総合印刷会社の大日本印刷(DNP)はいま、専門の推進本部を置いてデジタルサイネージ事業に注力している。コンサルからコンテンツマネジメント、配信システムなどのすべてをワンストップで提供する同社のデジタルサイネージには、印刷会社ならではの技術やノウハウが生かされている。

デジタルサイネージに生きる印刷会社ならではの強み

大日本印刷(DNP)がデジタルサイネージに取り組み始めたのは2009年4月。その1つの実践例として挙げられるのが「i-ステーション仙台」だ。これは、JR東日本、JR東日本企画の協力のもと2009年7月にJR仙台駅2階コンコースに設置し、運用を行っているもので、大型デジタルサイネージと情報検索ボードから構成されている。中央にある大型デジタルサイネージでは、クライアント企業の広告と合わせて天気予報や占い、書籍ランキングなどのコンテンツを放映している。また左右のタッチパネル式情報検索ボードでは時刻表、駅構内図、路線図、駅周辺地図などが閲覧でき、デジタルサイネージと一体となった情報提供プラットフォームを構成しているのである。

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DNP自身も大いに活用している。本社ビルでは、130カ所にディスプレーを設置し、創業以来137年の歴史の中で、”何年の今日、DNPは何をしていたか”といった情報発信を活発に行い、社員の会社へのローヤルティー形成にも役立てている。

印刷会社であるDNPがデジタルサイネージに取り組むことを不思議に感じる人も多いかもしれない。確かにデジタルサイネージといえば、一般的に大型テレビ/ディスプレーなどのメーカーが主導となって取り組んでいるイメージがある。しかしながら、こうしたメーカーの場合、ハードウエアの設置までは行っても、その後の運用までのノウハウはほとんど持たない。そこで、ポスターやカタログ、チラシ、店頭POPなどの印刷物を長年にわたり手がけているDNPの技術とノウハウが市場から強く求められたのだ。

画像: DNP デジタルサイネージ推進本部の本部長、閑(しずか)郁文氏

DNP デジタルサイネージ推進本部の本部長、閑(しずか)郁文氏

DNP デジタルサイネージ推進本部の本部長、閑(しずか)郁文氏は、
「店頭でのセールス&プロモーションの豊富な実績がある当社は、店頭とはどのようなものなのかをよく理解しています。また、液晶画面で使われるカラーフィルターを開発・製造するなどエレクトロニクス分野を手がけたことによるノウハウも豊富です。さらに書店グループを展開してコンシューマーの意識も学んでおり、デジタルサイネージに生かせるいくつものリソースが我々にはあるのです。このことに気づき、現在では全国77人体制の本社組織のもとで力を入れているところです」
と語る。

「マルチベンダー」「トータルサポート」「ワンソースマルチユース」で顧客により高い価値を提供

画像1: 「マルチベンダー」「トータルサポート」「ワンソースマルチユース」で顧客により高い価値を提供

DNPのデジタルサイネージ事業の最大の特徴は、「マルチベンダー」「ワンストップ」といえる。メーカーは往々にして、自社のハードやソフト、周辺機器を優先しがちな構成で製品を提供するが、DNPの場合、顧客にとって最適な価格とデザインの製品を幅広く調達し提供することが可能だ。1社の機器・システムに縛られないマルチベンダーだからこそ提供できるメリットである。またDNPグループには、施設の設計・施行を行える企業までも存在している。

こうしたDNPの数々の強みを集約することで、デジタルサイネージを手がけようとする顧客に対して、コンサルティングから機器・システムの選定、設計・施工、コンテンツの企画・制作、コンテンツの配信・運用、広告効果の測定までといったすべてのサイクルをワンストップでサポートできるのだ。

デジタルサイネージ推進本部の高橋晃治氏は、
「当然ながら、当社は出版社との結びつきも強いので、そうした出版コンテンツを映像化、紙芝居化して提供することもできます」
と述べる。

画像: デジタルサイネージ推進本部 高橋晃治氏

デジタルサイネージ推進本部 高橋晃治氏

またデジタルサイネージのノウハウに自信のない企業であってもコンテンツ配信が容易に行えるよう、DNPではデジタルサイネージ機器へのコンテンツ配信を行うオリジナル・アプリケーション「Smart Signage(スマートサイネージ)」を安価に提供している。これは、どの枠に、どの番組を、どの日時に表示するか?の割り付けが、わかりやすいGUIとともに簡単に実行できる支援システムだ。これにより、経験の浅い担当者でも用途に応じてコンテンツ表示ができ、静止画/動画/テキストなどを自由自在に組み合わせた画面作成ができるようになる。顧客のニーズに合わせて、スタンドアローン版、ネットワーク版そしてASP版を用意。さらにAndroidタブレット端末にも対応している。通常こうしたアプリケーションは同じメーカーの機器でしか使えないが、Smart Signageならば様々なメーカーのデジタルサイネージ機器へのコンテンツ配信が可能であり、ここでもマルチベンダーとしての利点が反映されている。

