました。

画像7: いい酒は米が違う!? 米作りから手掛ける泉橋酒造を突撃取材!(2018年8月7日号)

そんなわけで、見学会は終了。最後に、改めてお庭を拝見しましたが、大きな木もあって、素晴らしい環境ですね。落ち葉の季節には、毎朝、社員全員で庭掃除をするそうですよ。まさに、海老名の四季を存分に感じながら酒造りをされているのですね。

橋場社長は、米作りと酒造りで日々忙しく、せっかくの縁側に座るヒマもないそうですよ。春夏秋冬、休むことなく作業を続けることで、毎年おいしいお酒が生み出されるのですね。
ありがたく飲ませていただきます。橋場社長、ありがとうございました!!

泉橋酒造
所在地:神奈川県海老名市下今泉5-5-1
酒蔵SHOP「酒友館」
<営業時間>月曜~土曜 10:00~18:00(日祝、お盆休み、年末・年始は休館)
営業時間、休館日は変更の可能性あり

「ツナイダ☆チカラ」第2回:田んぼと酒をつなぐ「泉橋酒造」

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.