2018年の「仕事始め」は、1月9日からという方がたくさん?いたようで、通勤電車はどこも超満員。乗れずに新年早々遅刻してしまった人も大勢いたのではないでしょうか……。この日ばかりは会社の上司や同僚などに新年のご挨拶をしよう!という風潮が根強く残っているからですね。でも、これから「働き方改革」が進んでいくと新年の挨拶のスタイルも変わるかもしれませんね。これに先立つ2017年12月8日、「なぜ、働き方が変わらないの?」という疑問を解消するため、東京・大手町で開催されたユニアデックスのセミナーに行ってきました!「ワークスタイル変革とか、働き方改革とか、うまくいった話・・・聞いたことありますか? -完全版-」という大胆な内容でした。

働き方改革は成功しない?

スピーカーは、ユニアデックス未来サービス研究所のエバンジェリスト、高橋優亮さんです。実は高橋さんは、自身でも在宅ワークやテレワークなど多様な働き方を経験してきた、いわば働き方改革の先駆者。そんな高橋さんが開口一番、「働き方改革がうまくいっているという例は、ほとんどありません」と、言うではありませんか! えええっ?
余談ですが、高橋さんはユニアデックスでプレゼンをさせたら、右にでる者はいなく、社外にも数多くのファンがいらっしゃるとのこと。どうりで、話にグイグイと引き込まれていきました。

画像: ユニアデックス未来サービス研究所のエバンジェリスト 高橋 優亮さん。いつも元気いっぱいです。

ユニアデックス未来サービス研究所のエバンジェリスト 高橋 優亮さん。いつも元気いっぱいです。

高橋さんは、働き方改革がうまくいかない理由として、「働く側」と「働かせる側」との間にある認識のギャップに原因がある、と説明します。働く側は、柔軟で生産性の高いワークスタイルを期待する半面、「公平に査定してくれるのか」などの不安があります。

一方、経営層には「オフィス維持費や交通費などコスト削減になる」というメリットを認識しつつ、「サボっているかも?」「情報漏えいなどのリスクは大丈夫?」などの心配があります。

画像: 働かせる側と働く側が、「疑念と強迫観念」で向き合ったら大失敗する。上司は従業員を信頼してください。そしてそのことを表明してください。信頼された従業員は、それに応えようとします。と高橋さんは語ります。

働かせる側と働く側が、「疑念と強迫観念」で向き合ったら大失敗する。上司は従業員を信頼してください。そしてそのことを表明してください。信頼された従業員は、それに応えようとします。と高橋さんは語ります。

「働き方改革に関するこうした意識の違いに目を向けず、制度だけ変えてもうまくいきません」と、高橋さんは説明します。制度を変えればバラ色の改革が実現するわけではないのですね……。

働き方改革を阻む最大の敵は?

では、なぜこうした疑心暗鬼が生まれるのでしょうか?

それはずばり、「『楽をするのは悪いこと』という意識が働く側にも働かせる側にもあるからです」と言い切る高橋さん。双方とも効率的に仕事をすること自体に、何か後ろめたさを感じてしまうというマインドがあるのです。天候や災害で交通機関が麻痺しても、風邪の時に高熱があっても出勤するのは、「楽をする=ズルしている」と評価されてしまう風潮があるから。俗にいわれる「社畜精神」ですね。これこそ、働き方改革を阻む最大の敵なのです。

確かに、苦労自体は悪いことではありません。ただ、それをよしとするあまり、創意工夫や効率性の追求を“悪”とするのは正しいこととはいえません。ビジネスで重視すべきは、やはり成果なのです。

ただ理性では「成果主義がいい」と分かっていても、なかなか実現できない理由は、「成果や実力の評価は、非常に難しい」からです。「成果主義とは、新卒の一括採用や人材育成、終身雇用形態など、これまでの雇用の在り方を変えるものです」と、高橋さんは説明します。「働き方改革を本当に現場に根付かせるには、苦労を美徳とするマインドや、成果主義という理想と現実のひずみを解消しなければなりません」、と一気に話す高橋さん。

そういうことか!みんなの意識が変わるにはもう少し時間がかかりそうです……。働き方改革が成功しない理由はこんな根深いところにあったのですね。

画像: このイラスト、信じられますか?江戸末期から明治初頭の日本人は、実に働かなかったそうです! イギリス人の灯台技術者から見た日本人は、「雇われるまでは熱心だが、雇われたら働かない。約束を守らない。女好き」。スイス領事から見た日本人は、「集まって仲良く話し、満足そうにキセルを吸っている。親切で礼儀正しい。働いてない人が多い。働くことに愛着がない。矯正不可能な怠惰。信じられないほど無精者」。 アメリカ人から見た日本人(ヘボン)は、「昼間から酒を飲んで暴れたり酔いつぶれる人が多すぎる。せめて仕事中くらい酒を飲まないやつはいないのか!酒を飲まない日本人を探すのは難しい!と言われた」。 散々な言われ方です・・・。