画像2: 「マルチベンダー」「トータルサポート」「ワンソースマルチユース」で顧客により高い価値を提供

さらに、顧客の初期投資の負担を軽減するためのデジタルサイネージ機器・システムのレンタルモデルもDNPでは用意。このモデルを活用すれば、初期投資をカットできるばかりか、月々の経費として計上できるためPL(損益計算書)上でも固定資産にする必要がない。企業にとってデジタルサイネージに取り組む際のハードルがぐんと下がるのである。

「デジタルサイネージをトータルでサポートするのが当社の使命なので、必要となるものはすべて用意しているつもり。新たに必要となるモノやサービスなどもでてくると思うが、それらも他社との協業も踏まえて取り揃えていきたい」(閑氏)

コンテンツマネジメントに関しては、1つのコンテンツを、デジタルサイネージに限らず、雑誌やチラシ、カタログ、パンフレットなどの印刷物、Webやモバイルなどにも展開する「ワンソースマルチユース」をDNPではモットーとしている。1つのコンテンツを多様な媒体で展開できることで、企業にはコンテンツ制作にかかるコストの効率化や広告効果の拡大が望めるようになるのである。

“本物の色”を追求したカラーマネジメント

印刷会社として培ったDNPならではの技術とノウハウは、デジタルサイネージの世界に新たな領域を切り拓こうとしている。それが、デジタルサイネージにも生かされるカラーマネジメントだ。2013年6月には、ノートパソコンやタブレット端末の製造受託大手、
台湾Quanta Computerとカラーマネジメント用LSIの共同開発に関する業務提携を締結したことを発表。
DNPが回路設計を手がけたこのLSIを搭載したノートパソコンやタブレット端末は、2014年前半にも量産を開始する予定だ。

近年、パソコンやタブレット端末、スマートフォンなどに商品カタログや飲食店のメニューなどを表示してサービスに利用する機会が増えているが、これらの電子機器で表示する画像の色調は、ディスプレーメーカーや機器ごとにばらつきが生じている。こうした機器間での色調の違いが、今後デジタル機器を使ったビジネスに大きな支障となることが懸念されているのである。例えば通販サイトの商品やロゴマークなどに表示機器間での色のばらつきによる実物の色調との差異があれば、返品の発生やブランドイメージの低下といった恐れすらも生じてしまう。

こうした課題を解決すべく、印刷物のカラーマッチング技術で豊富なノウハウを有するDNPが、ディスプレーに表示される画像をより本物に近い色調に補正することができる専用LSIの開発・製造に乗り出したのである。

閑氏は言う。
「デジタルサイネージを含めて、これからデジタル機器がより社会に浸透していくなかで、正確な色を表示することの重要性は、皆さんが考えている以上に大きくなるでしょう。色調までを含めた品質のマネジメントいうのは総合印刷会社にしかできないことだと考えている」

地域共有型の情報基盤としての普及を目指す

デジタルサイネージの利用目的は、セールス&プロモーションにとどまらない。その1つが、公共や地域の情報提供基盤としての活用だ。DNPは2013年8月にデジタルサイネージ向け災害情報配信サービスの提供を開始している。出光サービスステーションに設置された「災害情報配信デジタルサイネージ自販機」では、大地震などの大規模災害が発生した際には地域住民や帰宅困難者に避難場所の告知等各種の情報提供を行うのである。平常時には、災害時の備えや防災グッズの蓄えなどといった防災に役立つ情報を提供している。

また企業内のコミュニケーションツールとしても、近年デジタルサイネージに注目が集まっている。冒頭に紹介した「その日、DNPは・・・」のようにDNP自身が既に実践しているシステムは、外販にも結びついていて、既に5~6社への納品が決まっている。

最後に閑氏は、「これからはビルや工場などに当たり前のようにデジタルサイネージが組み込まれる時代になっていくだろう。最終的には、マスメディアとは違う、地域それぞれに最適化した情報を配信できるというデジタルサイネージの特性を生かして、地域共有型の情報基盤としての普及を目指していきたい」と力強く語る。

あらゆる角度からデジタルサイネージの進化に貢献するDNP。今後同社は、グローバル規模でデジタルサイネージの分野をリードしていくに違いない。その時ユニアデックスは、導入構築/保守の分野で支援していく。

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