このイラスト、信じられますか?江戸末期から明治初頭の日本人は、実に働かなかったそうです!
イギリス人の灯台技術者から見た日本人は、「雇われるまでは熱心だが、雇われたら働かない。約束を守らない。女好き」。スイス領事から見た日本人は、「集まって仲良く話し、満足そうにキセルを吸っている。親切で礼儀正しい。働いてない人が多い。働くことに愛着がない。矯正不可能な怠惰。信じられないほど無精者」。
アメリカ人から見た日本人(ヘボン)は、「昼間から酒を飲んで暴れたり酔いつぶれる人が多すぎる。せめて仕事中くらい酒を飲まないやつはいないのか!酒を飲まない日本人を探すのは難しい!と言われた」。
散々な言われ方です・・・。

働き方改革の3つのポイント

以上を踏まえ、高橋さんは働き方改革を進めるポイントとして、次の3つを挙げています。

第1に、企業文化は急に変わらないので、抜本的な改革を目指すのではなく、じわじわと継続的に、着実に、制度とやり方を変えていくこと。

第2に、「人は自分を映す鏡」と考え、経営側・働く側双方で相互に信頼しあう関係を培うこと。人は、信頼されれば期待に応えようと努力します。

第3に、コミュニケーションに食い違いが生じないように工夫すること。最近は優れたコミュニケーションツールがたくさん登場しているので、こうしたツールを活用するのも有効です。ただし、ツールを導入する際は、社長や役員が「トップダウン」で進めることで、現場に定着しやすくなります。なるほど!

じわじわと継続的に変えよう

続いて行われたパネルディスカッションでは、会場からの質問に答える形で改革のポイントを探っていきました。効率的に成果を出すための生産性を考えれば、どこでも自由に働ける環境づくりは大切です。テレワークを支援するコミュニケーションツールのベンダーの方々は、働き方改革についてどのように考えているのでしょうか?

お答えいただいたのは、シスコシステムズの石黒圭佑さん、日本マイクロソフトの武田新之助さん、ポリコムジャパンの下村たまえさん、ワークスモバイルジャパンの岩瀬義裕さんの4名です。

さて、オフィスとテレワーク、どちらの方が仕事効率はよいのでしょうか。

「よくテレワーク=在宅と捉えられがちですが、そうではなく、『どこでも働ける仕組み』をテレワーク、もしくは広く『リモートワーク』と呼びます」と石黒さんが説明。「どちらも効率がよい」(下村さん)という答えもあれば、「1人の環境でイノベーションをどう起こせるかがポイント」(岩瀬さん)という意見もありました。「私自身の経験でいえば、この効率性を一度経験したらテレワークは手放せません」と高橋さんは強調しました。

画像: シスコシステムズ 石黒 圭祐さん(左)、ポリコムジャパン 下村 たまえさん(右)

シスコシステムズ 石黒 圭祐さん(左)、ポリコムジャパン 下村 たまえさん(右)

ただ、仕事の効率という問題に関しては、

「ITツールだけで解決できる問題ではなく、やはり『多様な働き方』に対する理解や信頼が大切」(石黒さん)という指摘も。「『在宅で何をやっているか分からない』という意識が社内で顕在化すると、効率化の前に、制度はたちまち崩壊するでしょう」との警鐘を鳴らします。「相互信頼があることが、仕事の生産性と効率性向上をもたらす」というのは、高橋さんの指摘と同じですね。

多様な働き方を実現させるには、やはり普段からのコミュニケーションがポイントのようです。普段から会議やコミュニケーションが少ない企業に、テレワークの仕組みだけを持ち込んでも、信頼関係があってこそ成り立つのだから、上手くいくはずがないということなのでしょう。

また、必ずしも会社にいない多様な働き方が定着することで、社内のコミュニケーションはどう変化するのでしょうか。

武田さんは「メールという手段がなくなるかもしれない」とし、コミュニケーションがチャットに置き換わる可能性を示唆しました。

岩瀬さんも、武田さんの意見を支持。さらに、「チャットのトークルームの中に、簡単なQAに答えてくれるbotロボットを搭載すれば、生産性向上にも大いに貢献します」とし、テレワークにおいてコミュニケーション強化と生産性向上の両方が実現されていくと語りました。

画像: 日本マイクロソフト 武田 新之助さん(左)、ワークスモバイルジャパン 岩瀬 義裕さん(右)

日本マイクロソフト 武田 新之助さん(左)、ワークスモバイルジャパン 岩瀬 義裕さん(右)

最後に高橋さんが「ユニアデックスはコミュニケーションツールの導入や活用も支援しており、働き方改革のよきパートナーとなれます!」と宣伝をして、熱気に溢れたセミナーは終了しました。

画像: また、必ずしも会社にいない多様な働き方が定着することで、社内のコミュニケーションはどう変化するのでしょうか。

ITツールの導入だけで働き方改革は進まないことはパネリスト全員で一致した結論でした。高橋さんが言うように「じわじわと継続的に」制度やマインドを変え、ITも活用してコミュニケーション方法を進化させていくうちに、誰もがハッピーになる働き方ができるようになる日が来ることを期待したいです!

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